デインヒル のバックアップ(No.1)


ファインモーションの父

デインヒル(Danehill)は、アメリカ生まれの競走馬、種牡馬である。

現役時代はイギリス、フランス、アイルランドで走り9戦4勝の成績を収めた。G1競走の勝利は1989年に開催されたスプリントカップの1勝のみ。クラシックは2000ギニーでナシュワンの3着、アイリッシュ2000ギニーでシャーディーの4着。そのほかの勝ち鞍はコーク&オラリーステークス(G3)、ヨーロピアンフリーハンデキャップ(LR:リステッドレース。日本語訳では「準重賞」と訳されることもあるが、JRAは”グループ制”ではなく”グレード制”を導入しているため、純粋に比較となる対象は限定されていない。JRAにおいては2019年度から導入され、オープン特別競走の中で「質の高い競走」として指定を受けた一部のレースに適用されている)。

 

世界を股に掛けたスーパーサイアー

引退後はアイルランドの大牧場であるクールモアスタッドで種牡馬生活を送り、北半球がオフシーズン(秋・冬)の時はオーストラリアで種付けを行った。ここでオーストラリア2歳チャンピオンのフライングスパー(Flying Spur)が出る。

その後本国アイルランドでアイリッシュダービー優勝馬デザートキング(Desert King)を出すなどの成功を収めた。

2005年にはイギリスにおいて、長らくリーディングサイアーに君臨し続けていたサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)を破るという快挙を成し遂げた。

こうした功績により、北半球に本拠地をおく種牡馬がオフシーズンには南半球(オーストラリア・ニュージーランド等)で種付けを行なう「シャトル種牡馬」という畜産ビジネスが確立した。

 

産駒もまた種牡馬として活躍し、北半球ではデインヒルダンサー(Danehill Dancer)が2009年イギリス・アイルランドリーディングサイアー、ダンシリ(Dansili)が2007年フランスリーディングサイアーに、南半球ではフライングスパーが2006-2007年、リダウツチョイス(Redoute's Choice)が2005-2006年と2009-2010年、ファストネットロック(Fastnet Rock)が2011-2012年と2014-2015年にオーストラリアリーディングサイアーになっている。

 

日本では1996年に1年だけリース種牡馬としてイーストスタッドで種牡馬生活を送った。産駒として神戸新聞杯を制したフサイチソニック(現種牡馬)およびブレイクタイム(京成杯オータムハンデキャップ2回・安田記念2着)などの活躍馬を出したが、当初の期待ほどの大物産駒は現れなかった(ただし、1997年生まれの生産年別統計ではサンデーサイレンストニービンに次ぐ3位で、ブライアンズタイムなどよりは上位の成績を残してはいた)。その他外国産馬としてではあるが、秋華賞およびエリザベス女王杯を優勝したファインモーションやエプソムカップ勝ち馬のツクバシンフォニーなどを出している。その後も産駒が何頭か輸入されていたが、海外における実績と比較してやや小粒な印象は否めなかった。

 

母の父としても良績を残しており、凱旋門賞優勝馬デインドリームなどのほか、日本でもエイジアンウインズ(ヴィクトリアマイル)、フェノーメノ(天皇賞(春)2回)といったGI馬を出した。特に父ガリレオとの配合には顕著な実績を挙げ、歴代最高レーティングを獲得したフランケルを代表として多くの活躍馬を輩出している。