世界のG1レース/アメリカンオークスステークス

Last-modified: Wed, 02 Oct 2024 00:13:46 JST (221d)
Top > 世界のG1レース > アメリカンオークスステークス

アメリカンオークスステークス(The American Oaks Stakes)は、毎年12月下旬にアメリカ・カリフォルニア州アルカディアのサンタアニタパークで開催される3歳牝馬のためのGⅠレース。現在の賞金総額は30万米ドル。

 

歴史と概要

初開催は2002年7月6日、カリフォルニア州イングルウッドのハリウッドパーク競馬場で賞金50万ドルのアメリカンオークスインビテーショナル(the American Oaks Invitational)として行われた。

第1回は米国の殿堂入りジョッキーであるアレックス・ソリスが騎乗し、同じく殿堂入り調教師であるボビー・フランケルが調教を担当した英国産牝馬メガヘルツ(Megahertz)が、先にゴールラインを通過したダブリノ(Dublino)の失格によって優勝した。

ダブリノは直線でメガヘルツにぶつかり、さらにケント・デゾルモー騎手のムチがメガヘルツの顔面に2度ヒットしたため、メガヘルツは半馬身遅れてレースを終えた。

 

翌2003年には賞金が75万ドルに増額され、優勝馬はアイルランド調教馬でアイルランド1000ギニーでは3着のディミトロヴァ(Dimitrova)だった。

 

2004年からはGⅠのグレードに分類され、ハリウッドパークは招待競走として世界中から牝馬を集めた。

イギリス、アイルランド、フランス、ニュージーランドから牝馬が集結し、日本からは当年の桜花賞を制し、優駿牝馬では4着となったダンスインザムードが参戦した。

ダンスインザムードは7/5の一番人気だったが、イギリス産馬ティッカーテープ(Ticker Tape)の2着に終わった。

 

2005年7月3日、サンデーサイレンスの孫娘で日本産馬のシーザリオが、6/5の1番人気に支持され、それまで無敗だったメルホールアインダ(Melhor Ainda)に4馬身もの大差をつけて圧勝し、競馬史にその名を刻んだ。

シーザリオは、1959年のワシントンズバースデー・ハンデでアメリカのチャンピオン、ラウンドテーブル(Round Table)を逆転して優勝したハクチカラ以来、約半世紀ぶりにアメリカのステークスレースを制した日本産馬となった。

またシーザリオの走破タイム1:59.03は現在でもレコードとして記録されている。

この勝利は日本でも大きなニュースとなり、日本のメディアがシーザリオと騎乗した福永祐一騎手に群がり、アメリカの連休に日の丸が振られたウィナーズサークルに集まった。

レース前、日本のテレビ局はハリウッドパークからシーザリオと彼女のアメリカンオークスの走りについて1時間のテレビ番組を生中継した。

決勝線を先頭で駆け抜けた彼女に贈られた「ジャパニーズスーパースター」は、アメリカ国内でもシーザリオを表す賛辞として知られている。

 

2006年、8頭立ての3番人気(3/1)で出走したアリンデル・ファームのウェイト・ア・ウィール(Wait A While)は、5番人気(8/5)のアサヒライジング(Asahi Rising/日本)とアラーヴェール(Arravale/カナダ)に4と1/2馬身以上の差をつける圧勝を収めた。

エクリプス賞受賞馬トッド・プレッチャー調教師が騎乗したウェイト・ア・ウィールは、芝ではキャリア2戦目。

ギャレット・ゴメス騎手は、アッティマ(Attima/英)が作った序盤のペースに付き従い、第2コーナーで3馬身ほどの大差をつけ、穏やかな左回りの煽りを受けながら馬群を捌いた。

フォクシーソックス(Foxysox)のアレックス・ビソノ騎手がウェイト・ア・ウィールの妨害行為を主張したため、関係者はレースが正式なものとなるまで数分待たなければならなかった。

ビソノは、勝ち馬が馬群の先頭に躍り出ようとしたとき、ウェイト・ア・ウィールが1/4ポール付近で無理にポジションを取ったと主張した。

しかし、スチュワードはアッティマが交通問題を引き起こしたとし、これを認めなかった。

 

国際招待競走としての開催は2009年が最後となり、2010年からは賞金が25万ドルに削減された。

 

2011年のレースはネレイド(Nereid)とカンビーナ(Cambina)によるデッドヒート(一位同着)が成立。これは1990年のビバリーヒルズ・ハンデでビューティフルメロディ(Beautiful Melody)とリラクタントゲスト(Reluctant Guest)のデッドヒート成立以来で、ハリウッドパークのGⅠでは初となる。また、両牝馬にとっても初のGⅠ勝利となった。

 

2013年にハリウッドパーク競馬場の閉鎖に伴い、サンタアニタパーク競馬場に移設され、2014年と2015年は5月の開催となり、2016年からは12月に行われるサンタアニタパーク・ウィンターミーティングの初日に開催される。

 

このレースは元々1と1/4マイル(約2,000m)で行われていたが、2016年にはサンタアニタのヒルサイドの芝コースを下り、ダートのメイントラックを横切るレースを避けるために1と1/8マイル(約1,800m)に短縮されたが、2017年には元の距離に戻されている。

 

2021年、このレースは史上初めて芝からダートに変更され、自動的にGⅠからGⅡに格下げされたが、見直しの結果、これからもGⅠとして扱われることが決まっている。

 
 
 
 

開催時期は「ウマ娘」に倣い近年の開催時期からおおよその時期を想定。

距離表記は「メートル」で統一。100m単位で四捨五入して表記している。

開催時期競走名場所出走条件馬場/距離関連情報
7月前半アメリカンオークスステークスアメリカハリウッドパーク3歳牝馬
2,000m(中距離)左
 

歴代優勝馬

出走馬は3歳牝馬に限られるため性齢の表記を省略している。

開催年距離優勝馬タイム
20021+1/4 milesメガヘルツ/英
Megahertz(GB)
2:00.46*
2003ディミトロヴァ
Dimitrova
1:59.98
2004ティッカーテープ/英
Ticker Tape(GB)
2:01.54
2005シーザリオ/日
Cesario(JPN)
1:59.03
2006ウェイトアウィール
Wait A While
1:59.38
2007パンティレイド
Panty Raid
2:01.53
2008ピュアクラン
Pure Clan
2:00.50
2009ゴジップガール
Gozzip Girl
2:00.22
2010ハーモニアス
Harmonious
2:01.77
2011カンビーナ/愛
Cambina(IRE)
2:01.46(DH)
ネレイド
Nereid
2012レディオブシャムロック
Lady of Shamrock
2:03.19
2013エモリエント
Emollient
2:02.38
2014ルームサービス
Room Service
2:01.28
2015スパニッシュクイーン
Spanish Queen
2:01.93
20161+1/8 milesデックドアウト
Decked Out
1:47.86
20171+1/4 milesダディズリルダーリン
Daddys Lil Darling
2:00.11
2018コンペティションオブアイディア
Competitionofideas
1:59.77
2019レディプランセロット/愛
Lady Prancealot(IRE)
2:01.70
2020デュオポリー
Duopoly
2:01.70
2021クイーンゴッデス
Queen Goddess
2:04.72
2022リアムーン/愛
Rhea Moon(IRE)
2:00.75
2023アニセット/英
Anisette(GB)
2:00.22
2024
  • 2002年はダブリノ(Dublino)が首位入着したが、直線での妨害行為により失格となり、メガヘルツが優勝した。