ノースフライト のバックアップ(No.2)
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- 1 (2023-09-17 (日) 21:52:39)
- 2 (2023-09-19 (火) 00:04:02)
- 3 (2024-08-03 (土) 09:10:50)
- 4 (2024-08-03 (土) 22:49:48)
- 5 (2024-08-10 (土) 04:27:49)
◆登場予告◆
2023年9月、ウマ娘5th EVENTにてノースフライトが登場することが発表された。
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マイルの女王と呼ばれた名牝
ノースフライトは、日本の競走馬、繁殖牝馬である。
1993年に中央競馬でデビュー。翌1994年に安田記念、マイルチャンピオンシップと二つのGI競走を制覇し、同年のJRA賞最優秀5歳以上牝馬に選出された。
特にマイルの競走で5戦全勝という成績を残し、「マイルの女王」と称され、ファンからは「フーちゃん」の愛称でも親しまれた。
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生い立ち
母であるシャダイフライトは当時18歳と高齢ながら、社台グループが導入した新種牡馬トニービンの初年度産駒を宿した状態でセリ市に上場され、大北牧場の3代目場主・斎藤敏雄によって410万円と当セリ市の最安値で取引される。
同年4月、シャダイフライトは鹿毛の牝馬、後のノースフライトを未明にひとりで出産。人の手を借りずに産まれた仔は朝に発見されたときには既に立ち上がっていたという。
種馬トニービンの血を強く受け継ぎ、がっしりというよりはむっちりとした好馬体の持ち主であったが、この年が初年度だったトニービンのほかの産駒について、馬産地では「華奢で頼りない」という評判が立っており、本馬は普通以上の体格を備えていたにもかかわらず一向に買い手が付かなかったため、やむなく大北牧場の所有となり、大北牧場の「北(North)」に母名の一部「フライト」を加え、「ノースフライト」と名付けられた。
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4歳(1993)
順調に成長する健康的な馬だったが、育成のペースが上がらず、4歳(1993年)になってから奈良県の育成場に移ったのち、同年2月に滋賀県栗東トレーニングセンターの加藤敬二厩舎に入厩。
栗東で調教が積まれている最中、同期4歳馬のクラシック戦線ではベガやウイニングチケットを筆頭とするトニービン産駒が大活躍を見せていたが、この時点で斎藤はノースフライトの競走能力に大きな期待は寄せておらず「競走馬としてはだめでも繁殖としては価値がある」と思っていたのみだった。
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5月1日、西園正都を鞍上に新潟開催の未出走戦でデビュー。当日は1番人気に推されると、2着に9馬身差を付けて初戦勝利を挙げた。
約3カ月後の足立山特別(500万下条件戦)では武豊が手綱を執り、ここも8馬身差で圧勝。
2戦の内容に「(春の牝馬二冠を制した)ベガの三冠を阻む馬」との声も上がり、同馬の主戦騎手を務める武も「キャリア1戦の上に休養明けでこれだけのレースができるんだから、能力が違う」「秋にはベガのライバルになるかも」と評した。
しかし牝馬三冠最終戦のエリザベス女王杯を見据えて出走した秋分特別(900万下条件戦)では、調整過程で発熱や蕁麻疹を生じ順調でなかったことや、競走当日に発情を起こしたこともあり、生涯最低の5着と敗れた。
エリザベス女王杯出走に向けて獲得賞金加算の必要があったことから、10月16日には2クラスの格上挑戦となる重賞の府中牝馬ステークスに出走。
角田晃一を背に当日4番人気の支持を受けると、好位追走から直線で余裕をもって抜けだし、キャリア4戦目での重賞初勝利を挙げた。
これでエリザベス女王杯の有力馬となったが、勝った3戦はいずれも1600メートル近辺の距離で、唯一の敗戦は2000メートルでのものだったことから、エリザベス女王杯の2400メートルという距離を不安視する見方もあった。
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11月14日のエリザベス女王杯では、距離不安もあり5番人気の評価だった。
レースでは中団追走から最後の直線で一時先頭に立ったが、直後に9番人気のホクトベガに内側からかわされ、同馬に1馬身半差の2着と敗れた。
騎乗した角田は「抜け出したときは勝てると思ったんですが、ホクトベガはノーマークでした」と語った。年末には武豊騎乗で阪神牝馬特別を制し、重賞2勝目を挙げてシーズンを終えた。
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5歳(1994)
