トニービン

Last-modified: Wed, 20 Dec 2023 23:03:57 JST (121d)
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エアグルーヴウイニングチケットなどの父

トニービン(Tony Bin)は、父にカンパラ(Kampala)、母にセヴァンブリッジ(Severn Bridge)を持つアイルランド生まれの競走馬である。

イタリア調教馬としてモルヴェド以来27年ぶりに凱旋門賞を制した。

凱旋門賞では単勝14.9倍の5番人気であったが、最終コーナー12番手から直線で鋭い伸び脚を見せ、1番人気ムトトの追撃をクビ差抑えて優勝した。

勝ちタイムは2分27秒3と、凱旋門賞史上2位のタイムであった。この年の凱旋門賞はソウルオリンピックの最終日と重なっており、男子マラソンのジェリンド・ボルディンの優勝とともにイタリア国内を大いに湧かせた。

 

ジャパンカップに招待

この活躍が評価され、トニービンはジャパンカップ(GI)に招待されることとなった。

現役最終戦となった日本遠征では、競走馬の空輸を内規で禁止していたアリタリア航空が、自ら望んでトニービンの輸送へ手を上げた。

ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、そしてアジアの日本の代表馬が集結したこのレースは「四大陸決戦」と呼ばれ、その中でも凱旋門賞馬トニービンの出走は大きな注目を集めた。カミーチ調教師は「われわれは、勝つことしか考えていない」、「3馬身離して勝つ」と宣言し、ライバルとしては日本のタマモクロスを挙げた。

 

レースでは、日本のメジロデュレンがスローペースで逃げる中で中団に位置し、4コーナーではペイザバトラーやタマモクロスらの後方から進出を開始した。

しかし、最終直線での伸びを欠いて1着から0.4秒差の5着に終わった。トニービンはレース中に骨折を発症しており、ジャパンカップを最後に引退した。

トニービンの新たなオーナーとなっていた社台ファームの吉田照哉はペイザバトラーを勝利に導いたクリス・マッキャロンの騎乗に感銘を受け、レース後には「米国の騎手を起用すれば…」との感想を漏らしている。

 

引退後

引退後は、上述のとおり日本の社台グループが購入し、日本で種牡馬生活を送ることになる。

1994年日本リーディングサイアーを獲得。数多くの活躍馬を出したが、2000年3月10日に急性心不全のために死亡した。

このため2001年産がラストクロップとなり、最終年は種付け期間中の死亡であったため、中央競馬に登録されたのはわずか4頭であった。

 

産駒は東京競馬場との相性がよく、産駒獲得GIのほとんどが東京競馬場での勝利である。産駒は東京競馬場で行われる芝のGIレース(2006年新設のヴィクトリアマイルを除く)を完全制覇している。トニービン血統が「府中の鬼」と呼ばれるのはこれが所以である。

 

2009年7月1日に、ジュラナスリング(2000年産)が引退したことによりすべての産駒が中央競馬より姿を消した。

産駒の種牡馬成績は、ジャングルポケットや1勝ながら種牡馬入りしたミラクルアドマイヤがGI馬を出しており、孫世代のカンパニー、トーセンジョーダンなどが種牡馬入りをしている。ひ孫世代で種牡馬入りした馬はいない。

2021年現在、カンパニーは死亡しており、トニービン系種牡馬の種付け数は合計でも50を超えていない。

 

代表される産駒

 

コミカライズに登場

オグリキャップを主役としたウマ娘のコミカライズ「シンデレラグレイ」では、”四大陸決戦”ジャパンカップにて「トニビアンカ」の名で登場している。

名前が変えられたことについて正確な理由は定かではないが、海外馬の名前は国内馬と比べて使用許諾を取りづらいことや、トニービンのままでは「やや男らしすぎる」から、というのが主な理由と考えられている。

同コミックでは他にムーンライトルナシー(⇒ムーンマッドネス)、ミシェルマイベイビー(⇒マイビッグボーイ)、オベイユアマスター(⇒ペイザバトラー)などが登場している。

 

血統関係

セヴァンブリッジ(Severn Bridge 牝 1965 父:ホーンビーム(Hornbeam))

トニービン(Tony Bin 牡 1983 父:カンパラ(Kampala))

 ├ウイニングチケット(牡 1990 母:パワフルレディ)

 ├サクラチトセオー(牡 1990 母:サクラクレア―)

 ├ノースフライト(牝 1990 母:シヤダイフライト)

 ├ベガ(牝 1990 母:アンティックヴァリュー(Antique Value))

 │└※ベガのページを参照

 ├アイリッシュダンス(牝 1990 母:ビューパーダンス)

 │└ハーツクライ(牡 2001 父:サンデーサイレンス(Sunday Silence))

 │ └※ハーツクライのページを参照。

 ├ユメシバイ(牝 1990 母:ヨドセンリョウ)

 │└ショウワモダン(牡 2004 父:エアジハード)

 ├ロイスアンドロイス(牡 1990 母:ザッツマイパル(That's My Pal))

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 ├オフサイドトラップ(牡 1991 母:トウコウキャロル)

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 ├エアグルーヴ(牝 1993 母:ダイナカール)

 │├アドマイヤグルーヴ(牝 2000 父:サンデーサイレンス(Sunday Silence))

 │└ルーラーシップ(牡 2007 父:キングカメハメハ)

 │ └※ルーラーシップのページを参照。

 ├シネマスコープ(牝 1993 母:ブルーハワイ)

 │└トランセンド(牡 2006 父:ワイルドラッシュ(Wild Rush))

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 ├ビッグモンロー(牝 1994 母:モルゲンロート)

 │└ビッグウルフ(牡 2000 父:アフリート(Afleet))

 ├グレースアドマイヤ(牝 1994 母:バレークイーン)

 │└ヴィクトリー(牡 2004 父:ブライアンズタイム(Brian's Time))

 ├レットルダムール(牝 1994 母:ダイナチャイナ)

 │└アーネストリー(牡 2005 父:グラスワンダー(Grass Wonder))

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 ├トレアンサンプル(牝 1995 母:ダイナアクトレス)

 │└マルカラスカル(牡 2002 父:グラスワンダー)

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 ├エアトゥーレ(牝 1997 母:スキーパラダイス)

 │└キャプテントゥーレ(牡 2005 父:アグネスタキオン)

 ├スプリングチケット(牝 1997 母:カズミハルコマ)

 │└カレンチャン(牝 2007 父:クロフネ(Kurofune))

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 ├ジャングルポケット(牡 1998 母:ダンスチャーマー(Dance Charmer))

 │└※ジャングルポケットのページを参照

 ├レディパステル(牝 1998 母:ピンクタートル(Pink Turtle))

 ├リニアミューズ(牝 1998 母:スリリングディ)

 │└アップトゥデイト(牡 2010 父:クロフネ)

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 ├テレグノシス(牡 1999 母:メイクアウイッシュ)

 └ヒガシリンクス(牝 1999 母:ビッグラブリー)

  └コパノリチャード(牡 2010 父:ダイワメジャー)