ディープインパクト

Last-modified: Fri, 21 Oct 2022 00:26:03 JST (554d)
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サトノダイヤモンドの父

ディープインパクト(Deep Impact)は、父にサンデーサイレンス(Sunday Silence)、母にウインドインハーヘア(Wind in Her Hair)を持つ近代日本を代表する競走馬の一頭である。

競走馬として、2005年にシンボリルドルフ以来日本競馬史上2頭目となる、無敗での中央競馬クラシック三冠を達成。2006年には日本調教馬としては初めて芝部門・長距離部門で世界ランキング1位となった。

 

種牡馬としては2012年から2021年の日本のリーディングサイアーである。2020年には産駒のコントレイルが日本競馬史上3頭目の無敗での中央競馬クラシック三冠を達成し、世界初の父子2世代での無敗三冠を達成した。

 

2005年にJRA賞年度代表馬・最優秀3歳牡馬、2006年に年度代表馬・最優秀4歳以上牡馬を受賞し、 2008年には顕彰馬に選出された。

 

三冠までの成績概略

2004年12月19日阪神競馬第5競走の2歳新馬戦(芝2000メートル)で武豊を騎手に据えてデビュー。上がり3ハロン33秒1の脚で、のちに金鯱賞・マイラーズカップなど重賞4競走に優勝し安田記念で2着となるコンゴウリキシオーに4馬身の差を付けて勝利を飾ると、続く2戦目は2005年1月22日に、京都競馬場で行われた若駒ステークスにて最後方からの競馬を披露、4コーナーに入っても先頭の馬から10馬身程度の差があったが、直線で一気に突き抜け5馬身差で勝利する。

次走には皐月賞トライアルの第42回弥生賞に出走。2歳王者のマイネルレコルトや京成杯を制したアドマイヤジャパン以下にクビ差ではあったものの鞭を一回も振るわずに勝利し、クラシックの最有力馬に躍り出ると、第65回皐月賞ではレース開始直後にいきなり躓き落馬寸前まで体勢を崩し、ほかの馬から4馬身ほど離れた最後方からの競馬になり、さらに向こう正面でローゼンクロイツと接触する場面もあったが、4コーナーでディープインパクトの気を抜く素振りを感じた武がレースで初めて鞭を入れると、直線では2着のシックスセンスに2馬身半の差をつけ勝利。

5月29日の東京優駿では、スタートは皐月賞同様に出遅れ、道中は後方につけるも、4コーナーでは横に大きく広がった馬群の最外を通り、直線では1頭先に抜け出したインティライミに残り200メートル地点で並んでから同馬を突き放して5馬身の差をつけ、前年のキングカメハメハに並ぶ2分23秒3のレースレコードタイで優勝。

秋初戦となった神戸新聞杯では、ディープインパクトはやや飛び上がるようにしてスタートを切り、道中は最後方から2番手の位置でレースを進めた。正面スタンド前ではやや前に行きたがるところを見せたが2コーナーを回って向正面に入ったところでは完全に折り合い、3コーナー過ぎで外に出たディープインパクトは手綱を持ったままの状態で加速し、直線入り口で大外から先頭に並びかけるとそこから瞬時に抜け出し、2着シックスセンスに2馬身半の差をつけて優勝した。

そして三冠のかかった2005年10月23日の第66回菊花賞では好スタートを切ったものの、スタート後の最初の3コーナーから掛かってしまう。そのため武はディープインパクトを馬群の内側に入れ、前に行くのを防いだ。その後馬群中団で落ち着いたディープインパクトは、直線で先に抜け出していたアドマイヤジャパンを差し切り2馬身差をつけて優勝。シンボリルドルフ以来、21年ぶり史上2頭目の無敗での三冠馬となった。

 

最高支持率・最高売り上げの連続更新

ディープインパクトは、第42回弥生賞の時点でハイセイコーを超える当競走史上最高の単勝支持率71.5パーセントを記録。

第65回皐月賞では単勝支持率が63.0パーセント(オッズは1.3倍)と1951年のトキノミノルの73.3パーセントに次ぐ史上2位となった。当日の中山競馬場には前年を5000人近く上回る8万5146人が入場し、売り上げも前年比100.3%の256億7616万600円を記録した。

東京優駿では、当日の東京競馬場には前年比114.8パーセントとなる14万143人もの観衆が押し寄せ、単勝支持率は73.4パーセント(オッズは1.1倍)とハイセイコーの持っていた当競走における単勝支持率最高記録を更新する人気となった。