5歳となった1994年は京都牝馬特別から始動し、2着に6馬身差をつけて勝利。
このとき武、加藤はいずれもノースフライトがマイラーであるとの印象を語り、以後はマイル路線を進んでいくことになる。
続くマイラーズカップでは牡馬との初対戦となったが、当年秋にジャパンカップを制するマーベラスクラウンをクビ差退け、レコードタイムで勝利。武は「着差以上に強い内容でした。危なげない勝ち方だったと思いますよ」と称えた。
競走後、陣営は春のマイル王決定戦・安田記念への出走を明言したが、武は加藤に対し、別の前哨戦である京王杯スプリングカップ終了まで、安田記念におけるノースフライト騎乗の判断を保留させて欲しいと願い出た。
京王杯スプリングカップでは武が騎乗したフランス調教馬・スキーパラダイスが、他に出走した外国馬3頭を2~4着に従えて優勝した。
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5月15日、前年より国際競走となったGI・安田記念に出走。
外国勢にはスキーパラダイスのほか、1000ギニーやジャック・ル・マロワ賞などの優勝馬サイエダティ(イギリス)、フォレ賞の優勝馬ドルフィンストリート(イギリス)、ミドルパークステークス優勝馬ザイーテン(UAE)といったGI級の実績馬が揃い、「ジャパンカップにも見劣りしないほどのメンバー」となった。
武は当日1番人気となったスキーパラダイスに騎乗し、5番人気となったノースフライトの騎手はエリザベス女王杯でも騎乗した角田晃一が務めた。
スタートが切られるとノースフライトは出遅れて後方からのレース運びとなったが、先行勢が競り合いながら進んだ結果、1000メートル通過は日本レコードから0.5秒差の56秒9という非常に速いペースで推移。
ノースフライトは後方から最終コーナーで先団に取り付くと、最後の直線の残り200メートル付近で先頭に立ち、そのまま2着トーワダーリンに2馬身半差をつけてGI初制覇を果たした。
走破タイム1分33秒2は競走史上2番目の記録(当時)。これは調教師の加藤にとっても初めてのGI制覇だった。加藤は「会心の競馬」と語り、角田は「世界の強豪馬を相手にこれだけ強い競馬をするんだから、本当に凄い馬ですよね」とノースフライトを称えた。
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「ギリギリの仕上げ」で臨んだことから春はこれをもって休養に入り、北海道のノーザンファーム空港牧場で夏を過ごした。
帰厩後の秋は11月のマイルチャンピオンシップへ直行の予定だったが、状態の向上が早かったことから前哨戦のスワンステークスより始動。ここには前年のスプリンターズステークス優勝馬で、安田記念で4着と敗れていたサクラバクシンオーも出走し、「スプリント王」と「マイル女王」が、それぞれの最適距離から長短やや異なる1400メートルで対戦することになった。
生涯最短の距離に臨んだノースフライトは道中でやや追走に苦労する様子を見せると、最終コーナーでもスムーズに馬群から抜け出せず、直線で追い込んだもののサクラバクシンオーから1馬身1/4差の2着と敗れた。
なお、同馬の走破タイム1分19秒9は1400メートルで初めて1分20秒を切る日本レコードタイム(当時)であり、2017年にイスラボニータに破られるまで阪神競馬場のレコードタイムであった。
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11月20日、目標のマイルチャンピオンシップに出走。戦前にはこの競走を最後としての引退が発表された。
サクラバクシンオーとの再戦となったが、マイルの距離ではノースフライトが優位と見られ、単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持された。サクラバクシンオーが3.3倍で続き、3番人気のフジノマッケンオーは11倍超と大きく離されていた。
スタートが切られると、サクラバクシンオーは3番手、ノースフライトはその後ろにつけた。第3コーナーからペースが上がり、最後の直線入口でサクラバクシンオーが先頭に立つが、ノースフライトが直線半ばでこれを捉え、1馬身半差で勝利した。
走破タイム1分33秒0は、従来の記録を0秒3更新するコースレコード。同一年度に安田記念とマイルチャンピオンシップを連覇したのは1985年のニホンピロウイナー以来9年ぶり2頭目の記録だった。
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加藤は「引退させるには惜しいとの声も聞きますが、今後の厳しい状況を考えると、ちょうどいい時期かとも思います」と語り、また大北牧場の斎藤も「惜しいとはみなさんに言っていただきますけど、彼女にはこれからも仕事がありますから、これがベストだろうと思っています」と語った。11月30日、ノースフライトは競走登録を抹消され、繁殖入りのため大北牧場へ戻った。
