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- アーラシュ。イラン神話(ペルシャ神話)に登場する英雄。60年余りに渡るイランとトゥランの戦争を、その一矢をもって終わらせたとされる。
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| | 2つ名について
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- 呼称は「射手のアーラシュ」という意味の「Āraŝ-e Kamāngīr/アーラシェ・カマンギール(Fateではカマンガー)」と、「速い矢のアーラシュ」という意味の「Árish Shívátír/アーリシュ・シバティール」、「Āraššēbāṭīr/アーラシュシェーバーティール」、「Āraš-e Šewātīr/アーラシェ・シェーワーティール 」などが存在する。『アヴェスター』における名は「Ǝrəxša, Erekhsha/ウルフシャ」で、速い(震える)矢のウルフシャやアーリア人で最も速い矢を射るものなどと呼ばれており、実は「速い矢」という異名で呼ばれている資料の方が圧倒的に多い。「アーラシュの矢のように速い」といった比喩として使われることもある。fateでは「アーラシュ・カマンガー」という独自のものになっている。
- 「迅き弓兵」についてだがゼンド=アヴェスターが編集された際の英語翻訳の本文で”Erekhsha, the swift archer”と翻訳していたことから。附属の注釈では「速い矢」となっており、「速い矢」の由来は最期の一射が流星のようだったことからついた2つ名なので走るシーンがないアーラシュ自体が速いというのは意味が通らないので恐らく誤謬だと思われる。fateでは「迅き弓兵」が採用されている。
- アーラシュについて調べて頂くとすぐに分かるが、「カマンギール(射手)」と記述される資料は殆ど存在しない。アーラシュ調べの先駆者の調べによると、アーラシュ・カマンギールという通称で定着したのは、20世紀後半のアーラシュ・ブームの折、Siavash Kasraiが1959年に発表した叙事詩『アーラシェ・カマーンギール』のヒットが大きな要因と見て間違いないとのこと。また、この詩は民族主義を掲げるパフラヴィー朝の下で学校の教科書にも載ったという。
- 海外では「アーラシェ」と呼ぶのが一般的。これは綴りで書くとĀraŝ-e Kamāngīrとなっているように、「アーラシュ」に「-e」がつき、「アーラ”シェ”」となっているため。「-e」はエザーフェというペルシア語における接尾辞のことである。イランでは「アーラシェ・カマンギール」というフルネームで英雄のアーラシュを指すため(アーラシュと言っても「どのアーラシュさん?」となる)、必然的にアーラシェ呼びになるといったところ。
- 因みに名前の発音は、原音を聞いた限り「アラシェ¯・カ\マーン・ギ\ール」という具合、アクセント記号は『NHK日本語発音アクセント新辞典』を参考(後ろに『 ¯ 』がつく単語は平板発音、『\』は\のあとの字の音が下がる)。
▋原典におけるアーラシュ
- イラン神話(ペルシャ神話)に登場する英雄。
60年余りに渡るイランとトゥランの戦争を、その一矢をもって終わらせたとされる。
この一矢はタバリスタンしか残っていなかったイランの救済措置であり、国境決めであると同時に飛んだ距離だけイランに領土を返還するという意味があった。タバリスタンの山から放ったアーラシュの矢の飛距離は2500km、即ち約2500km分の領土を取り返して戦争を終わらせたのである。故に、彼はイランの救世主として称えられている。
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| | 二つ名について
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- アーラシュの二つ名はいくつかあり、
「射手のアーラシュ」という意味の「Āraŝ-e Kamāngīr(アーラシェ・カマーンギール)」。
「速い矢のアーラシュ」という意味の「Árish Shívátír(アーリシュ・シバティール)」、「Āraššēbāṭīr(アーラシュシェーバーティール)」、「Āraš-e Šewātīr(アーラシェ・シェーワーティール) 」などがある。
ゾロアスター教の経典『アヴェスター』では「Ǝrəxša(Erekhsha/ウルフシャ)」という名前で、「速い(震える)矢のウルフシャ」や「アーリア人で最も速い矢を射るもの」などと呼ばれている。
- アーラシュについて調べて頂くとすぐに分かるが、「カマンギール(射手)」と記述される資料は殆ど存在しない。
アーラシュ調査の先駆者の調べによると、「アーラシュ・カマンギール」という通称で定着したのは、20世紀後半のアーラシュ・ブームの折、Siavash Kasraiが1959年に発表した叙事詩『アーラシェ・カマーンギール』のヒットが大きな要因と見て間違いないとのこと。また、この詩は民族主義を掲げるパフラヴィー朝の下で学校の教科書にも載ったという。
- 「速い矢」という異名で紹介している資料が圧倒的に多く、「アーラシュの矢のように速い」といった比喩として使われることもある。
- 海外では「アーラシェ」と発音するのが一般的である。
これは綴りが「Āraŝ-e Kamāngīr」となっているように、「アーラシュ(Āraŝ)」に「-e」がつき、「アーラ”シェ”(Āraŝ-e)」となっているため(「-e」はエザーフェというペルシア語における接尾辞である)。
イランでは「アーラシェ・カマンギール」という二つ名で英雄のアーラシュを指すため(アーラシュという名前の方が多くいるので省いてしまうと「どのアーラシュさん?」となってしまう)、必然的にアーラシェ呼びになったというところ。
- 因みに名前の発音は、原音を聞いた限り「アラシェ¯・カ\マーン・ギ\ール」という具合、アクセント記号は『NHK日本語発音アクセント新辞典』を参考(後ろに『 ¯ 』がつく単語は平板発音、『\』は\のあとの字の音が下がる)。
- Fateでは「アーラシュ・カマンガー」という独自のものになっている。
これはペルシア語の「Kamāngīr」を英語読みにしているため。
- ペルシア語なのに英語読みするの?と思われるが、これは日本人に馴染みがないだけで、海外ではその国の発音で名前を呼ぶことが多い。例えば「カエサル(ラテン語読み)」を「シーザー(英語読み)」と呼ぶのも同じこと。
- 「迅き弓兵」について
これは『ゼンド=アヴェスター』(『アヴェスター』の注釈書)が編集された際の英語翻訳の本文で「Erekhsha, the swift archer」と翻訳していたことから。
直訳すると「速い弓兵」となってしまうが、附属の注釈では「速い矢」となっており、この二つ名の由来は「最期の一射が流星のようだった」ことからついたものなので、アーラシュ自体が速いというのは意味ではない(そもそも走るシーンがない)ため恐らく誤謬だと思われる。
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| | 活動時期・同時期にいた英雄
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- アーラシュが命を落とした正確な時期は不明だが、モーセがエジプトにいる時期には既に戦争は始まっており、型月ではオジマンディアスがその存在を知っていること、トゥラン人がゾロアスター教の教典『アヴェスター』に記載されていることから、おおよそ紀元前15世紀ごろの伝説と推測される。マヌーチェフル王に仕えていたことから、英雄サームがまだ生きている時期の英雄。恐らく英雄ザールの同期、少なくともロスタムよりは先輩。
- マヌーチェフル王の治世が20年経った頃にエジプトにはモーセが現れた。モーセは予言の能力でファラオを圧倒し、彼の教えはシリアとマグリブにも広まっていく。モーセのことはマヌーチェフル王の耳にも入ってきていたが、その頃トゥランに東を攻め落とされていたのでそれどころではなかった。最終的にイランは10年間タバリスタンで籠城し、それにうんざりしたトゥランの王アフラーシアーブから和平を持ちかけられる。その条件は、マヌーチェフル王の軍隊の中で弓を引くのが最も熟練していて、最も力強く矢を放てる人物にタバリスタンから矢を射させてそれが落ちた場所を二国の国境とするというイランにとってかなり不利なものであった。マヌーチェフル王は全軍の中で最も優れた射手であるアーラシュにこの役目を命じることになる。(『Chronique de Abou Djafar-Moʻhammed-ben Djarir-ben-Yezid Tabari, 』(著:Ṭabarī)から。以後『TABARI』)
ファラオがモーセに圧倒されたと記述はあるが、それがラムセス二世かは不明。
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| | 最期の一射の詳細とその評価
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- 叙事詩『アーラシェ・カマーンギール』においてこの最期の一射は流星に例えられている。『アヴェスター』のティシュタル・ヤシュトではティシュトリヤ星という彗星がアーラシュの矢に例えられている。
- 『アル=ビールーニー』ではイスファンダルマド/Isfandarmadh(『インド・イラン研究』というドイツの論文によると地球の世話をする天使。日本のwikiによるとアールマティの訛った読み方)という矢の製作者でもある護り神が指定した大きさの弓と矢をマヌーチェフル王は用意する。そして彼はアーラシュという高貴で敬虔で賢い男を呼び寄せ、彼に弓を取り矢を射るよう命じた。アーラシュは前に出て、服を脱ぎ、語る。「王様、そして皆様方、私の身体をご覧ください。私の身体には傷も病もございません。それでも、この弓矢を使えば私の身体は砕け散り、そして死ぬでしょう。ですが、私はあなた方の為に犠牲になることを決心しました」。それから彼は仕事に取り掛かった。そして、彼は神から授かった全ての力で弓を引き絞り、それから矢を放つと身体がバラバラになった。神の命令により、風は矢をルーヤーンの山から遠ざけ、ファルガーナとタバリスタンの間のクラーサーンの最前線まで運んだ。矢は世界でも類を見ない大きさのナッツの木の幹に刺さった。矢が射出されてから落下するまでの距離は1000Farsakh(パラサング)。アフラースィヤーブとマヌーチェフルはこの一矢に基づいて条約を締結した。