神戸新聞杯には91人の徹夜組も含めて前年比147.2%の4万6775人の観客が阪神競馬場に詰めかけ、単勝オッズは1.1倍で1番人気。

第66回菊花賞では京都競馬場には菊花賞の入場動員レコードとなる13万6701人(前年度比182.0パーセント)の観客が押し寄せ、京都競馬場には863人の徹夜組を含む1万1936人のファンが午前7時20分の開門時に列を作り、JRAが先着100名に配布したディープインパクト像前での記念撮影整理券は7時30分に全てなくなり、300食限定の「めざせ三冠!!ディープインパクト号弁当」も7時45分に完売した。

ディープインパクトの単勝支持率は79.03パーセントとなり、単勝式オッズは1.0倍(100円元返し)となった。この単勝支持率は菊花賞としては1963年(昭和38年)のメイズイ(6着)の83.2パーセントに次ぐ史上2位、グレード制施行後の重賞としては当時史上最高の単勝支持率であった。このため、2番人気の馬であったシックスセンスの単勝オッズが2番人気馬としては極めて異例である20倍を超えたオッズが付くこととなった(20.7倍)。2番人気の馬が20倍を超えるオッズとなるのは世界的に見ても極めて少ない事例である。

 

社会現象化

このように、2005 - 2006年の中央競馬には「ディープインパクト旋風」が大いに吹き、動員数・入場者数・単勝支持率や売り上げなどに大きく増加の傾向が見られ、現役競走馬時代、ディープインパクトの存在は社会現象と言われ、高い注目を集めた。

2005年10月23日、三冠達成が懸かった第66回菊花賞では、普段は別番組として放送され、レース映像しか共有しない関西テレビ『ドリーム競馬』とフジテレビ『スーパー競馬』が初めて共同制作の形式を取り、ディープインパクトが特別な存在であることを印象づけた。

 

そのような高い注目と相まって、競馬専門誌やスポーツ新聞だけでなく一般の新聞・雑誌・テレビ番組などのメディアもその存在を取り上げた。JRAに対する取材の申し込みは例年の10倍に及んだという。

三冠達成後の2005年10月29日にはNHKスペシャルで「ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜」が放送された。なお、同番組は2005年のJRA賞馬事文化賞を受賞した。

漫画雑誌でも取り上げられ、ハイセイコーのときと同様にグラビアを飾ったことや(『週刊ヤングサンデー』2006年15号)、凱旋門賞の前に『週刊少年チャンピオン』でディープインパクトの物語がやまさき拓味著作『優駿の門 特別編』として短期集中連載されたこともある。

競走馬引退後の2007年4月には、サントリーフーズ「ボス」のCMにトミー・リー・ジョーンズと共演。このCMではジョーンズが扮する「宇宙人ジョーンズ」がディープインパクトの鼻面を撫でるシーンが登場し、ディープインパクトに対しては「ディープインパクト(本物)」というテロップがつけられている。

 

このような活躍ぶりから一躍「アイドルホース」という存在を競馬関係者以外の広い世帯にも浸透せしめ、上記のような高い人気や売り上げへの貢献に繋がったと見られている。

また現役引退後の産駒の活躍ぶりも凄まじく、2019年7月末日骨折により安楽死となって以後も、現代日本競馬に多大な影響を与えた偉大な存在とされている。

 

ウマ娘化が待望されている?

2005 - 2006年のクラシックシーズンを大いに賑わせたディープインパクトの存在は「その当時の日本競馬を扱うのであれば避けては通れない」ものと見られており、ウマ娘としてゲームに登場することを待ち望む声は少なくない。

ウマ娘には、ディープインパクトのほかにもオルフェーヴルブエナビスタステイゴールドなど未だ名前さえ登場していない名馬が数多く残されているが、ディープインパクトはその中でも”別格の扱い”を受けるだろうと目されている。

というのも、ウマ娘において現状『最強』と呼ばれているのは”皇帝”シンボリルドルフであり、ディープインパクトが仮に登場した場合、『最強』の座を賭けて競うことになるのは明白で、その勝負の行方をどうするのか?という問題が大きく横たわっていると考えられる。

実在する競走馬としては、当然この二頭は生まれた時代が違うため、直接勝負ができたわけではなく、ディープインパクトが誕生して以降、長く「シンボリルドルフディープインパクト」という構図を夢見るものは少なからずおり、データ面や戦績面、レース運びや体格・性格面など、徹底して比較され優劣が議論され続けているのは事実である。

もしもウマ娘としてディープインパクトが登場するとなれば、その議論に「Cygamesが結論を付ける」という形になり、事と次第によっては大きな批判を受ける可能性があることも否定できない。

