クリフジ のバックアップ(No.1)


クラシック三冠を成した唯一の牝馬

クリフジは、戦前を代表する日本の競走馬である。

1943年の阪神優駿牝馬(後のオークス)、東京優駿競走(後の日本ダービー)、京都農林省賞典四歳呼馬(後の菊花賞)を勝利し「変則クラシック三冠」を成し遂げた史上唯一の牝馬である。

 

当時は阪神優駿牝馬が10月開催であったために可能だったローテーションであり、現在ではオークスと日本ダービーが5月の第3・4週レース(オークスの一週間後に日本ダービーが開催される)となっているため、二つのレースに出走することは不可能ではないが非常に難しいとされている。

 

様々な記録の保持

デビュー戦では2着馬に1馬身差であったが、その後東京優駿競走では6馬身差、阪神優駿牝馬では10馬身差、そして京都農商省賞典四歳呼馬では大差での勝利となり、ほか横浜記念など出走した11戦に全勝した主要な競走(八大競走など)を含む最多全勝記録を持つ。

また東京優駿競走の走破記録2:31 4/5は前年優勝のミナミホマレの記録2:33 0/5を1秒以上も塗り替える当時としては破格のタイムであり、後に1951年トキノミノルに塗り替えられるまで8年間保持された。また牝馬による東京優駿の制覇''は、この後2007年にウオッカが勝利するまでの64年間、現れることはなかった。

さらに京都農林省賞典四歳呼馬での大差勝利は後の菊花賞を含めて唯一の記録である。

 

引退とその後

1944年、能力検定競走となった横浜記念を勝ったクリフジは3週間後の帝室御賞典(春)(後の天皇賞(春))に出走する予定だったが京都競馬場への輸送の際に風邪を引いて発熱してレースを回避。

それを機にクリフジはそのまま引退し生まれ故郷の下総御料牧場へ戻り繁殖名「年藤」として繁殖牝馬となったが、1945年7月7日の千葉空襲を機に日高の牧場へ移された。

 

その後はオークスを親子2代で制覇したヤマイチを始め、クモハタ記念を制したイチジヨウ、金杯(東)(後の中山金杯)を制したホマレモンと3頭の重賞勝利馬を輩出したが、1964年に老衰により25歳の生涯を閉じた。

牝系(ファミリーライン)子孫は現在もイチジヨウを基点として残っており、きさらぎ賞を優勝したサムソンビッグ、安田記念とスワンステークスを制覇したシモフサホマレ、名古屋優駿に勝利した笠松のシンプウライデン、2011年のNAR最優秀3歳牡馬であるオオエライジン、オオエライジンの妹で同じ2011年のNAR最優秀2歳牝馬であるエンジェルツイートなどが出ている。

 

血統関係

賢藤(けんふじ 牝 1926 父:チャペルブラムプトン(Chapel Brampton))

年藤(としふじ 競走名:クリフジ 牝 1940 父:トゥルヌソル(Tournesol))

 ├イチジョウ(牝 1950 父:セフト(Theft))

 │├ツキカゲ(牝 1958 父:ヒンドスタン(Hindostan))

 ││├フジカワ(牝 1966 父:チャイナロック(China Rock))

 │││└シュンイチオーカン(牝 1978 父:フロリバンダ(Floribunda))

 │││ └サムソンビッグ(牡 1991 父:サクラショウリ)

 ││├ヨドフジ(牝 1972 父:ナディア(Nadir))

 │││└フィメール(牝 1980 父:フォルティノ(Fortino))

 │││ └フシミラッキー(牝 1985 父:ブレイヴェストローマン(Bravest Roman))

 │││  └フシミアイドル(牝 2002 父:リンドシェーバー(Lindo Shaver))

 │││   ├オオエライジン(牡 2008 父:キングヘイロー)

 │││   └エンジェルツイート(牝 2009 父:タイキシャトル(Taiki Shuttle))

 ││└スターイチジョウ(牝 1981 父:スカイマスター(Skymaster))

 ││ └キタノティアラ(牝 1989 父:マルゼンスキー)

 ││  └シンプウライデン(牡 1994 父:ワカオライデン)

 │└シモフサホマレ(牡 1959 父:ハロウェー(Harroway))

 ├ヤマイチ(牝 1951 父:トシシロ)

 └ホマレモン(牡 1953 父:グレーロード(Greylord))