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翌1995年1月、当年のJRA賞最優秀5歳以上牝馬に選出。またJRAのフリーハンデでは短距離部門の牝馬として歴代最高評価となる60キログラムを与えられた。
安田記念とマイルチャンピオンシップを制したものの、JRA賞最優秀短距離馬はサクラバクシンオーが選出された。
大川慶次郎は、前年最優秀短距離馬に選出されたヤマニンゼファーは同年のスプリンターズステークスでサクラバクシンオーに敗れており、その理論で言うとこの年はサクラバクシンオーを退けてGIを2勝したノースフライトが選出されなかったことはおかしいと述べ、「評価の基準が一定でないのに、記者が勝手な判断で票を入れているということになります」と不満を露わにし、当時大川自身もJRAに「1600mを勝った馬を"短距離馬"というカテゴリーに入れるのか入れないのか、記者にきちんと説明しないと迷うよ」と伝えていたことを後年に明かしている。
当年は中央競馬史上5頭目のクラシック三冠を達成したナリタブライアンが年度代表馬に選定されたが、投票では1票のみノースフライトに投じられていたため、満票選出とならなかった。
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引退後(1995~)
初年度の交配相手ノーザンテーストをはじめとして、数々のランキング上位の種牡馬と交配されたが、2001年のプリンシパルステークスに勝利したミスキャスト(父サンデーサイレンス)のほかに、オープンクラスで活躍する馬は出なかった。
ミスキャストは引退後に種牡馬となり、2012年の天皇賞・春を勝ったビートブラックを出した。初年度産駒のキコウシは2006年から2011年まで阪神競馬場で誘導馬を務めた。
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2011年の不受胎を最後に繁殖を引退。以後は北海道浦河町の大北牧場で功労馬として余生を過ごしていたが、2018年1月22日、心不全のため死去。
血統関係
◆母
シャダイフライト(牝 1973 父:ヒッティングアウェー(Hitting Away))
└ノースフライト(牝 1990 父:トニービン(Tony Bin))
└ミスキャスト(牡 1998 父:サンデーサイレンス(Sunday Silence))
└ビートブラック(牡 2007 母:アラームコール)
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◆母の父の父
アンビオリクス(Ambiorix 牡 1946 母:ラヴェンデュラ(Lavendula))
├ファンタン(Fantan 牝 1952 母:レッドアイ(Red Eye))
│└ラグサ(Ragusa 牡 1960 父:リボー(Ribot))
│ └ミスカリズマ(Miss Charisma 牝 1967 母:マタティナ(Matatina))
│ └ミルジョージ(Mill George 牡 1975 父:ミルリーフ(Mill Reef))
│ ├イナリワン(牡 1984 母:テイトヤシマ)
│ └シスターミル(牝 1990 母:スイトアンジュレ)
│ └セイウンスカイ(牡 1995 父:シェリフズスター(Sheriff's Star))
├ハイヴォルテージ(High Voltage 牝 1952 母:ダイナモ(Dynamo))
│├ボールドコマンダー(Bold Commander 牡 1960 父:ボールドルーラー(Bold Ruler))
││├ダストコマンダー(Dust Commander 牡 1967 母:ダストストーム(Dust Storm))
│││└ローズコマンダー(牝 1976 母:ハマヒリュウ)
│││ └シンコウウインディ(牡 1993 父:デュラブ(Doulab))
││└ケーディープリンセス(K D Princess 牝 1971 母:タミーズターン(Tammy's Turn))
││ └コンキスタドールシエロ(Conquistador Cielo 牡 1979 父:ミスタープロスペクター(Mr. Prospector))
││ └スィートシエロ(Sweet Cielo 牝 1987 母:チェンジウォーター(Change Water))
││ └ツルマルツヨシ(牡 1995 父:シンボリルドルフ)
│└イレイディエイト(Irradiate 牝 1966 父:リボー(Ribot))
│ └マジェスティックライト(Majestic Light 牡 1973 父:マジェスティックプリンス(Majestic Prince))
│ └ニシノフラワー(牝 1989 母:デュプリシト(Duplicit))
├アンバーモーン(Amber Morn 牡 1956 母:ブレイクオモーン(Break o' Morn))
│└サニーモーニング(Sunny Morning 牝 1965 母:ライター(Lighter))