- 日本語Wikipediaの記事では「見ろ! 私の体には傷一つ病一つない。だがこの矢を放ったとき、私は滅びるだろう」となっているが、『Tafażżolī, Ahmed (1987). “Āraš”Encyclopaedia Iranica. 2. New York: Routledge & Kegan Paul. pp. 266–267』の英語記事から翻訳したものと思われる。
- FGOでのアーラシュの詠唱の最後の追加された文はこのビールーニーの台詞からと思われる。
- 『TABARI』では弓を引くのが熟練していて、力強く矢を放てる者に矢を射させ、矢は人々の主張によるとハゲ鷹に当たり落ちたとされ、そうタバリスタンにも報告される。矢は見つかったが獣や鳥に食べられたのかハゲ鷹の死体など無かった、となっている。
- アーラシュが命を落とした正確な時期は不明だが、モーセがエジプトにいる時期には既に戦争は始まっており、型月ではオジマンディアスがその存在を知っていること、トゥラン人がゾロアスター教の教典『アヴェスター』に記載されていることから、おおよそ紀元前15世紀ごろの伝説と推測される。
- マヌーチェフル王に仕えていたことから、英雄サームがまだ生きている時期の英雄。恐らく英雄ザールの同期、少なくともロスタムよりは先輩。
- 『アヴェスター』によるとアーラシュの矢がこんなに遠くまで飛んだ理由は矢がアフラ・マズダーとアムシャ・スプンタ(七善神)に護られていたためとされている。神々が矢の路を作り、後ろから矢を支えていたことが記述されている。絆礼装にある七つの流星はアーラシュの矢が無事フワンワト山に刺さるのを見届ける(助ける)七神と思われる。
- ミスラが大きな道を拓き、矢の軌道にある障害物をどかしてくれた。
- ペルシャの物語で射手に名声を与えたとされる矢(原文はarrowではなくshot)は3つ存在する。サーワ王を殺害したバフラーム・チュービナーの矢、戦いで復讐相手の乗る馬の頭を射抜いて捕らえるが殺さずに返したことで感銘受けた敵国の王が和平を呼びかけたスーファラルの矢、そして・・自己犠牲によりイランを救ったアーラシュの矢である。
- 『タバリスタンの歴史』の英訳("E. J. W. GIBB MEMORIAL"SERIES VOL, II.)の記述ではアーラシュの矢は2つあるペルシャの栄光の矢(原文はarrowではなくshot)のうちの1つとされる。もう1つはワリス/Wahrizがアビシニアンズ/Abyssiniansの王を殺害した矢。ワリスはヌシルワンの時代のペルシャの将軍とされる。Wikipedia(英)によるとWahrizの他にBōē、Boes、Wahrezといった名前もある。
- マヌーチェフル王の治世が20年経った頃にエジプトにはモーセが現れた。
モーセは予言の能力でファラオを圧倒し、彼の教えはシリアとマグリブにも広まっていく。
モーセのことはマヌーチェフル王の耳にも入ってきていたが、その頃トゥランに東を攻め落とされていたのでそれどころではなかった。
最終的にイランは10年間タバリスタンで籠城し、それにうんざりしたトゥランの王アフラーシアーブから和平を持ちかけられる。その条件は「マヌーチェフル王の軍隊の中で弓を引くのが最も熟練していて、最も力強く矢を放てる人物にタバリスタンから矢を射させて、それが落ちた場所を二国の国境とする」というイランにとってかなり不利なものであった。マヌーチェフル王は全軍の中で最も優れた射手であるアーラシュにこの役目を命じることになる。(『Chronique de Abou Djafar-Moʻhammed-ben Djarir-ben-Yezid Tabari, 』(著:Ṭabarī)から。以後『TABARI』)
- ファラオがモーセに圧倒されたと記述はあるが、それがラムセス二世かは不明。
- 『シャー・ナーメ』のアルジャースプとゴシュタースプの戦争の際、アルジャースプ/Arjaspは自分の兵士達がザリール/Zarīrに一騎当千されているのを見ながら「まさに今、サームの戦棍とアーラシュの矢が、その炎で軍勢を燃やし王国全体を焦土にしている!だが、足元で呻き声をあげてる負傷者は、まだ1人も焼き尽くされてはいない。」と叫んでいる(ザリールの戦闘力をアーラシュの矢とサームのメイスに例えているだけで、アーラシュはとっくに亡くなっている。)。『シャー・ナーメ』でアーラシュは数ヶ所言及されるだけなのだが、「アーラシュの矢」という単語がさらっと出たと思ったら、サームの戦棍(メイス)と同列に扱われる大英雄の矢であった。
- サームは竜を戦棍の一撃で仕留めている、この竜はロスタムが倒した龍の祖先ともされており、「竜」ではなく「龍」とされることもあるので型月設定的にはかなりとんでもない。竜となっている理由だが、単純に英語ではどちらも"Dragon"であるため。ロスタムの龍退治も絵や作中の描写から蛇のように長いという特徴から龍となっているが、英文ではドラゴンとなっている。「一撃のサーム」、「必殺のサーム」という異名を持つ。
- 『Asiatic Papers』(著:Dr Jevanji Jamshedji)の論文では、「アルジャースプ/Arjaspとザリール/Zarīrの戦った戦争で、サームは最高の戦棍使い(best mace-man)と呼ばれ、そしてアーラシュは最高の射手と呼ばれている」と記述されている。どの作品でそう言及されているのかは不明。
- 1918年3月23日頃のドイツ軍が60マイルも離れたパリを砲撃したこと(大砲でこの飛距離は当時としては偉業とのこと)とアーラシュの矢の類似点についての人類学の論文が存在する。
- アーラシュの伝説は物理的に国境を作ってトゥランの進行を食い止めたのではなく、既にイラン側は籠城するしかないくらいまでトゥランに進軍され、和平を結ぶうえで矢が飛んだ範囲まで領土を返してくれるという話。矢は基本的に木の幹などに刺さるなどして終わる。fateでは「国境を定めた」ということから「大地を割った」というふうにして宝具化している。
- アフラシアーブが決まりを守った理由だが、神が介入している場合は神が仲介していたため逆らえなかったことから、神が介入していない場合は平和条約を口約束ではなく紙に書いて誓ってしまっていたことから、約束を反故には出来なかったといったところ。まあ・・まさかここまで矢が飛ぶとは普通思うまい。
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| | マヌーチェフル王
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Manūchehr (ペルシア語:منوچهر、古ペルシャ:Manōčihr、アヴェスター:Manuščiθra)、『TABARI』(『使徒たちと諸王の歴史』の仏語訳)ではMinetschehr。
- マヌーチェフル王について
Manūchehr 、ペルシア語:منوچهر、古ペルシャ:Manōčihr、アヴェスター:Manuščiθra、『TABARI』(『使徒たちと諸王の歴史』の仏語訳)ではMinetschehr)。
イランの最大の叙事詩『シャー・ナーメ』に置けるピーシュダート朝7代王。公正で公平な王として尊敬されていた。
フェリドゥーンの息子であるイーラジの孫である。イーラジの娘とフェリドゥーンの兄弟の息子パシャンとの間に産まれる。所謂、近親婚で産まれた子供。
曽祖父であるフェリドゥーン王の世界帝国が崩壊した後、イランを統治した伝説的なイランの最初の王である。『王書』(岩波文庫)の説明によるとマヌーチェフルが王に即位したあたりから神話から伝説へと時代が移り変わっていく(日本神話における神武天皇みたいなものか)。このことから、神代最後の王と言える。
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| | マヌーチャフル王についての詳細
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- 曽祖父であるフェリドゥーン王の世界帝国が崩壊した後、イランを統治した伝説的なイランの最初の王である。『王書』(岩波文庫)の説明によるとマヌーチェフルが王に即位したあたりから神話から伝説へと時代が移り変わっていく(日本神話における神武天皇みたいなものか)。このことから、神代最後の王と言える。
『王書』においてマヌーチェフルが王位についたのを境に様々な英雄が活躍する英雄時代となり、王ではなく勇者が主人公になる。この英雄時代がイランの人々に一番親しまれているとされる。東洋文庫の王書は神話時代がまるまるカットされているので注意(岩波文庫の『王書』には掲載されている。逆にこちらはロスタムの七道程を省略するなど英雄時代の見所を省略しているので注意)。
フェリドゥーンが王国を分割するとき、イーラジはイランの中心部だけでなく、神の加護も賜る。それをよく思わなかったイーラジの異母兄弟のサルムとトゥールはイーラジを共謀して殺害してしまう。
- フェリドゥーンが王国を分割するとき、イーラジはイランの中心部だけでなく、神の加護も賜る。それをよく思わなかったイーラジの異母兄弟のサルムとトゥールはイーラジを共謀して殺害してしまう。
暫くしてマヌーチェフルが産まれ、成長し、王のマナーを学んだ後、フェリドゥーンはマヌーチェフルにイーラジ殺害の報復のための軍隊を授ける。マヌーチェフルも罪のない祖父を殺したことの報復に燃える。サルムとトゥールは、この状況を理解し表面上は悔い改めるが、フェリドゥーンはこれを拒否した。その結果、二人は大きな軍隊を集めてイランに進軍する。マヌーチェフルもまた、カヴェの息子であるカランが率いる軍隊とともに、ガルシャスプ、サーム、クバッドとともに、これに迎え撃つ。幾度の戦闘の後、サルムとトゥールはマヌーチェフルの手で殺され、彼らの頭はフェリドゥーンに送られる。その後、マヌーチェフルはフェリドゥーンから王位を譲られ、王として守るべき教えを伝えられた。また、戦いに同行していた武将の1人であるサームがその後見となる。
- ルーダーベ姫がザッハークの子孫であることから、サームの息子であるザールとルーダーベ姫の結婚を反対していたが、サームからの手紙と、ザールとルーダーベ姫の間に生まれる子供がイランを幾度も救う英雄となるという予言を聞き、最終的にはザールの結婚に賛成する。
- 王位に就いてからはサーム、ザール、カーリン(カーレン)、アーラシュ、といった英雄達が彼に仕えている。
『TABARI』によるとマヌーチェフル王は外国にもアンテナを張っており、モーセの予言のことも治世20年の頃に把握している。しかし、その時はアフラシアーブ王率いるトゥーラン軍に東から攻め混まれ、それどころではなかった。最終的にトゥーランの軍隊に取り囲まれタバリスタンに籠城することになる。タバリスタンは食べ物などが豊かであったため、籠城はそれ程苦しいものではなく、この籠城は10年間続く。膠着状態であったこの戦争は、アフラシアーブから講和を持ち掛け、アーラシュの矢が国境を定めて終わる。
