三大始祖と品種

Last-modified: Thu, 10 Aug 2023 02:41:24 JST (231d)
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三大始祖とは?

三大始祖とされるダーレーアラビアンゴドルフィンバルブバイアリータークは、今日まで続くサラブレッド種の起源(原種・源流)とされる三頭のことを指す。

血統管理が厳格化され、徹底した管理の下、配合・繁殖を重ねるにあたって「最も古く記録が残されている・確認がされている・現在まで血統が続いている種牡馬」がこの三頭ということである。

 

三つの品種

現在、競走馬の多くは「サラブレッド種(サラ種)」に分類されており、これは前述の通り「人の手によって配合・繁殖を行い、品種改良を重ねた人工品種」である。

サラブレッドの祖先はアラビア半島の遊牧民が手掛けていた「アラブ種(アラビアン)」であるとされ、これをイギリスに持ち込み在来種やその他の品種と掛け合わせて作られたのが「サラブレッド」である。

ダーレーアラビアンは「純血アラブ」とされ、アラビア半島から持ち込まれた種牡馬の内の一頭であった、ということである。

 

一方、北アフリカを原産とするのがゴドルフィンバルブが分類されている「バルブ種」と呼ばれる品種。

バルブ種は最初スペインに持ち込まれ、在来種やアラブ種と交配され、アンダルシアを原産地とする「アンダルシア馬」と呼ばれる品種を生み出した。

アンダルシア馬はその後ヨーロッパにおいて品種改良に積極的に活用されたほか、大航海時代にはアメリカ大陸に多くが持ち込まれた。

ただ、ゴドルフィンバルブに関してはバルブと呼ばれる地方からイギリスに輸入されたものとされ、「血統的にはアラブ種の血を多く受け継いでいた」という見方がされており、現在ではゴドルフィンアラビアンという呼称が一般的となっている。

 

バイアリータークを祖とするのが「ターク種」と呼ばれる品種で、これはオスマン帝国からイギリスに持ち込まれたものとされ、原産はオスマン帝国周辺、現在のトルコ地方であるとされる。

但し、バイアリータークは「オスマン帝国が軍馬として所有していた」ものであり、「オスマン帝国周辺で生産されたもの」というのはあくまで推測である。

当時、馬の繁殖・育成を手掛けていたのはアラビア半島からの遊牧民であったため、「バイアリータークはターク種ではなくアラブ種である」という説や、「ダーレーアラビアンはアラブ種ではなくターク種である」という説など、三頭の品種には諸説ある。

 

血統の研究においても、「推定される原産地」と「記録として所有・供用されていた土地」から「品種」を推定しており、そもそもにおいて「アラブ種の血」とされるものが「本当にアラビア半島を源流とするものなのか?」については、未だ疑問の余地があることは否定できないのである。

名前の由来

三頭それぞれの名は何れも馬主とされる人物から取られており、名称というよりは、血統書を作成するにあたり「ダーレー伯が所持していたアラビアン」「ゴドルフィン伯が所持していたバルブ」「バイアリー将軍が所持していたターク」という”記載別け”を行ったのではないかと考えられる。

出生~幼少期の記録が残されていないバイアリータークは不明だが、ダーレーアラビアンはダーレー伯の手に渡る前は「マンニカ」と呼ばれ、ゴドルフィンバルブは『名馬風の王』の中で「シャム」と呼ばれていた記録が残されている。