''アメリカンオークスステークス(The American Oaks Stakes)''は、毎年12月下旬にアメリカ・カリフォルニア州アルカディアのサンタアニタパークで開催される3歳牝馬のためのGⅠレース。現在の賞金総額は30万米ドル。
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**歴史と概要 [#f375059c]
初開催は2002年7月6日、カリフォルニア州イングルウッドのハリウッドパーク競馬場で賞金50万ドルの''アメリカンオークスインビテーショナル(the American Oaks Invitational)''として行われた。
第1回は米国の殿堂入りジョッキーであるアレックス・ソリスが騎乗し、同じく殿堂入り調教師であるボビー・フランケルが調教を担当した英国産牝馬メガヘルツ(Megahertz)が、先にゴールラインを通過したダブリノ(Dublino)の失格によって優勝した。
ダブリノは直線でメガヘルツにぶつかり、さらにケント・デゾルモー騎手のムチがメガヘルツの顔面に2度ヒットしたため、メガヘルツは半馬身遅れてレースを終えた。
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翌2003年には賞金が75万ドルに増額され、優勝馬はアイルランド調教馬でアイルランド1000ギニーでは3着のディトロヴァ(Dimitrova)だった。
翌2003年には賞金が75万ドルに増額され、優勝馬はアイルランド調教馬でアイルランド1000ギニーでは3着のディミトロヴァ(Dimitrova)だった。
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2004年からはGⅠのグレードに分類され、ハリウッドパークは招待競走として世界中から牝馬を集めた。
イギリス、アイルランド、フランス、ニュージーランドから牝馬が集結し、日本からは当年の桜花賞を制し、優駿牝馬では4着となったダンスインザムードが参戦した。
ダンスインザムードは7/5の一番人気だったが、イギリス産馬ティッカーテープ(Ticker Tape)の2着に終わった。
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2005年7月3日、サンデーサイレンスの孫娘で日本産馬のシーザリオが、6/5の1番人気に支持され、それまで無敗だったメルホールアインダ(Melhor Ainda)に4馬身もの大差をつけて圧勝し、競馬史にその名を刻んだ。
シーザリオは、1959年のワシントンズバースデー・ハンデでアメリカのチャンピオン、ラウンドテーブル(Round Table)を逆転して優勝したハクチカラ以来、約半世紀ぶりにアメリカのステークスレースを制した日本産馬となった。
またシーザリオの走破タイム1:59.03は現在でもレコードとして記録されている。
この勝利は日本でも大きなニュースとなり、日本のメディアがシーザリオと騎乗した福永祐一騎手に群がり、アメリカの連休に日の丸が振られたウィナーズサークルに集まった。
レース前、日本のテレビ局はハリウッドパークからシーザリオと彼女のアメリカンオークスの走りについて1時間のテレビ番組を生中継した。
決勝線を先頭で駆け抜けた彼女に贈られた「ジャパニーズスーパースター」は、アメリカ国内でもシーザリオを表す賛辞として知られている。
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2006年、8頭立ての3番人気(3/1)で出走したアリンデル・ファームのウェイト・ア・ウィール(Wait A While)は、5番人気(8/5)のアサヒライジング(Asahi Rising/日本)とアラーヴェール(Arravale/カナダ)に4と1/2馬身以上の差をつける圧勝を収めた。
エクリプス賞受賞馬トッド・プレッチャー調教師が騎乗したウェイト・ア・ウィールは、芝ではキャリア2戦目。
ギャレット・ゴメス騎手は、アッティマ(Attima/英)が作った序盤のペースに付き従い、第2コーナーで3馬身ほどの大差をつけ、穏やかな左回りの煽りを受けながら馬群を捌いた。
フォクシーソックス(Foxysox)のアレックス・ビソノ騎手がウェイト・ア・ウィールの妨害行為を主張したため、関係者はレースが正式なものとなるまで数分待たなければならなかった。
ビソノは、勝ち馬が馬群の先頭に躍り出ようとしたとき、ウェイト・ア・ウィールが1/4ポール付近で無理にポジションを取ったと主張した。
しかし、スチュワードはアッティマが交通問題を引き起こしたとし、これを認めなかった。
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国際招待競走としての開催は2009年が最後となり、2010年からは賞金が25万ドルに削減された。