- 120年の治世の後に亡くなり、息子のナウザルに引き継がれる。
しかし、ナウザルが王位に就くとたちまち国は腐敗し堕落し、イランの人々は「ナウザルに代わって王になってくれ」とサームに頼み込む有り様。サームはこれを拒否し、ナウザルにマヌーチェフルの教えを思い出させる。サームに諭されたナウザルは心を入れ替えイランを安定化させようと奮起するも、イランが弱体化したのを見たアフラスィヤーブがすぐさまイランを攻め、ナウザルを殺害してしまう。マヌーチェフルの息子ナウザルの治世はたったの7年間で終わる。
- 『シャー・ナーメ』におけるマヌーチェフル王は生涯に栄光が欠けることのない常勝の王とされている。
- アフラシアーブはマヌーチェフルが亡くなった時代にも登場し、イランに攻めてくるが、イラン神話の登場人物は基本的に長寿であり、アフラシアーブもまた何百年と生きる。また、アフラシアーブ自体がかなり好戦的。
読み手としても、またアフラシアーブが攻めてきたのか…というレベル
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ルーダーベ姫がザッハークの子孫であることから、サームの息子であるザールとルーダーベ姫の結婚を反対していたが、サームからの手紙と、ザールとルーダーベ姫の間に生まれる子供がイランを幾度も救う英雄となるという予言を聞き、最終的にはザールの結婚に賛成する。
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| | 最期の一射の詳細
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- 『アル=ビールーニー』では「イスファンダルマド/Isfandarmadh(『インド・イラン研究』というドイツの論文によると地球の世話をする天使。日本のwikiによるとアールマティの訛った読み方)」という矢の製作者でもある護り神が指定した大きさの弓と矢をマヌーチェフル王は用意する。
そして彼はアーラシュという高貴で敬虔で賢い男を呼び寄せ、彼に弓を取り矢を射るよう命じた。アーラシュは前に出て、服を脱ぎ、語る。
王位に就いてからはサーム、ザール、カーリン(カーレン)、アーラシュ、といった英雄達が彼に仕えている。
『TABARI』によるとマヌーチェフル王は外国にもアンテナを張っており、モーセの予言のことも治世20年の頃に把握している。しかし、その時はアフラシアーブ王率いるトゥーラン軍に東から攻め混まれ、それどころではなかった。最終的にトゥーランの軍隊に取り囲まれタバリスタンに籠城することになる。タバリスタンは食べ物などが豊かであったため、籠城はそれ程苦しいものではなく、この籠城は10年間続く。膠着状態であったこの戦争は、アフラシアーブから講和を持ち掛け、アーラシュの矢が国境を定めて終わる。
「王様、そして皆様方、私の身体をご覧ください。私の身体には傷も病もございません。それでも、この弓矢を使えば私の身体は砕け散り、そして死ぬでしょう。ですが、私はあなた方の為に犠牲になることを決心しました。」
120年の治世の後に亡くなり、息子のナウザルに引き継がれる。
しかし、ナウザルが王位に就くとたちまち国は腐敗し堕落し、イランの人々は「ナウザルに代わって王になってくれ」とサームに頼み込む有り様。サームはこれを拒否し、ナウザルにマヌーチェフルの教えを思い出させる。サームに諭されたナウザルは心を入れ替えイランを安定化させようと奮起するも、イランが弱体化したのを見たアフラスィヤーブがすぐさまイランを攻め、ナウザルを殺害してしまう。マヌーチェフルの息子ナウザルの治世はたったの7年間で終わる。
それから彼は仕事に取り掛かった。
そして、彼は神から授かった全ての力で弓を引き絞り、それから矢を放つと身体がバラバラになった。
神の命令により、風は矢をルーヤーンの山から遠ざけ、ファルガーナとタバリスタンの間のクラーサーンの最前線まで運んだ。矢は世界でも類を見ない大きさのナッツの木の幹に刺さった。
矢が射出されてから落下するまでの距離は1000Farsakh(パラサング)。アフラースィヤーブとマヌーチェフルはこの一矢に基づいて条約を締結した。
- 日本語Wikipediaの記事では「見ろ! 私の体には傷一つ病一つない。だがこの矢を放ったとき、私は滅びるだろう」となっているが、『Tafażżolī, Ahmed (1987). “Āraš”Encyclopaedia Iranica. 2. New York: Routledge & Kegan Paul. pp. 266–267』の英語記事から翻訳したものと思われる。この英語記事にある台詞もビールーニーにある台詞を簡略化して記述しているだけと思われる。
- FGOでのアーラシュの詠唱の最後の追加された文は、このビールーニーの台詞からと思われる。
- 『TABARI』では弓を引くのが熟練していて、力強く矢を放てる者に矢を射させ、矢は人々の主張によるとハゲ鷹に当たり落ちたとされ、そうタバリスタンにも報告される。矢は見つかったが獣や鳥に食べられたのかハゲ鷹の死体など無かった、となっている。
『シャー・ナーメ』におけるマヌーチェフル王は生涯に栄光が欠けることのない常勝の王とされている。
- 『アヴェスター』においては、アーラシュの矢がこんなに遠くまで飛んだ理由は矢がゾロアスター教のアフラ・マズダー最高神とアムシャ・スプンタ(七善神)に護られていたためとされている。
神々が矢の路を作り、後ろから矢を支えていたことが記述されている。絆礼装にある七つの流星はアーラシュの矢が無事フワンワト山に刺さるのを見届ける(助ける)七神と思われる。
- ミスラが大きな道を拓き、矢の軌道にある障害物をどかしてくれた。
アフラシアーブはマヌーチェフルが亡くなった時代にも登場し、イランに攻めてくるが、イラン神話の登場人物は基本的に長寿であり、アフラシアーブもまた何百年と生きる。また、アフラシアーブ自体がかなり好戦的。読み手としても、またアフラシアーブが攻めてきたのか・・というレベル
- アーラシュの伝説は物理的に国境を作ってトゥランの進行を食い止めたのではなく、既にイラン側は籠城するしかないくらいまでトゥランに進軍され、和平を結ぶうえで矢が飛んだ範囲まで領土を返してくれるという話。矢は基本的に木の幹などに刺さるなどして終わる。
- Fateでは「国境を定めた」ということから「大地を割った」という風にして宝具化している。
- アフラシアーブが決まりを守った理由だが、神が介入している場合は神が仲介していたため逆らえなかったことから、神が介入していない場合は平和条約を口約束ではなく紙に書いて誓ってしまっていたことから、約束を反故には出来なかったといったところ。
まあ…まさかここまで矢が飛ぶとは普通思うまい。
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- 初出は『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』に登場するアーチャー。日独ハーフの女魔術師、エルザ・西条のサーヴァント・アーチャー。
ただし、『Fate/Grand Order』稼働時点においてはアーチャー陣営がメインとなる以前の出番が少ない時期であり、ビジュアルは『TYPE-MOONエース』vol.10が初出、真名の判明は本作が初で、実質的に『蒼銀のフラグメンツ』からの先行登場とも言うべき特殊な経緯を持つ。
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| | 最期の一射への評価
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- 叙事詩『アーラシェ・カマーンギール』においてこの最期の一射は流星に例えられている。
『アヴェスター』のティシュタル・ヤシュトではティシュトリヤ星という彗星がアーラシュの矢に例えられている。
- ペルシャの物語で射手に名声を与えたとされる矢(原文はarrowではなくshot)は3つ存在する。
サーワ王を殺害したバフラーム・チュービナーの矢、戦いで復讐相手の乗る馬の頭を射抜いて捕らえるが殺さずに返したことで感銘受けた敵国の王が和平を呼びかけたスーファラルの矢、そして……自己犠牲によりイランを救ったアーラシュの矢である。
- 『タバリスタンの歴史』の英訳("E. J. W. GIBB MEMORIAL"SERIES VOL, II.)の記述ではアーラシュの矢は2つあるペルシャの栄光の矢(原文はarrowではなくshot)のうちの1つとされる。もう1つはワリス(Wahriz)がアビシニアンズ(Abyssinians)の王を殺害した矢。ワリスはヌシルワンの時代のペルシャの将軍とされる。Wikipedia(英)によるとWahrizの他にBōē、Boes、Wahrezといった名前もある。
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| | 東方の大英雄とされる理由の詳細・アーリア人の歴史
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- イランはその名のごとく「アーリア人の国」の意味である。ペルシアというのはギリシア・ローマ人がそう呼んだもの。
紀元前三〇〇〇年頃、中央アジアにいたと思われる古印欧語族が東西に移動をはじめる。ヨーロッパ方面のゲルマンなどが西方系、イラン・インドへ向かったのが東方系。実はこのうち「アーリア」を自称したのは東方系で、アーリア人とは狭義にはイラン高原とインド亜大陸の印欧語族をさす。
- 叙事詩『シャー・ナーメ』では、アルジャースプとゴシュタースプの戦争の際、アルジャースプ(Arjasp)は自分の兵士達がザリール(Zarīr)に一騎当千されているのを見ながら「まさに今、サームの戦棍とアーラシュの矢が、その炎で軍勢を燃やし王国全体を焦土にしている!だが、足元で呻き声をあげてる負傷者は、まだ1人も焼き尽くされてはいない。」と叫んでいる(ザリールの戦闘力をアーラシュの矢とサームのメイスに例えているだけで、アーラシュはとっくに亡くなっている。)。
- 『シャー・ナーメ』でアーラシュは数ヶ所言及されるだけなのだが、ドラゴン殺しの英雄サームの戦棍(メイス)と同列に扱われる大英雄の矢であった。
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| | 余談・サームについて
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- サームはドラゴンを戦棍の一撃で仕留めている。
