第五特異点 イ・プルーリバス・ウナム のバックアップ(No.5)

顔を上げ息を大きく吸い込む。
体にまとわる熱砂は、土埃の乾いた匂いがする。

A.D.1783　アメリカ大陸―
此度のレイシフト先は正史であれば、
独立戦争が行われている時代だ。

遠くで聞こえていた戦の雄叫びがだんだんと
二人の元に迫って来ていた。
大盾を構え直すマシュに倣い、マスターも慌てて
臨戦態勢を取る。
徐々に大きくなる人影、いや人の群れは予想通り
武装した兵士たちだ。

軍勢に数で押され苦戦する二人の前に
現れたのは一人のサーヴァントだった。

奮戦虚しく謎の軍勢に囚われた三人は、
湿っぽく冷えた地下洞窟の中、牢へ続く道を
歩かされていた。

一行を先導するのは原始的な槍を手にした
数人の兵士。彼らの個の力は大したものではない。マスターはここを抜け出すタイミングを図っていた。

ようやくたどり着いた牢の中には先客が居た。
華奢な少女ながら、その瞳に宿る光は鋭い。
サーヴァントだ。

確信したマスターは、マシュに目配せをする。
彼女は頷き、魔力で魔力で編み上げた盾を手にすると、
兵士に向け大きく振りかぶった。

牢を抜け出した一行は追手を考慮し
ひとまず森に逃げこむ事にする

シータは、マスターらを捕らえた軍勢はケルト兵で
あると漏らした。
何者かの命令で動くケルト兵たちは
先住民を傷つけ、住処を蹂躙しているらしい。
静かに憤るナイチンゲールに、
マスターとマシュは手を貸すことを決めるのだった。

彼女らの根城に向かい樹林を進む途中、
マスターの耳に聞き覚えのある歌声が
飛び込んできた。

道中でエリザベートと合流した一行は
ナイチンゲールらの根城にたどり着く。

そこはケルト軍に対向するため結成された
『レジスタンス同盟軍』の本拠地であった。

そこでようやくマスターは、
この特異点で起こっているのが『独立戦争』ではなく
クー・フーリン率いるケルト軍と
ナイチンゲール属するレジスタンス同盟軍による
『東西戦争』と知るのだった。

明日の開戦に向け、準備を進めるマスターとマシュの
前に、同じく同盟軍に属するスカサハが
その力量を図ろうと現れる。

カルデアを迎え、戦力を揃えた同盟軍は
ケルト軍の本拠地に乗り込んでの総力戦を挑む。

高く陽は登り、同盟軍の少ない兵士たちは
熱気と白日の下に晒される。

立ちはだかるのは『施しの英雄』カルナ。
そしてその後ろに控えているのは
『授かりの英雄』アルジュナだった。

二人の大英雄を前に、マスターは苦戦を覚悟する。

カルナ、アルジュナという強敵を破り、
ついに特異点の元凶へとたどり着いた一行。

そこで待ち構えるは、黒々とした尾をなびかせ、
玉座に腰掛けるクー・フーリン〔オルタ〕。

連戦で疲弊したマスターたちへ容赦なく
襲いかかる男には、『光の神子』と呼ばれた頃の
精悍な面影はない。たった一人の戦争だとしても、その凶爪は
迷わず敵を捉え、切り裂かんとする。

その時だった。辺りが眩い光に包まれる。
甘い花の香りが鼻をくすぐった。

そこには微笑みをたたえた可憐な女性の姿があった。

• これまでの特異点もアプリ版との差異は少なからず見られたが、この第五特異点は特に差異が明確になっている。
  • 主題の「北米神話侵食 イ・プルーリバス・ウナム」からして差異が発生している。
    アプリ版では「北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム」。
  • サポートNPCとしてシータが登場する点はアーケード独自の展開である。
    アプリ版では彼女の夫であるラーマがクー・フーリン〔オルタ〕に致命傷を追わされるところから物語が始まり、シータが登場するのは中盤かつ立ち絵とテキストのみの登場であるため、プレイアブルとして使用することはできない。
    • ちなみに旦那様は生前とある人物から「離別の呪い」をかけられたために二人が同時に現界することはできず、もし出会えたとしても片方の五感が遮断されてしまい、再会の喜びを分かち合うことはできないとされる。この呪いは互いが互いを愛し合っている限りは解けないのだが、それ故に確固たる愛の証明としても機能している。
  • カルナがアルジュナとタッグを組み、敵方として登場する点も異なっている。
    アプリ版では、カルナはトーマス・エジソン率いる大統王軍（この勢力にエレナも所属している。クリスマス霊基ではなく、本来のキャスターだが）に与しており、主人公達と当初は敵対していたが中盤以降は協力関係を結んだことで、ケルト軍に与するアルジュナと南部戦線で直接対決する流れになっている。
    またアルジュナは終盤でケルト軍から離反し、北部戦線を壊滅寸前に追い込んだ28柱の魔神柱集合体「クラン・カラティン」を、自身の消滅と引き換えに全滅させている。