キングカメハメハ

Last-modified: Sun, 02 Jul 2023 04:47:56 JST (300d)
Top > キングカメハメハ

ホッコータルマエドゥラメンテの父

キングカメハメハは、父キングマンボ(Kingmambo)、母マンファス(Manfath)を持つ競走馬・種牡馬である。

マンファスはアイルランド産馬で7戦を走り未勝利に終わった後繁殖入りし、初仔のザデピュティ(The Deputy)が2000年のサンタアニタダービーを勝利している。

その後も2頭の牝馬を産み、2000年のキーンランド・ノーベンバーセールでノーザンファーム代表の吉田勝己が65万ドルで落札、日本に輸入された。

このとき既にキングマンボの仔を宿しており、出産された後は当歳セレクトセールで金子真人が7800万円で落札。これがキングカメハメハとなる。

 

2003年11月、京都新馬戦で安藤勝己を背にデビュー、1番人気に応えて初勝利を飾ると、同年12月、阪神で行われたエリカ賞(500万下)では武豊騎乗でデビュー2連勝となる。

明けて2004年は1月、ダリオ・バルジューが騎乗した京成杯で生涯唯一の敗戦を喫する。

2月のすみれステークス、3月の毎日杯と勝ちを重ねたものの、京成杯の敗戦から中山不向きと見て皐月賞を回避、NHKマイルカップに臨んだ。

 

手綱が安藤勝己に戻り、単勝3.6倍の1番人気に推されたものの、重賞2勝を含む4連勝でここに臨んできたシーキングザダイヤが3.7倍の2番人気であることからみれば、決して抜けた存在ではなかった。

これはシーキングザダイヤの他にもメイショウボーラーやコスモサンビームなどメンバーが揃っており、さらにキングカメハメハ自身がマイル初挑戦であることも影響していたと考えられる。

しかし、調教師の松田国英は「クロフネと同じローテーションですし、胸を張ってダービーに向かうためにも負けられないレースです」と発言し、自信をもってレースに送り出した。

レースでは熾烈な先行争いが繰り広げられ、最初の3ハロンが33秒9、4ハロンが45秒6というハイペースとなった。

キングカメハメハは中団外目で悠々と追走、最後の直線では大外から一気に先行勢を飲み込むと、あとは差を広げる一方となり、2着のコスモサンビームに5馬身差をつけて優勝。

勝ちタイムの1分32秒5は、同レースのレコードであった。また、5馬身差の勝利はこれまでの1 3/4馬身を上回るレース史上最大着差となった。

 

3歳馬の頂点を目指して挑んだ次走の東京優駿、単勝2.6倍の1番人気に推されたキングカメハメハは、マイネルマクロスが後続を引き離して作り出した1000m通過が57秒6というハイペースを中団から追走。

レースは残り600mの最終コーナーから大きく動き、2番人気のコスモバルクが押して先頭に立ったことにより、他の有力馬が一気に進出を開始。キングカメハメハは青葉賞を圧勝してきた3番人気のハイアーゲームとともに外から進出をすると、直線の坂の入り口で早くも先頭に立った。

ハイペースかつ有力馬が早めに仕掛けたため、最後の直線は消耗戦の様相を呈しており、早めに動いたコスモバルクが先頭争いから脱落、皐月賞馬ダイワメジャーを始め、先行勢が早々に失速していった。

これは最終コーナーから早めに仕掛けられていたキングカメハメハにとっても非常に厳しい展開だったが、ゴール前でハイアーゲームを競り落とすと、上がり3ハロンを出走馬中4番目(1~3位は全て追い込み馬)となる35秒4でまとめ、後方2番手から追い込んできたハーツクライに1馬身半という決定的な差をつけて優勝した。

走破タイムは2分23秒3で、1990年にアイネスフウジンが記録した2分25秒3のレースレコードを2秒も更新した。

 

このNHKマイルカップ・東京優駿の連覇は、松田国英がこだわり続け、厩舎の先輩であるクロフネタニノギムレットでも成し遂げられなかった「変則二冠」である。

一方、NHKマイルカップから東京優駿というローテーションは、馬に過酷ということで各方面で物議を醸した。こののち2008年には昆貢厩舎のディープスカイが同じローテーションでNHKマイルカップ・東京優駿を制している。

 

秋初戦の神戸新聞杯でケイアイガードやハーツクライらを退け優勝するも、出走を表明していた天皇賞(秋)の2週間前に右前浅屈腱炎を発症し、10月23日に引退が発表された。

この年のJRA賞最優秀3歳牡馬に選出された。

 

競走馬引退後は国内調教馬としては当時の史上最高額となる総額21億円の種牡馬シンジケートが組まれ、北海道勇払郡安平町の社台スタリオンステーションに種牡馬として繋養され、2005年より供用されている。