これにより「一撃のサーム」、「必殺のサーム」という異名を持つ。
このドラゴンはロスタムが倒したドラゴンの祖先ともされている。
単純に英語ではどちらもドラゴンとされているが、日本ではロスタムの倒したドラゴンは絵や作中の描写より蛇のように長いという特徴から「龍」とも訳される(サームの倒したドラゴンは「竜」とも「龍」とも訳される)。
- 型月設定では「竜」と「龍」を使い分けているが、これらのドラゴンがどちらに属するのかは不明(上記のものは、あくまでそう訳している資料があるという話)。
詳細はあまり言及されていないが、倒すべき悪としての場合は「竜」、神霊的な存在の場合「龍」が使われる傾向にある様子。
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- 『Asiatic Papers』(著:Dr Jevanji Jamshedji)の論文では、「アルジャースプ(Arjasp)とザリール(Zarīr)の戦った戦争で、サームは最高の戦棍使い(best mace-man)と呼ばれ、そしてアーラシュは最高の射手と呼ばれている」と記述されている。どの作品でそう言及されているのかは不明。
- 1918年3月23日頃のドイツ軍が60マイルも離れたパリを砲撃したこと(大砲でこの飛距離は当時としては偉業とのこと)とアーラシュの矢の類似点についての人類学の論文が存在する
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| | 東方の大英雄とされる理由・アーリア人の歴史
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- イランというのは「アーリア人の国」の意味である、ペルシアというのはギリシア・ローマ人がそう呼んだもの。
紀元前3000年頃、中央アジアにいたと思われる古印欧語族が東西に移動をはじめる。ヨーロッパ方面のゲルマンなどが西方系、イラン・インドへ向かったのが東方系。実はこのうち「アーリア」を自称したのは東方系で、アーリア人とは狭義にはイラン高原とインド亜大陸の印欧語族をさす。
つまり、古ローマより東の世界が東側だからというのより狭義な理由で言うのであれば、古印欧語族の東方系がアーリア人であるからといったところ。
- そのインドに入ったアーリア人がバラモンを組織し、イラン高原に入ったアーリア人の中からゾロアスター教が生まれてくる。だからこの両者の神話には似たモチーフがまま見られる。ゾロアスター教はザラスシュトラ・スピターマ(ゾロアスター)が開祖だが、実態としてはアーリア人にそれ以前から伝わった神話・伝承をザラスシュトラが組織立ったものとして再構築したもの、と見て良いだろう。これはBC12〜9世紀頃と思われるがよく分からない。アケメネス朝時代にはかなりしっかりとした教義があり、聖典もあったと思われるが詳細は不明。
はっきりし出すのはAD224にサーサーン朝ペルシアが確立し、ここでゾロアスター教が国教とされ、聖典『アベスターグ(アヴェスター)』が編纂されて以降である。しかし『アベスターグ』も完全な形では後世に伝わらなかった。アラブに起こったイスラームの勢力にサーサーン朝が粉砕された際に散逸してしまったのだ。そうした中で、アーリア的であった神話伝説群はイスラーム的な再解釈を交え再構成されることになる。こうしてイランの神話伝説は11C初頭にフェルドウスィーにより一大叙事詩『王書(シャー・ナーメ)』としてまとめられることになる。ようは、英雄譚・叙事詩として『シャー・ナーメ』ほど完成されているものがないため、結果的に『シャー・ナーメ』の主要人物が重要視される。
- イスカンダルこと、アレクサンドロス(カイ・イスカンダル王)も『王書(シャー・ナーメ)』に登場する。『シャー・ナーメ』の王朝を古い順で並べるとピーシュダード朝、カヤーン朝、アシュカーン朝、サーサーン朝の4王朝で構成される。アーラシュがピーシュダード朝時代の英雄でイスカンダルとダレイオス三世はカヤーン朝後期の英雄。
- そのインドに入ったアーリア人がバラモンを組織し、イラン高原に入ったアーリア人の中からゾロアスター教が生まれてくる。そのため、この両者の神話には似たモチーフがまま見られる。
ゾロアスター教はザラスシュトラ・スピターマ(ゾロアスター)が開祖だが、実態としてはアーリア人にそれ以前から伝わった神話・伝承をザラスシュトラが組織立ったものとして再構築したもの、と見て良いだろう。その成立時期はBC12〜9世紀頃と思われるがよく分からない。アケメネス朝時代にはかなりしっかりとした教義があり、聖典もあったと思われるが詳細は不明。
- はっきりし出すのはAD224にサーサーン朝ペルシアが確立し、ここでゾロアスター教が国教とされ、聖典『アベスターグ(アヴェスター)』が編纂されて以降である。
しかし『アベスターグ』も完全な形では後世に伝わらなかった。アラブに起こったイスラームの勢力にサーサーン朝が粉砕された際に散逸してしまったのだ。そうした中で、アーリア的であった神話伝説群はイスラーム的な再解釈を交え再構成されることになる。こうしてイランの神話伝説は11世紀初頭にフェルドウスィーにより一大叙事詩『王書(シャー・ナーメ)』としてまとめられることになる。
ようは、英雄譚・叙事詩として『シャー・ナーメ』ほど完成されているものがないため、結果的に『シャー・ナーメ』の主要人物が重要視される。
- イスカンダルこと、アレクサンドロス(カイ・イスカンダル王)も『王書(シャー・ナーメ)』に登場する。『シャー・ナーメ』の王朝を古い順で並べるとピーシュダード朝、カヤーン朝、アシュカーン朝、サーサーン朝の4王朝で構成される。アーラシュがピーシュダード朝時代の英雄でイスカンダルとダレイオス三世はカヤーン朝後期の英雄。
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- 「頑健EX」スキルの由来は『ビールーニー』での「私の身体をご覧ください。私の身体には傷も病気もございません。それでも、この弓矢を射てば私の身体は砕け散り、そして死ぬでしょう。」という台詞からというのが濃厚。fateでの「数多の戦で傷一つ負うことが無かった」という設定も恐らくこの台詞から膨らませたもの。アーラシュが突出して頑健だったという資料はとくに無いが、長い戦争の中、傷と病気がないのは考えようによっては確かに特殊なのかもしれない。
- 耐久力については、アールマティの加護は耐久面を強化してくれる逸話が多いのでそっちが由来とも推察出来る。
- 毒は病もないというところからか。一応、イランで毒を扱う敵には龍がいる。サームの倒した龍とイスファンディヤールが倒した龍はどちらも毒を撒き散らし、2人を苦しめている。ロスタムの倒した龍はサームの倒した龍の子孫とされていることから、ロスタムの倒した龍にも毒があったのかもしれない。
- 高ランクの「千里眼」スキルにより相手の考えていることやこの先考えること、ある程度なら未来や過去の出来事まで読み取ることができる。しかし、相手がそれを表に出したくなかったり知りたくなかったりしたなら黙って知らないフリをする、などかなり紳士的。
マシュのスリーサイズもわかる。『ビールーニー』で高貴で敬虔で賢い男と記述されており理知的な人物なのは原典通りだったりする。
- アーラシュの千里眼がAランクもあり、また未来視や思考まで読む力が備わっている設定の由来は分からない。一応、ゾロアスター教の教えの中には視覚とは別の「天眼」というものはあるが定かではない。「天眼」とは視認ではなく観照する眼、観音菩薩の眼と類似している。由来の候補としてもう1つは、『ビールーニー』で矢を放つ前から用意された弓矢を使えば自分が死ぬであろうことを王に話すシーンがあり、かなり強引だが未来予知と言えるのかもしれない・・。
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| | ゾロアスター教 認識論『天眼』
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①人間の外発的認識作用(5つの感官=身体の外部の情報を内部に運ぶもの)
「視覚」、「嗅覚」、「聴覚」、「味覚」、「触覚」
②人間の内発的認識作用(内部から意識が発生するもの)
「記憶の力=対象を求めて獲得」、「耳の力=保持・回想」、「知恵の力=嘱目・識別・活動(→知恵の力は「天眼=メーノーグ的観照」に到達することが可能)」。サーサン朝時代のゾロアスター教の世界観はメーノーグ界とゲーティーグ界に二分する。ゲーティーグ界とは現象界(物質的な世界)、メーノーグ界とはイデア界(精神的な世界)である。
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| | 余談
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- アーラシュの物語はマヌーチェフル王とアフラシアーブの戦争終結直前の話であり、極端に言えば矢を一射するだけの話なのでアーラシュ個人についてはそれ程深くは描写されていなかったりする。
- そもそもアーラシュの台詞がない場合の方が圧倒的に多い。古い資料だと『ビールーニー』の「自分の身体に傷も病もない~」という有名な台詞だけ。
- Fateではそれを上手いこと膨らませており、10を100まで膨らませているレベルでありながら、イラン神話の色んな観点からアプローチすることで綺麗にキャラを完成させている。
- アーラシュの詩『Āraš-e kamāngīr』は、ボリュームがあるとのこと。
①は五感が外部から情報を持ってくることで意識に影響を及ぼすという話、言ってしまえば物理的な話。②は外部に能動的になることで影響を及ぼす部分、知恵の力のみが天眼に到達するとされる。ようするに②は哲学的な部分で「人の心」に重きを置いている機能といったところ。
- 英雄は短命という印象があるが、イラン神話の英雄は500年や700年と何百年と生きるのが当たり前で、仮にアーラシュが青年だとしたらイラン神話の英雄としては非常に短い生涯である。
- 生霊が身体に君臨し、身体に「意識」が生まれる。そこから、記憶の力・耳の力・知恵の力が「認識」を生み、それは生気から思考への道が清浄であるとき神々に至近する。そのとき、智慧は「天眼」に至る。簡単に言えば、身体には五感といった様々な器官があるが意識しなければそれらに意味がない。魂があって初めて意識が生まれ、意識があるから認識がある。さらに、認識が清く正しきものとして心に届けば視認ではなく観照となる。イラン版「観自在」(事物の姿を自由自在に正しく見きわめられる眼)といったところ。