│ └スタッツブラックホーク(Stutz Blackhawk 牡 1977 父:ミスタープロスペクター(Mr. Prospector))
│ └ケイエスミラクル(K.S.Miracle 牡 1988 母:レディベンドフェイジャー(Lady Bend Fager))
├エンバイオポイズ(Ambiopoise 牡 1958 母:ブルポイズ(Bull Poise))
│└クリアアンバー(Clear Amber 牝 1967 母:ワンクリアコール(One Clear Call))
│ ├アンバーシャダイ(牡 1977 父:ノーザンテースト(Northern Taste))
│ │└メジロライアン(牡 1987 母:メジロチェイサー)
│ │ ├メジロブライト(牡 1994 母:レールデュタン)
│ │ └メジロドーベル(牝 1994 母:メジロビューティー)
│ └サクラハゴロモ(牝 1984 父:ノーザンテースト(Northern Taste))
│ └サクラバクシンオー(牡 1989 父:サクラユタカオー)
│ └シュガーハート(牝 2005 母:オトメゴコロ)
│ └キタサンブラック(牡 2012 父:ブラックタイド)
├ヒッティングアウェー(Hitting Away 牡 1958 母:ストライキング(Striking))
│└シャダイフライト(牝 1973 母:フォーワードフライト(Forward Flight))
│ └ノースフライト(牝 1990 父:トニービン(Tony Bin))
└フォーチュネイトアイル(Fortunate Isle 牝 1959 母:スリッピー(Slippy))
└ラレドラス(Laredo Lass 牝 1971 父:ボールドルーラー(Bold Ruler))
└ミタラン(Mitterand 牝 1981 父:ホールドユアピース(Hold Your Peace))
└フレンチデピュティ(French Deputy 牡 1992 父:デピュティミニスター(Deputy Minister))
└クロフネ(Kurofune 牡 1998 母:ブルーアヴェニュー(Blue Avenue))
└カレンチャン(牝 2007 母:スプリングチケット)
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◆母の父の母
ストライキング(Striking 牝 1947 父:ウォーアドミラル(War Admiral))
├グラマー(Glamour 牝 1953 父:ナスルーラ(Nasrullah))
│└ポーカー(Poker 牡 1963 父:ラウンドテーブル(Round Table))
│ └マイチャーマー(My Charmer 牝 1969 母:フェアチャーマー(Fair Charmer))
│ └シアトルスルー(Seattle Slew 牡 1974 父:ボールドリーゾニング(Bold Reasoning))
│ ├ゴールドメリディアン(Gold Meridian 牡 1982 母:クイーンルーイ(Queen Louie))
│ |└ティーケイ(Tee Kay 牝 1991 母:トリーアールゴ(Tri Argo))
│ | └シンボリクリスエス(Symboli Kris S 牡 1999 父:クリスエス(Kris S.))
│ | └デアリングタクト(牝 2017 母:デアリングバード)
│ ├ミステリーズ(Mysteries 牝 1986 母:ファイディラ(Phydilla))
│ |└ヒシアケボノ(Hishi Akebono 牡 1992 父:ウッドマン(Woodman))
│ ├グレンヴァー(Glenveagh 牝 1986 母:リザデル(Lisadell))
│ |└サドラーズギャル(Saddlers Gal 牝 1989 父:サドラーズウェルズ(Sadler's Wells))
│ | └エルコンドルパサー(El Condor Pasa 牡 1995 父:キングマンボ(Kingmambo))
│ ├ページプルーフ(Page Proof 牝 1988 母:バーブスボールド(Barb's Bold))
│ |└シーキングザパール(Seeking the Pearl 牝 1994 父:シーキングザゴールド(Seeking the Gold))
│ └タカノセクレタリー(Takano Secretary 牝 1996 母:サマーセクレタリー(Summer Secretary))
│ └カワカミプリンセス(牝 2003 父:キングヘイロー)
├ソーシック(So Chic 牝 1954 父:ナスルーラ(Nasrullah))
│└ダッパーダン(Dapper Dan 牡 1962 父:リボー(Ribot))
│ └ビューティワン(牝 1975 母:ミスジェーン)
│ └ファティマ(牝 1983 父:ロイヤルスキー(Royal Ski))
└ヒッティングアウェー(Hitting Away 牡 1958 父:アンビオリクス(Ambiorix))
└シャダイフライト(牝 1973 母:フォーワードフライト(Forward Flight))