2006年7月11日、ノーザンホースパークにおいて行われたセレクトセールにて、初年度産駒の当歳牝馬(母:トゥザヴィクトリー)が6億円という当歳世界最高額で落札された。

サンデーサイレンスの血を持たないため、サンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬との交配ができることがメリットとされ、2010年には年間種付頭数266頭の日本記録を達成している。

 

初年度産駒が競走馬デビューした2008年・2009年と二年連続で4億円超の賞金を獲得し、2歳総合リーディングに輝いた。

2009年は牝駒アパパネが阪神ジュベナイルフィリーズを、牡駒ローズキングダムが朝日杯フューチュリティステークスを制し、史上初めて同一年両2歳GⅠ制覇を達成。ローズキングダム、アパパネはともに最優秀2歳牡馬・牝馬に選出され、ライジン、テスコガビーが選出されたテスコボーイ以来35年ぶりとなる同一年度牡牝最優秀2歳馬輩出種牡馬となった。

 

翌2010年にはアパパネが牝馬三冠を達成、ローズキングダムもジャパンカップに優勝するなど産駒がGⅠ4勝を含むJRA重賞9勝の活躍。

3年連続の2歳リーディングは当年産駒がデビューしたディープインパクトや朝日杯優勝のグランプリボスを輩出したサクラバクシンオーに次ぐ3位に終わったものの、総合では2位のフジキセキに12億円以上の大差をつけて中央および全国リーディングサイアーに輝いた。

サンデーサイレンス系以外の種牡馬がリーディングサイアーとなったのは1994年のトニービン以来16年ぶりのことで、日本においてミスタープロスペクター系の種牡馬がリーディングサイアーとなったのは史上初のことであった。

この年のJRA年間勝利数は179勝まで伸び、これに地方での8勝を加え中央・地方合わせて187勝の新記録となった。

 

翌2011年にはアパパネのヴィクトリアマイルでの勝利によるGⅠ1勝を含む重賞12勝を挙げ、獲得賞金は2位のクロフネに17億円近い大差をつける40億円越えで、2年連続の中央および全国リーディングサイアーを獲得した。JRA年間勝利数も184勝と記録を更新した。

 

2012年には内国産種牡馬のJRA最多勝利記録のディープインパクトの216勝に越えられ2位に後退したものの、当年の年間勝利数は199勝、重賞レース15勝と自己最多を更新。

 

2013年は種付けシーズン途中に体調を崩し交配を中止したため、種付け数は81頭と前年の251頭から大きく減少した。

JRAサイアーランキングは2年連続でディープインパクトに次ぐ2位だったが、ロードカナロアがGⅠ4勝を挙げたほか、ホッコータルマエがかしわ記念、帝王賞、JBCクラシック、東京大賞典を、ベルシャザールがジャパンカップダートを制すなどし、地方競馬でリーディングサイアーとなった。

 

2014年には産駒の通算勝利数が1000を越え、2015年は2月1日の京都開催で7勝、東京開催で4勝を挙げ1日合計で11勝となり、サンデーサイレンスが保持していた記録を更新。

12月にはJRA通算1300勝を達成し、これもサンデーサイレンスの7年1か月22日を更新する7年5か月29日での最速記録となった。

皐月賞・日本ダービーの二冠を制したドゥラメンテや桜花賞を勝利したレッツゴードンキ、宝塚記念と天皇賞・秋を制したラブリーデイ、朝日杯ではリオンディーズ・エアスピネルが1着2着と産駒も活躍したが、サイアーランキングでは収得賞金の差により4年連続でディープインパクトの後塵を拝した。

 

2016年には史上最速でのJRA通算1400勝を、2017年には史上最速でのJRA通算1500勝を達成。

2018年には史上4頭目となるJRA重賞100勝を達成、JRA通算勝利数は1758勝に達し、ブライアンズタイムノーザンテーストを抜いて歴代3位となった。

 

2019年は体調不良により本年度の種付けを見送られた。しかし状態の改善が思わしくなく、種牡馬の引退を発表。この年生まれた当歳馬がラストクロップとなった。

種牡馬引退後は功労馬として、引き続き社台スタリオンステーションにて繋養されていたが、8月9日に死亡した。18歳没。

 

2020年は牝駒デアリングバードの仔・デアリングタクトが牝馬三冠を制し、牝駒プチコの仔・ソダシが阪神JFを勝利し、キングカメハメハは初のJRAリーディングブルードメアサイアーを獲得。2006年から2019年まで14年連続でトップだったサンデーサイレンスを抜いての戴冠となった。

 

2021年もソダシが桜花賞を制し、アパパネの仔アカイトリノムスメが秋華賞を勝利するなどし2年連続でリーディングBMSを獲得した。

 

最終年となった2022年もフラワーカップ(GⅢ)をスタニングローズが勝利し、キングカメハメハは2006年産の初年度産駒から2019年産の14世代すべてで重賞勝ち馬を産んだ。

 

ウマ娘としては・・・?