- また、ゾロアスター教にとって知恵とは多ければいいというわけではない。喜悦が欠如し知が過多となれば厚顔無恥となり、喜悦が過多となり知が欠如すれば無自覚となる。重要なのは中庸であることであり、喜悦と知が合一となったときがよい状態といえる。これは「中庸の徳」という考えからくる。
(『デーンカルド 第3巻』より)
- 善き思考であるときにこの「天眼」に到達出来るとされるので、アーラシュの物語でアールマティが顕現する場合があることからアーラシュが「天眼」に到達している可能性もなくはない(宗教的なものなので「善き思い」を「善き思考」と合一させて捉えていいかは判断が難しく、断定は出来ない)。
- アールマティは「善き者が善き思いを達成するのを手助けする為に肉体化して地上に降臨する」とされる。
- 一応、『ビールニー』でアーラシュは賢い男とされてはいる。
- 『シャー・ナーメ』によるとイランとトゥランの戦争はマヌーチェフルの治世中は小競り合い程度で、ナウザル王の代から深刻化するとされる。
- 『シャーナーメ』の話の流れで言えば、マヌーチェフル王の代のアフラーシアーブとの小競り合いをアーラシュの一射で終わらせ、しばらく休戦となり、ナウザルが王になり少ししてサームが死ぬ、サームが死んだのを見て、またアフラーシアーブがイランに侵略を仕掛けて激しい戦争になるといったところ(アフラーシアーブ王の統治は200年とも400年ともされる)。
- アーラシュの一射は長い間、境界として働いたとシャーナーメでも説明されているが、どれくらい休戦状態にあったのかは曖昧(登場人物が長生きし過ぎててよく分からない)。
- 『JOURNAL ASIATIQUE』(歴史や文化を抜粋して記述されてる仏語資料)では、ロスタムが生まれ、サームがSeistanからSegsarsに戻ったあと、アフラシアーブがイランに侵略を開始する。
ザールがDjihounの向こうへとトゥラン軍を何回も押し戻すが、サームとザールが不在中に無数の軍勢で攻められてしまう。
イランが数年間籠城し、アーラシュが矢を撃って境界を定めて和平を結ぶことになる……という旨になっており、アーラシュとナリーマン家が同じ話にちゃんと登場する。サーム、ザール、アーラシュといった大英雄が三人もいながら劣勢に陥るという疑問もサームとザールの不在のタイミングを狙われたからとなれば納得がいく。
- 『An abridged translation of the history of Tabaristán』(著:IbnIsfandiyar,Muhammad ibn al Hasan)という英語資料ではアフラシアーブの策略により「カーリン(Qàrin、『HISTOIRE DES ROIS DES PERSES』ではカーレン/Qàren)」が持ち場を離れることになり、カーリンの代わりにアーラシュが軍事指揮を引き継ぐ。
そしてカーリンがいないのを見計らいアフラシアーブはペルシャ軍を攻撃しだし、ペルシャ軍はイラクまで追いやられてしまう。マヌーチェフル王は慌ててカーリンを呼び戻し、指揮官に復帰させる。
- アーラシュが軍事指揮を担当する場面もあるが、アーラシュに指揮官が変わってから劣勢になってしまっているので……輝かしい場面ではない。ただアーラシュは和平の条件が出されてから初めて名前が出てくるというのがお決まりなので、トゥランに追い詰められる前に触れて貰えるのはかなり貴重。
- 『HISTOIRE DES ROIS DES PERSES』(著:Thalib, Abd al-Malik ibn)という仏語資料だとマヌーチェフル王の治世が終わったあとにアフラシアーブが攻めてくる展開になっており時期が異なる。大まかに言えば、ナウザルが殺され、アフラシアーブがイランを支配し、アーラシュの射た矢が届いた場所までの土地を放棄するという展開。
- フェリドゥーンの子孫であるTarmasfの息子Zawが矢と弓を作らせ、アーラシュにそれを使い矢を射るように言う。アーラシュは高齢で人生の瀬戸際、この一射の為に体力を温存している。アフラシアーブの前でタバリスタンの山を登りアフラシアーブが印を刻んだ矢を射るとたちまちアーラシュの寿命は尽きた。
矢はタバリスタンからバドギス(Badhghis)まで飛び、矢が落ちそうになると天使が神の命令で矢に刺激を与えた。矢はバルム(Balkh)州のホルム(Khoulm)に到達し、Kouzinという場所に落ちた。
- 直訳だと『この一射のためにアーラシュを保存』、『矢をいると、すぐに期限が切れた』となっているので、アーラシュの寿命が満了して力尽きた意と解釈し翻訳。
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- 「弓矢作成」はアールマティが女神であると同時に弓矢の設計者であったことから。伝説上ではアーラシュが弓と矢を作成することはないが、Fateにおいてはアールマティの加護を授かってるのでアールマティの能力が使えるといったところ。
- 宝具を使用しない場合の間合いは東京都内全土を覆い尽くして余りあるとされており、都内(23区)という意味なら射程20㎞近く、東京都全土という意味だと東京全てを円で覆うには半径50㎞くらいは必要な為その射程は50㎞はあることになる。
- エミヤは隣り街までは流石に視認出来ないと凛に語っており、作中の情報からその射程は4km~程と思われる(新都全域が射程圏内とされている)。仮にアーラシュの間合いが23区内という意味だったとしても、同じアーチャークラスでも視認出来ない距離から狙撃出来ることになる。
- ただしアルケイデスは20㎞以上先からギルガメッシュを狙撃している。
- 空飛ぶ事件の際、「いい着地地点
(落下地点)も見えたからな!」と言い20㎞先まで主人公達を飛ばし、ロマニも「だいたい10や20キロくらいの距離、彼にとって準備運動みたいなもんだよ。」と言っていることから、射程50km以上という可能性が一番濃厚。これだけの間合いなら仮に冬木の聖杯戦争に参加した場合、新都から郊外のアインツベルン城に矢の雨を降らせるということも可能だろう。
- 敵としての登場はイベント「激闘!クラス別サーヴァント戦」のアーチャー編のボスが初。基本性能は味方として使うのと同じ。
そしてこの当時は宝具を使って死ぬのも同じで、敵のアーラシュが宝具を放った時点で1人でも控えが残っていれば勝ち確定となる。南無。
- しかし「ネロ祭再び ~2017 Autumn~」のエキシビションマッチにおいてHP500万、永続バフで無敵貫通、解除不能のガッツ3回(HP210万で復活)、弱体無効、行動妨害無効というまさかのステラ祭りモードで降臨。
しかも3回目のガッツ発動後に一条の光というスキルを発動させて即再度ガッツステラを放つという四段構えでこちらに耐久を強いる凄まじい仕様。
4回目のステラ後はガッツが切れるため、5回目を凌いで自爆を狙うか一気に210万を削るかで止めを差す必要があるという耐久編成を考える珍しいクエストとして注目を集めた。
- 流石にストーリー上でお相手する時にはチャージゲージ自体を持たないことで自爆を防いでいる。
- 一方で他人の幕間の物語では特別な仕様も無く自爆する等、バトル毎に挙動が異なる。
▋Fateにおけるアーラシュ
- 初出は『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』。
日独ハーフの女魔術師、エルザ・西条のサーヴァント、クラスはアーチャー。
ただし、『Fate/Grand Order』稼働時点においてはアーチャー陣営の出番が少ない時期であり、ビジュアルは『TYPE-MOONエース』vol.10が初出。真名の判明は本作が初で、実質的に『蒼銀のフラグメンツ』からの先行登場とも言うべき特殊な経緯を持つ。
- FGOのストーリーでは第六特異点のメインサーヴァントの一人。
主人公たちをサポートする好漢として数々の見せ場を持つ。
- 中でも「ある局面で大遠距離を即座に移動しなければならない」状況で彼が見せた解決策はあまりにも強烈に主人公の心に刻み込まれ、後に亜種特異点Ⅰで似たような作戦を提案されたとき、恐怖のあまり幼児退行を起こしたほど。
- ちなみにこの大遠距離は20㎞とのことで、直線で表すと「東京駅丸の内駅前広場から、ちょうど船橋駅(逆方向なら武蔵境駅の近く)まで」の距離である。
- 本作登場以前では日本での知名度はかなり低かった。
『蒼銀のフラグメンツ』作者の桜井光からは「日本では殆ど知られていないので調べるのに苦労した」と言われ、事実FGO配信前には日本語版Wikipediaの記事すらなかった。
- あまりにも馴染みがないため、インパクトの強い宝具と名前を間違えて覚えられていることもあるとか。確かに宝具「ステラ」は驚くほど飾り気がなく、宝具発動時の前口上もタメもなく、真名開放と同時に大爆発を起こすというシンプルさはいっそ清々しい。
- 日本ではというだけあり、出身地である西アジア周辺での知名度は高い。
イランの首都、テヘランの宮殿にも像が立てられていたり、「アーラシュ」という名前はイラン人の名前として一般的であったりする。
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| | 知名度について
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- 出身地である西アジア周辺での知名度は高い。イランの首都、テヘランの宮殿にも像が立てられていたり、「アーラシュ」という名前はイラン人の名前として一般的であったりする。注意点として「日本では」と言うが、日本に限らず、欧米でも彼の資料や彼を題材にした作品がほとんど存在しない。評価自体はされている英雄なので、言及している論文はちょいちょいあり、資料に論文などを含めるのであれば多少増える。しかし、他のイランの英雄などでも論文が存在する者はいるので、イランの英雄でアーラシュの資料が多いとはならない。ケルト神話のようにイラン神話自体が周辺国以外では馴染みがないというのもある(イラン神話とライバル関係にあるのがインド神話なので仕方がない)。
- イラン神話に比べて和訳に関してはケルト神話の方がまだ進んでいる印象だが、『シャー・ナーメ』を抄訳した『王書』により『シャー・ナーメ』関連の英雄は日本でも知られている。しかし、アーラシュに関しては『シャー・ナーメ』では前書きにある登場人物紹介で最期の一射を簡単に説明されるのと作中に数回だけ名前が出るだけ、かつ『王書』ではその少ないアーラシュの言及部分は1つも翻訳されていないので日本で知る人がいなかったのも当前と言える。『シャー・ナーメ』以外での書籍は英雄譚ではなく基本的にイラン文化についてのもので、『アヴェスター』は聖典(ティシュトリヤ星の飛ぶ様がアーラシュの矢に似ていることから言及される)、『アル=ビールーニー』は様々な暦の文化について取り上げた書物(ティールガーンの祭りの由来の説明のために言及される)と..ニッチな英雄好きでもまず手を出すことはない。