かといって、ではその「最強対決」をしなければいいのかというとそうもいかず、「ディープインパクトを出す以上はシンボリルドルフと決着をつけてもらいたい」という声があることも無視できないのだ。

 

この問題はディープインパクト以外の「未登場の競走馬」すべてにも言えることであり、当馬がウマ娘として登場することでいわゆる”原作”と言われている「モデルとなった競走馬」の世俗的評価を貶める可能性がある以上、安易においそれとは登場させられないのである。

 

血統関係

ウインドインハーヘア(Wind in Her Hair 牝 1991 父:アルザオ(Alzao))

├ブラックタイド(Black Tide 牡 2001 父:サンデーサイレンス)

キタサンブラック(牡 2012 母:シュガーハート)

ディープインパクト(Deep Impact 牡 2002 父:サンデーサイレンス)

 ├ダノンシャーク(牡 2008 母:カーラパワー)

 ├トーセンラー(牡 2008 母:プリンセスオリビア)

 ├マルセリーナ(牝 2008 母:マルバイユ)

 ├リアルインパクト(牡 2008 母:トキオリアリティー)

 └ラウダシオン(牡 2017 母:アンティフォナ)

 ├ブリッツフィナーレ(牝 2008 母:ロンドンブリッジ)

 キセキ(牡 2014 父:ルーラーシップ)

 ├ジェンティルドンナ(牝 2009 母:ドナブリーニ)

 ├ジョワドヴィーヴル(牝 2009 母:ビワハイジ)

 ├スピルバーグ(牡 2009 母:プリンセスオリビア)

 ├ディープブリランテ(牡 2009 母:ラヴアンドバブルズ)

 ├レッドキングダム(牡 2009 母:プラウドビューティー)

 ├ヴィルシーナ(牝 2009 母:ハルーワスウィート)

 ├アユサン(牝 2010 母:バイザキャット)

 ├キズナ(牡 2010 母:キャットクイル)

 ├アカイイト(牝 2017 母:ウアジェト)

 └ソングライン(牝 2018 母:ルミナスパレード)

 ├ラキシス(牝 2010 母:マジックストーム)

 ├サトノアラジン(牡 2011 母:マジックストーム)

 ├ショウナンパンドラ(牝 2011 母:キューティゴールド)

 ├ハープスター(牝 2011 母:ヒストリックスター)

 ├マリアライト(牝 2011 母:クリソプレーズ)

 ├ミッキーアイル(牡 2011 母:スターアイル)

 ├ショウナンアデラ(牝 2012 母:オールウェイズウィリング)

 ├ダノンプラチナ(牡 2012 母:バディーラ)

 ├ミッキークイーン(牝 2012 母:ミュージカルウェイ)

 ├サトノダイヤモンド(牡 2013 母:マルペンサ)

 ├シンハライト(牝 2013 母:シンハリーズ)

 ├ジュールポレール(牝 2013 母:サマーナイトシティ)

 ├ディーマジェスティ(牡 2013 母:エルメスティアラ)

 ├マカヒキ(牡 2013 母:ウィキウィキ)

 ├ヴィブロス(牝 2013 母:ハルーワスウィート)

 ├アルアイン(牡 2014 母:ドバイマジェスティ)

 ├アンジュデジール(牝 2014 母:ティックルピンク)

 ├サトノアレス(牡 2014 母:サトノアマゾネス)

 ├ケイアイノーテック(牡 2015 母:ケイアイガーベラ)

 ├ダノンプレミアム(牡 2015 母:インディアナギャル)

 ├フィエールマン(牡 2015 母:リュヌドール)

 ├ワグネリアン(牡 2015 母:ミスアンコール)

 ├グランアレグリア(牝 2016 母:タピッツフライ)

 ├ダノンキングリー(牡 2016 母:マイグッドネス)

 ├ラヴズオンリーユー(牝 2016 母:ラヴズオンリーミー)

 ├ロジャーバローズ(牡 2016 母:リトルブック)

 ├ワールドプレミア(牡 2016 母:マンデラ)

 ├コントレイル(牡 2017 母:ロードクロサイト)

 ├ポタジェ(牡 2017 母:ジンジャーパンチ)

 ├レイパパレ(牝 2017 母:シェルズレイ)

 ├アカイトリノムスメ(牝 2018 母:アパパネ)

 ├シャフリヤール(牡 2018 母:ドバイマジェスティ)

 └キラーアビリティ(牡 2019 母:キラーグレイシス)