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2011年のレースはネレイド(Nereid)とカンビーナ(Cambina)によるデッドヒート(一位同着)が成立。これは1990年のビバリーヒルズ・ハンデでビューティフルメロディ(Beautiful Melody)とリラクタントゲスト(Reluctant Guest)のデッドヒート成立以来で、ハリウッドパークのGⅠでは初となる。また、両牝馬にとっても初のGⅠ勝利となった。
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2013年にハリウッドパーク競馬場の閉鎖に伴い、サンタアニタパーク競馬場に移設され、2014年と2015年は5月の開催となり、2016年からは12月に行われるサンタアニタパーク・ウィンターミーティングの初日に開催される。
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このレースは元々1と1/4マイル(約2,000m)で行われていたが、2016年にはサンタアニタのヒルサイドの芝コースを下り、ダートのメイントラックを横切るレースを避けるために1と1/8マイル(約1,800m)に短縮されたが、2017年には元の距離に戻されている。
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2021年、このレースは史上初めて芝からダートに変更され、自動的にGⅠからGⅡに格下げされたが、見直しの結果、これからもGⅠとして扱われることが決まっている。
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開催時期は「ウマ娘」に倣い近年の開催時期からおおよその時期を想定。
距離表記は「メートル」で統一。100m単位で四捨五入して表記している。
|開催時期|競走名|国|場所|出走条件|馬場/距離|関連情報|
|7月前半|アメリカンオークスステークス|アメリカ|ハリウッドパーク|3歳牝馬|芝&br;2,000m(中距離)左||
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**歴代優勝馬 [#j24197eb]
出走馬は3歳牝馬に限られるため性齢の表記を省略している。
|開催年|距離|優勝馬|タイム|
|2002|1+1/4 miles|メガヘルツ/英&br;Megahertz(GB)|2:00.46*|
|2003|~|ディミトロヴァ&br;Dimitrova|1:59.98|
|2004|~|ティッカーテープ/英&br;Ticker Tape(GB)|2:01.54|
|2005|~|シーザリオ/日&br;Cesario(JPN)|''1:59.03''|
|2006|~|ウェイトアウィール&br;Wait A While|1:59.38|
|2007|~|パンティレイド&br;Panty Raid|2:01.53|
|2008|~|ピュアクラン&br;Pure Clan|2:00.50|
|2009|~|ゴジップガール&br;Gozzip Girl|2:00.22|
|2010|~|ハーモニアス&br;Harmonious|2:01.77|
|2011|~|カンビーナ/愛&br;Cambina(IRE)|2:01.46(DH)|
|~|~|ネレイド&br;Nereid|~|
|2012|~|レディオブシャムロック&br;Lady of Shamrock|2:03.19|
|2013|~|エモリエント&br;Emollient|2:02.38|
|2014|~|ルームサービス&br;Room Service|2:01.28|
|2015|~|スパニッシュクイーン&br;Spanish Queen|2:01.93|
|2016|1+1/8 miles|デックドアウト&br;Decked Out|1:47.86|
|2017|1+1/4 miles|ダディズリルダーリン&br;Daddys Lil Darling|2:00.11|
|2018|~|コンペティションオブアイディア&br;Competitionofideas|1:59.77|
|2019|~|レディプランセロット/愛&br;Lady Prancealot(IRE)|2:01.70|
|2020|~|デュオポリー&br;Duopoly|2:01.70|
|2021|~|クイーンゴッデス&br;Queen Goddess|2:04.72|
|2022|~|リアムーン/愛&br;Rhea Moon(IRE)|2:00.75|
|2023|~|アニセット/英&br;Anisette(GB)|2:00.22|
|2024|~|||
-2002年はダブリノ(Dublino)が首位入着したが、直線での妨害行為により失格となり、メガヘルツが優勝した。