- 『ザレールの回想(Ayadgar-I Zareran)』というアヴェスター叙事詩とシャーナーメの間に介在する中間肢としてイラン文学史上でも評価が高いとされる伝記が存在するが、そこに登場する勇者ザレール(ザリール、ザリルとも)や、シャー・ナーメの代表的な話である『ロスタムとイスファンディヤールの戦い』の主要人物であるイスファンディヤールですら日本での知名度は皆無だったりするのでアーラシュに限った話ではない。
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| | ザレールの回想
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ウィシュタースプ(ゴシュタースプ)の弟ザレール(ザリール)がやられ息子のバストワル(バストゥール)が仇討ちする話。ザレールの無双ぷりは火の神に例えられる程であったが後ろから忍び寄ってきたジャードゥークグ呪師のウィードラフシュに背中かから刺され死亡する、息子のバストワルはまだ7歳でありながら父の仇討ちのために戦場に出陣する。バストワルがウィードラフシュが投げた槍を手で受け止めると、ザレールの霊が現れて「おまえの手からこの槍をなげすてよ,そして自分の箙から1矢をとり,この不義者に目にものみせてやりなさい」とバストワルに叫ぶ。バストワルはその言葉に従い、槍を投げ棄て、1矢でウィードラフシュの心臓を射、背中を貫いて、大地に投げ飛ばし、仇討ちに成功する。
- ただし、有名になったのはおそらく20世紀後半あたりからと思われる。 Encyclopaedia IranicaによるとEhsan Yarshaterの『Dāstānhā-ye Īrān-e Bāstān』で復活するまではペルシャ文学から本質的に失われていたとされており、事実20世紀より前に主題となっている作品が確認できないことからも(少なくともアーラシュについての記述があるとされる有名な書物では)、19世紀以前は無名の英雄だったと推測できる。
しかし、Yarshaterがアーラシュにスポットを当ててからはすぐに詩人達に注目され、取り上げられ、主題となる作品がいくつも登場した。
- 1959年に『Āraš-e tīr-andāz』と初の長編叙事詩『Āsraš-e kamāngīr(射手のアーラシ)』が書かれる。この『Āsraš-e kamāngīr』は民族主義を掲げるパフラヴィー朝の下で学校の教科書にも載ったとされる。
続いて1963年の『Āraš dar qalamrow-e tardīd』、1965年の『Ḥamāsa-ye Āraš』、1977年のBahrām Beyżāīの演劇『Āraš』。
- このBahrām Beyżāīは20世紀のイランで最も偉大な劇作家であり、「ペルシャのシェイクスピア」と呼ばれる。この『Āraš』という脚本は英語、スペイン語、セルビア語で翻訳されており世界各地で上演され、2013年7月にカリフォルニア州スタンフォード大学のアネンバーグ オーディトリアムでも上演される。
- 1961年にはテヘランでは彼の名前の『アーラシュ』という文芸雑誌が8年間創刊されるなど、明らかに20世紀から怒涛のアーラシュブームが起きている。
- イラン神話とライバル関係にあるのがインド神話だからという要因もあるとは思うが、人気が出たのがかなり最近というのも日本では無名だった理由か。
- ザレールはザリルという名で「シャー・ナーメ」にも登場し、アルジャースプ軍を1人で圧倒する。その無双ぷりはサームのメイスとアーラシュの矢に例えられ、アルジャースプは「誰かアイツを止められる者はいないのか!?アイツを倒した者には金の山を与える!」という旨を兵士達に叫んでいる。
- ザレールが亡くなった後、甥のイスファンディヤールがアルジャースプの首を取ることでこの戦争は終わる。
- 英語表記ではZarēr、シャー・ナーメではZarir。ゴシュタースプの弟であり、イスファンディヤールの叔父にあたる人物。ザレールの物語はイランでは絵本も存在するが、ザレール自体は海外のWikipediaすら存在しないレベル。「Ayadgar-I Zareran」と検索すればザレールの回想についてのWikipediaや資料は出てくる。Zarer(またはzarir)で検索すると同名のイランの偉人が出てくるが、ザレールとは時代が明らかに違うので恐らく別人。(Wikiで出てくるザリルはサーサン朝の王子であるが、ザレールはカヤーン朝前期に登場する人物)
- 『シャー・ナーメ』を抄訳した『王書』により『シャー・ナーメ』関連の英雄は日本でも知られている(これは『シャー・ナーメ』の重要人物であるロスタムが7世紀には人気を獲得し、早い段階で世界に彼の物語が広まったためか)が、アーラシュに関しては『シャー・ナーメ』では前書きにある登場人物紹介で「最期の一射」を簡単に説明されているのと作中に数回名前が出るだけ、かつ『王書』ではその少ないアーラシュの言及部分は1つも翻訳されていないので、日本で知る人がいなかったのも当前と言える。
- 余談だが、『ザレールの回想(Ayadgar-I Zareran)』というアヴェスター叙事詩とシャーナーメの間に介在する中間肢としてイラン文学史上でも評価が高いとされる伝記が存在するが、そこに登場する勇者ザレール(ザリール、ザリルとも)や、シャー・ナーメの代表的な話である『ロスタムとイスファンディヤールの戦い』の主要人物であるイスファンディヤールですら日本での知名度は皆無だったりするのでアーラシュに限った話ではない。
- イラン史上最も有名な詩人であるフェルドゥスィーのまとめた叙事詩が「シャー・ナーメ(王書)」であり、この叙事詩での露出が少ないのは世界的知名度においてもかなりハンディになる。
実際、イラン神話で一番有名とされるロスタムは「シャー・ナーメ」最大の英雄である一方、「アヴェスター」のような古い資料には登場しない。このことからも分かるように、「シャー・ナーメ」による知名度の影響は絶大である。
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| | 余談・『ザレールの回想」について
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- ウィシュタースプ(ゴシュタースプ)の弟ザレール(ザリール)がやられ息子のバストワル(バストゥール)が仇討ちする話。
- ザレールの無双ぷりは火の神に例えられる程であったが、後ろから忍び寄ってきたジャードゥークグ呪師のウィードラフシュに背中かから刺され死亡する。
息子のバストワルはまだ7歳でありながら父の仇討ちのために戦場に出陣する。
バストワルがウィードラフシュが投げた槍を手で受け止めると、ザレールの霊が現れて「おまえの手からこの槍をなげすてよ,そして自分の箙から1矢をとり,この不義者に目にものみせてやりなさい」とバストワルに叫ぶ。バストワルはその言葉に従い、槍を投げ棄て、1矢でウィードラフシュの心臓を射、背中を貫いて、大地に投げ飛ばし、仇討ちに成功する。
- ザレールはザリルという名で「シャー・ナーメ」にも登場し、アルジャースプ軍を1人で圧倒する。
その無双ぷりはサームのメイスとアーラシュの矢に例えられ、アルジャースプは「誰かアイツを止められる者はいないのか!?アイツを倒した者には金の山を与える!」という旨を兵士達に叫んでいる。
- ザレールが亡くなった後、甥のイスファンディヤールがアルジャースプの首を取ることでこの戦争は終わる。
- 英語表記ではZarēr、シャー・ナーメではZarir。ゴシュタースプの弟であり、イスファンディヤールの叔父にあたる人物。ザレールの物語はイランでは絵本も存在するが、ザレール自体は海外のWikipediaすら存在しないレベル。「Ayadgar-I Zareran」と検索すればザレールの回想についてのWikipediaや資料は出てくる。Zarer(またはzarir)で検索すると同名のイランの偉人が出てくるが、ザレールとは時代が明らかに違うので恐らく別人(Wikiで出てくるザリルはサーサン朝の王子であるが、ザレールはカヤーン朝前期に登場する人物)。
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- イラン史上最も有名な詩人であるフェルドゥスィーのまとめた叙事詩が「シャー・ナーメ(王書)」であり、この叙事詩での露出が少ないのは世界的知名度においてもかなりハンディになる。実際、イラン神話で一番有名とされるロスタムは「シャー・ナーメ」最大の英雄である一方、「アヴェスター」のような古い資料には登場しない。このことからも分かるように、「シャー・ナーメ」による知名度の影響は絶大である。
- またイラン人気は絶大だがイラン神話は比較的魔境であり、実のところアーラシュが一強という訳ではなく、同格と言える英雄はイラン神話には数人いる。偉業に限らず、人気度や文化的評価などでアーラシュと比肩するレベルの大英雄もいるので他国からしたらアーラシュだけを特別視ということにはなりづらかったのかもしれない。
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| | 余談・ロスタムとは?
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- ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する人物で、イラン神話最大の英雄の1人(もう1人はフェリドゥーン王)。その知名度はイラン、アフガニスタンを越え中央アジア、インド、小アジアにまで伝えられる程。一説にはクー・フーリンのルーツの1つともされる。
- サームの孫にしてザールの子。幼い頃に片手だけで(メイスを使用)暴れていた像を仕留めるなど、祖父の血を色濃く受け継いでいる。
- 700年の生涯(祖父の代から英雄の寿命が長い)でトゥランや化物と度々戦いイランを守った。とくに七つの試練を突破した偉業「「七道程(ハフト・ハーン)」が有名。イラン版ヘラクレスといったところか。
『シャー・ナーメ』の主要人物ということもありイラン神話では一番有名で、ヘラクレスやクー・フーリンといった大英雄と類似点が多いことからも彼の話題はよくあがる。もともと日本でも「ロスタムなら知ってる」という感じだったのだが、Fateの影響により日本ではアーラシュの方が圧倒的に有名になってしまっている。
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| | 余談・イスファンディヤールとは?