キングカメハメハ自身は名こそ明らかにされていないものの、ゼンノロブロイの育成シナリオにおいて「一世代下の大王」として取り沙汰されているほか、草案時にはウマ娘としての姿があったとされている。

一方、子であるホッコータルマエが既にウマ娘として登場しており、孫にあたるデアリングタクトもモデルが公開されている。

サンデーサイレンスステイゴールドといった「父親に当たる競走馬」は、ウマ娘としては「登場させにくい」きらいもあるようだが、一方でシンボリルドルフアグネスタキオンタニノギムレットなどは登場しているため、キングカメハメハもウマ娘として登場する可能性は十分あると考えられる。

 

余談だが、草案時に公開された姿は、現在のハッピーミークの容姿と髪型や表情の雰囲気など非常に似通った点が多く見られたことから、「ハッピーミークはソダシがモデルとされている」説を強力に後押ししたとされている。

血統関係

マンファス(Manfath 牝 1991 父:ラストタイクーン(Last Tycoon))

キングカメハメハ(牡 2001 父:キングマンボ(Kingmambo))

 ├ミスアンコール(牝 2006 母:ブロードアピール(Broad Appeal))

 │└ワグネリアン(牡 2015 父:ディープインパクト)

 ├サイトディーラー(牝 2006 母:ベストブート(Best Boot))

 │└モズカッチャン(牝 2014 父:ハービンジャー(Herbinger))

 │

 ├アパパネ(牝 2007 母:ソルティビッド(Solty Bid))

 │└アカイトリノムスメ(牝 2018 父:ディープインパクト)

 ├タイセイレジェンド(牡 2007 母:シャープキック)

 ├ルーラーシップ(牡 2007 母:エアグルーヴ)

 │└※ルーラーシップのページを参照。

 ├ローズキングダム(牡 2007 母:ローズバド)

 ├ウィルパワー(牝 2007 母:トキオリアリティー(Tokio Reality))

 │└インディチャンプ(牡 2015 父:ステイゴールド)

 │

 ├ベルシャザール(牡 2008 母:マルカキャンディ)

 ├ロードカナロア(牡 2008 母:レディブラッサム)

 │├アーモンドアイ(牝 2015 母:フサイチパンドラ)

 │├ダノンスマッシュ(牡 2015 母:スピニングワイルドキャット(Spinning Wildcat))

 │├ステルヴィオ(牡 2015 母:ラルケット)

 │├サートゥルナーリア(牡 2016 母:シーザリオ)

 │├レッドルゼル(牡 2016 母:フレンチノワール)

 │├パンサラッサ(牡 2017 母:ミスペンバリー(Miss Pemberley))

 │├タガロア(Tagaloa 牡 2017 母:ヴァシリーサ)

 │└ダノンスコーピオン(牡 2019 母:レキシールー(Lexie Lou))

 ├ツルマルワンピース(牝 2008 母:ツルマルグラマー)

 │└ブラストワンピース(牡 2015 父:ハービンジャー(Harbinger))

 │

 ├ハタノヴァンクール(牡 2009 母:ハタノプリエ)

 ├ホッコータルマエ(牡 2009 母:マダムチェロキー)

 ├アロマティコ(牝 2009 母:ナスカ)

 │└ジオグリフ(牡 2019 父:ドレフォン(Drefong))

 │

 ├ラブリーデイ(牡 2010 母:ポップコーンジャズ)

 │

 ├デアリングバード(牝 2011 母:デアリングハート)

 │└デアリングタクト(牝 2017 父:エピファネイア)

 │

 ├ドゥラメンテ(牡 2012 母:アドマイヤグルーヴ)

 │└※ドゥラメンテのページを参照。

 ├レッツゴードンキ(牝 2012 母:マルトク)

 ├プチコ(牝 2012 母:シラユキヒメ)

 │└ソダシ(牝 2018 父:クロフネ(Kurofune))

 │

 ├ミッキーロケット(牡 2013 母:マネーキャントバイミーラヴ(Moneycantbuymelove))

 ├リオンディーズ(牡 2013 母:シーザリオ)

 │

 ├レイデオロ(牡 2014 母:ラドラーダ)

 │

 ├チュウワウィザード(牡 2015 母:チュウワブロッサム)

 │

 └ジュンライトボルト(牡 2017 母:スペシャルグルーヴ)