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- ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』の登場人物。
預言者ザルトシュト(ザラスシュトラ)を支持した王子でありゴシュタースプ王の息子。
彼とロスタムの戦いは『シャーナーメ』で最も長いエピソードとされ、文学的にも注目されている。
- イスファンディヤールはゾロアスター教を広めるために背教者や敵と戦う。
その功績から教祖ザルトシュトと女神アールマティから様々な祝福を受けた。
1つは聖水に浸かったことにより青銅の肉体を与えらたことによる不死身。
1つは悪魔や魔女でも拘束し逃がさない鎖。
1つは自身を殺した者を呪う神の祝福。
この神の祝福によりイスファンディヤールを殺した者は誰でも死ぬまで、そして死後も地獄で神に非難される苦しみの呪いにかかる。
- ロスタムと同じく「七道程」の偉業を持ち、内容に差異はあるがロスタムの「七道程」に比肩する難行とされる。七つの試練の1つで龍を討伐しているので、龍殺しの英雄でもある。
- ロスタムと戦い、一度は撤退させるも、再戦した際に無敵ではない唯一の箇所である「眼」を矢で射ぬかれ死亡する。
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- イラン人気は絶大だがイラン神話は比較的魔境であり、実のところアーラシュが一強という訳ではなく、同格と言える英雄はイラン神話には数人いる。
偉業に限らず、人気度や文化的評価などでアーラシュと比肩するレベルの大英雄もいるので他国からしたらアーラシュだけを特別視ということにはなりづらかったのかもしれない。
- 例えばザムシードはイランの詩人からかなり人気でソロモン王とアレキサンダーに匹敵する存在とされている。
- ペルシャ二大英雄とされるのはフェリドゥーン王とロスタムである。
- ただ、『シャーナーメ』(英訳)の9巻目次で、「アーラシュ:有名なイランの射手-25ページ(参照)」と記述されていたりするので、少なくともイランの射手で代表的という認識は間違いない。
ペルシャ二大英雄とされるのはフェリドゥーン王とロスタムである。
- ただ、『シャーナーメ』(英訳)の9巻目次で、「アーラシュ:有名なイランの射手-25ページ(参照)」と記述されていたりするので、少なくともイランの射手で代表的という認識は間違いない。
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- あまりにも馴染みがないため、インパクトの強い宝具と名前を間違えて覚えられていることもあるとか。確かに宝具「ステラ」は驚くほど飾り気がなく、宝具発動時の前口上もタメもなく、真名開放と同時に大爆発を起こすというシンプルさはいっそ清々しい。
- フランケンシュタインは『Fate/Apocrypha』企画版では宝具を使うと自滅するはずだったが、それでは使いにくいからと小説版ではリミッターをかけられるように変更された経緯がある。が、アーラシュは……。
宝具で死ぬからと言ってDie英雄とか言わない
▋Fateにおけるスキルや宝具など
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| | Fateにおける戦闘能力
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- 宝具を使用しない場合の間合いは東京都内全土を覆い尽くして余りあるとされており、都内(23区)という意味なら射程20㎞近く、東京都全土という意味だと東京全てを円で覆うには半径50㎞くらいは必要な為、その射程は50㎞はあることになる。
- 『Fate/stay night』のアーチャーは隣り街までは流石に視認出来ないとマスターに語っており、作中の情報からその射程は4km~程と思われる(新都全域が射程圏内とされている)。
仮にアーラシュの間合いが23区内という意味だったとしても、同じアーチャークラスでも視認出来ない距離から狙撃出来ることになる。
- ただし『Fate/strange Fake』の真アーチャーは20㎞以上先からギルガメッシュを狙撃している。
- FGO1部6章での空飛ぶ事件の際、「いい着地地点
(落下地点)も見えたからな!」と言い20㎞先まで主人公達を飛ばし、ロマニも「だいたい10や20キロくらいの距離、彼にとって準備運動みたいなもんだよ。」と言っていることから、射程50km以上という可能性が一番濃厚。
- これだけの間合いなら仮に冬木の聖杯戦争に参加した場合、新都から郊外のアインツベルン城に矢の雨を降らせるということも可能だろう。
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| | スキルについて
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- 「頑健 EX」
由来は『ビールーニー』での「私の身体をご覧ください。私の身体には傷も病気もございません。それでも、この弓矢を射てば私の身体は砕け散り、そして死ぬでしょう。」という台詞からか。
Fateでの「数多の戦で傷一つ負うことが無かった」という設定も恐らくこの台詞から膨らませたものと考えられる。アーラシュが突出して頑健だったという資料はとくに無いが、長い戦争の中、傷と病気がないのは考えようによっては確かに特殊なのかもしれない。
- 耐久力については、アールマティの加護は耐久面を強化してくれる逸話が多いのでそっちが由来とも推察できる。
- 「毒」耐性アップについては、病もないというところからか。
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| | 余談・イランにおける毒を扱う敵
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- 余談だが、イランで毒を扱う敵には龍がいる。サームの倒した龍とイスファンディヤールが倒した龍はどちらも毒を撒き散らし、2人を苦しめている。ロスタムの倒した龍はサームの倒した龍の子孫とされていることから、ロスタムの倒した龍にも毒があったのかもしれない。
- イランの龍と戦う英雄ロスタム、サーム、イスファンディヤール、ゴシュタースプ、バハラーム五世、ガルシャースプ、スラエータオナ、クルサースパ…etc。
うち五人は倒すのに成功している。ペルシャでは猛獣退治とドラゴン退治が同じ扱いにある傾向にあり、ライオン退治と同じ感覚でドラゴンを討伐することから、ドラゴンスレイヤーがやたら多い。中でもバハラーム五世(バハラーム・グール/Bahrâm Gûr)は龍狩りの達人であり、弓で龍を倒す偉大な狩人である。
- これらは日本の資料で「龍」と訳しているものがあるだけで、型月的な意味での「龍」に含まれるかどうかは言及がないので不明。
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- 「千里眼 A」
遠く視認できるだけでなく、相手の考えていることやこの先考えること、ある程度なら未来や過去の出来事まで読み取ることができる。マシュのスリーサイズもわかる。
しかし、相手がそれを隠していたり、知りたくなかったりしたなら黙って知らないフリをする、などかなり紳士的。
- 『ビールーニー』で高貴で敬虔で賢い男と記述されており理知的な人物なのは原典通りだったりする。
- 千里眼がAランクもあり、また未来視や思考まで読む力が備わっている設定の由来は分からない。
『ビールーニー』で矢を放つ前から用意された弓矢を使えば自分が死ぬであろうことを王に話すシーンがあり、かなり強引だが未来予知と言えるのかもしれない。
- 一応、ゾロアスター教の教えの中には視覚とは別の「天眼」というものはあるが定かではない。
「天眼」とは視認ではなく観照する眼、観音菩薩の眼と類似している。
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| | ゾロアスター教 認識論『天眼』
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- ①人間の外発的認識作用(5つの感官=身体の外部の情報を内部に運ぶもの)
「視覚」、「嗅覚」、「聴覚」、「味覚」、「触覚」
- 五感が外部から情報を持ってくることで意識に影響を及ぼすという話、言ってしまえば物理的な話。
- ②人間の内発的認識作用(内部から意識が発生するもの)
「記憶の力=対象を求めて獲得」、「耳の力=保持・回想」、「知恵の力=嘱目・識別・活動(→知恵の力は「天眼=メーノーグ的観照」に到達することが可能)」。サーサン朝時代のゾロアスター教の世界観はメーノーグ界とゲーティーグ界に二分する。ゲーティーグ界とは現象界(物質的な世界)、メーノーグ界とはイデア界(精神的な世界)である。
- 外部に能動的になることで影響を及ぼす部分、知恵の力のみが天眼に到達するとされる。ようするに②は哲学的な部分で「人の心」に重きを置いている機能といったところ。
- 生霊が身体に君臨し、身体に「意識」が生まれる。そこから、記憶の力・耳の力・知恵の力が「認識」を生み、それは生気から思考への道が清浄であるとき神々に至近する。そのとき、智慧は「天眼」に至る。簡単に言えば、身体には五感といった様々な器官があるが意識しなければそれらに意味がない。魂があって初めて意識が生まれ、意識があるから認識がある。さらに、認識が清く正しきものとして心に届けば視認ではなく観照となる。イラン版「観自在」(事物の姿を自由自在に正しく見きわめられる眼)といったところ。
- また、ゾロアスター教にとって知恵とは多ければいいというわけではない。喜悦が欠如し知が過多となれば厚顔無恥となり、喜悦が過多となり知が欠如すれば無自覚となる。重要なのは中庸であることであり、喜悦と知が合一となったときがよい状態といえる。これは「中庸の徳」という考えからくる。
(『デーンカルド 第3巻』より)
- 善き思考であるときにこの「天眼」に到達出来るとされるので、アーラシュの物語でアールマティが顕現する場合があることからアーラシュが「天眼」に到達している可能性もなくはない(宗教的なものなので「善き思い」を「善き思考」と合一させて捉えていいかは判断が難しく、断定は出来ない)。
- アールマティは「善き者が善き思いを達成するのを手助けする為に肉体化して地上に降臨する」とされる。
- 一応、『ビールニー』でアーラシュは賢い男とされてはいる。
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- 「弓矢作成 A」
アールマティが女神であると同時に弓矢の設計者であったことから。
伝説上ではアーラシュが弓と矢を作成することはないが、Fateにおいてはアールマティの加護を授かってるのでアールマティの能力が使えるといったところ。
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| | 宝具の詠唱
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- 『蒼銀のフラグメンツ』及び本作第六特異点では宝具開放に際し、完全詠唱が存在する。かっこいい。
陽のいと聖なる主よ
あらゆる叡智、尊厳、力をあたえたもう輝きの主よ
我が心を、我が考えを、我が成しうることをご照覧あれ
さあ、月と星を創りしものよ
我が行い、我が最期、我が成しうる聖なる献身を見よ
この渾身の一射を放ちし後に───
───我が強靭の五体、即座に砕け散るであろう!
- 詠唱の最後の二文は第六特異点にて追加されたもの。
- 本作の宝具演出では上記の詠唱は省略されているが、2017/06/28に放送された「カルデア放送局Vol.6 アガルタの女 配信直前SP」で行われたコーナーにおいてまさかの完全詠唱が披露された。なおコーナーで用意された台本の宝具セリフ部分は「流星一条!!」のみしか書かれておらず、上記の詠唱を完璧に覚えていた鶴岡聡氏による粋なアドリブであった。
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| | 『流星一条』詠唱
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陽のいと聖なる主よ あらゆる叡智、尊厳、力をあたえたもう輝きの主よ 我が心を、我が考えを、我が成しうることをご照覧あれ さあ、月と星を創りしものよ 我が行い、我が最期、我が成しうる聖なる献身を見よ この渾身の一射を放ちし後に─── ───我が強靭の五体、即座に砕け散るであろう!
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- 詠唱の最後の二文は第六特異点にて追加されたもの。
- 本作の宝具演出では上記の詠唱は省略されているが、2017/06/28に放送された「カルデア放送局Vol.6 アガルタの女 配信直前SP」で行われたコーナーにおいてまさかの完全詠唱が披露された。
なおコーナーで用意された台本の宝具セリフ部分は「流星一条!!」のみしか書かれておらず、上記の詠唱を完璧に覚えていた鶴岡聡氏による粋なアドリブであった。
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| | 宝具の詠唱 元ネタ
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- 要素面ではゾロアスター教の用語がちらついているが、これはイラン神話がゾロアスター教と強い関連を持つから。
イラン神話の登場人物はゾロアスター教を信仰している場合が多く、Fateでのアーラシュも「善を成せ」とゾロアスター教の善悪二元論のような言い回しをしているため、Fateアーラシュがゾロアスター教を信仰している設定になっている可能性もなくはない(彼が登場する『アヴェスター』自体が宗教色が濃いので原典的にもゾロアスター教徒という設定だったとしてもおかしくはないかもしれない)。
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| | 詠唱元ネタ
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- 要素面ではゾロアスター教の用語がちらついているが、これはイラン神話がゾロアスター教と強い関連を持つから。イラン神話の登場人物はゾロアスター教を信仰している場合が多く、fateでのアーラシュも「善を成せ」とゾロアスター教の善悪二元論のような言い回しをしているため、fate時空のアーラシュがゾロアスター教を信仰している設定になっている可能性もなくはない(彼が登場する『アヴェスター』自体が宗教色が濃いので原典的にもゾロアスター教という設定だったとしてもおかしくはないかもしれない)。
- 伝説上では同郷の大英雄ロスタムが似たものを唱えており、それをベースに作られた詠唱と思われる(ロスタムもまた弓を射る際に唱えている)。
アーラシュの詠唱の最初4文とニュアンス的に近しいことを言っている。後半部分が、アーラシュは「我が最期の偉業(ステラ)を見よ」という旨だが、ロスタムは「彼(イスファンディヤール)を殺めることを罰しに来ないでくれ」という旨になっている。この罰しないでくれと神に訴えている理由だが、イスファンディヤールは神の祝福を受けており彼を殺した者はその後の生涯、さらに死後も地獄で非難され続ける呪いにかかるため。
- 伝説上では同郷の大英雄ロスタムが似たものを唱えており、それをベースに作られた詠唱と思われる(ロスタムもまた弓を射る際に唱えている)。
- アーラシュの詠唱の最初4文とニュアンス的に近しいことを言っている。後半部分が、アーラシュは「我が最期の偉業(ステラ)を見よ」という旨だが、ロスタムは「彼(イスファンディヤール)を殺めることを罰しに来ないでくれ」という旨になっている。この罰しないでくれと神に訴えている理由だが、イスファンディヤールは神の祝福を受けており彼を殺した者はその後の生涯、さらに死後も地獄で非難され続ける呪いにかかるため。
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| | 「王書」ロスタムの詠唱原文
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"O Lord of sun
And moon, who makest knowledge, Grace,
and strength
To wax! Thou seest my mind pure in intent,
My soul, and self control, for much I toil
To turn Asfandiyár from strife. Thou
knowest
That his contention is unjust, and how
His traffic with me is all fight and prowess;
So visit not my crime with retribution,
Maker of the moon and Mercury!"
And moon, who makest knowledge, Grace,
and strength
To wax! Thou seest my mind pure in intent,
My soul, and self control, for much I toil
To turn Asfandiyár from strife. Thou
knowest
That his contention is unjust, and how
His traffic with me is all fight and prowess;
So visit not my crime with retribution,
Maker of the moon and Mercury!"
|
- 祈りの前半部分を和訳すると「太陽の主よ、そして知恵、名誉、力を与えたもう満月よ!」となる。
- 「陽のいと聖なる主よ」はロスタムの台詞でO Lord of sun(太陽の主よ)となっていることから、太陽神アフラ・マズダーのことと思われる。「輝きの主」はmoonとなっているが、To wax!((月が)満ちる!)とあるので満月である。
- knowledge(知恵), Grace(名誉、恵み、品位),strength(力)の3つはシャーナーメではよく出てくる単語で、「知恵、名誉、力を与えたもう神よ」という形で、ロスタム以外も言っており、神に語りかけるときの常套句的なものなので、内容的にはロスタム専用の文言というわけではないので、アーラシュがこの詠唱をしてもおかしくはない。言い回しは、確実にロスタムのフル詠唱時のものをベースにしている。
- 「さあ、月と星を創りしものよ」はMaker of the moon and Mercury!(月と水星を創りしものよ!)となっていることから、星は水星を指している。因みに月と星を創造したのもアフラ・マズダー(スプンタ・マンユと同一とされる場合がある)である。
- 「月と星」というワードはシャー・ナーメによく出てくる言葉で、水星となってるのは恐らく、ロスタムがイスファンディヤールを射る時だけ。水星というのは丁寧に言っているだけなのかもしれない。
- 第三道程で龍を討伐した際にも「正義の神(裁定者)よ!汝は名誉と力と知恵を与えてくれました。そんな私が、獅子、ディーヴァ(Div)、象、乾いた砂漠、青い海に立ち向かうとして何か不安でも?怒れる私にとっての敵はただ1人だけです。」というように神に祈る場面がある。
- ここでは"Grace"(恵み、気品、優雅etc.)をアーラシュの詠唱で尊厳となっていることと原文的にも「Graceを与える」という文なので間をとって「名誉」と訳しているが、神から与えられる場合のGraceは「(神の)恵み」、「(神の)恩恵」と訳されるので、原典を読む際は「加護」と訳した方がいいのかもしれない。
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| | ロスタムとは?
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ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する人物で、イラン神話最大の英雄の1人(もう1人はフェリドゥーン王)。その知名度はイラン、アフガニスタンを越え中央アジア、インド、小アジアにまで伝えられる程。一説にはクー・フーリンのルーツの1つともされる。
サームの孫にしてザールの子。幼い頃に片手だけで(メイスを使用)暴れていた像を仕留めるなど、祖父の血を色濃く受け継いでいる。
700年の生涯(祖父の代から英雄の寿命が長い)でトゥランや化物と度々戦いイランを守った。とくに七つの試練を突破した偉業「七道程(ハフト・ハーン)」が有名。イラン版ヘラクレスといったところか。
『シャー・ナーメ』の主要人物ということもありイラン神話では一番有名で、ヘラクレスやクー・フーリンといった大英雄と類似点が多いことからも彼の話題はよくあがる。もともと日本でも「ロスタムなら知ってる」という感じだったのだが、fateの影響により日本ではアーラシュの方が圧倒的に有名になってしまっている。
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| | ロスタムの詠唱解説・アーラシュとの比較
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- 祈りの前半部分を和訳すると「太陽の主よ、そして知恵、名誉、力を与えたもう満月よ!」となる。
「陽のいと聖なる主よ」はロスタムの台詞で「O Lord of sun(太陽の主よ)」となっていることから、太陽神アフラ・マズダーのことと思われる。
- 「輝きの主」は「moon」となっているが、「To wax!((月が)満ちる!)」とあるので満月である。
- 「knowledge(知恵),Grace(名誉、恵み、品位),strength(力)」の3つはシャーナーメではよく出てくる単語で、「知恵、名誉、力を与えたもう神よ」という形で、ロスタム以外も口にしている。
神に語りかけるときの常套句的なものなので、内容的にはロスタム専用の文言というわけではないが、強いて言うなら台詞回しに関しては、確実にロスタムのフル詠唱時のものから取っている。
- ここでは「Grace(恵み、気品、優雅etc.)」をアーラシュの詠唱で尊厳となっていることと原文的にも「Graceを与える」という文なので間をとって「名誉」と訳しているが、神から与えられる場合のGraceは「(神の)恵み」、「(神の)恩恵」と訳されるので、原典を読む際は「加護」と訳した方がいいのかもしれない。
- 「さあ、月と星を創りしものよ」は「Maker of the moon and Mercury!(月と水星を創りしものよ!)」となっていることから、星は水星を指している。
因みに月と星を創造したのもアフラ・マズダー(スプンタ・マンユと同一とされる場合がある)である。
- 「月と星」というワードは『シャー・ナーメ』によく出てくる言葉で、水星となってるのは恐らくロスタムがイスファンディヤールを射る時だけなので、水星というのは丁寧に言っているだけなのかもしれない。
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| | イスファンディヤールとは?
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ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』の登場人物。
彼とロスタムの戦いは『シャーナーメ』で最も長いエピソードとされ、文学的にも注目されている。
預言者ザルトシュト(ザラスシュトラ)を支持した王子でありゴシュタースプ王の息子。
ゾロアスター教を広めるために背教者や敵と戦う。その功績から教祖ザルトシュトと女神アールマティから様々な祝福を受けた。1つは聖水に浸かったことにより青銅の肉体を与えらたことによる不死身、もう1つは悪魔や魔女でも拘束し逃がさない鎖、もう1つは自身を殺した者を呪う神の祝福。この神の祝福によりイスファンディヤールを殺した者は誰でも死ぬまで、そして死後も地獄で神に非難される苦しみの呪いにかかる。ロスタムと同じく「七道程」の偉業を持ち、内容に差異はあるがロスタムの「七道程」に比肩する難行とされる。七つの試練の1つで龍を討伐しているので、龍殺しの英雄でもある。
ロスタムと戦い、一度は撤退させるも、再戦した際に無敵ではない唯一の箇所である「眼」を矢で射ぬかれ死亡する。
|
- 上記以外に、ロスタムは7つの偉業「七道程(ハフト・ハーン)」の第三道程で龍を討伐した際にも「正義の神(裁定者)よ!汝は名誉と力と知恵を与えてくれました。そんな私が、獅子、ディーヴァ(Div)、象、乾いた砂漠、青い海に立ち向かうとして何か不安でも?怒れる私にとっての敵はただ1人だけです。」というように神に祈る場面がある。
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| | スプンタ・アールマティとは?
|
- スプンタ・アールマティはゾロアスター教においてアフラ・マズダーに従う善神のうちの一柱。
名前はアヴェスター語で「聖なる献身・敬虔」、「心に従う者」を表す。
敬虔を司る女性の守護神であり属性は大地を司る。女性を守護する女神とされ、敵対者としてタローマティ(背教)が存在する。
服従や献身、愛情といった女性的な概念を象徴し、あらゆる人間の霊的な母であり、善き者の善き思いを達成するのを手助けすることから英雄が彼女に祈ることがある。
- ゾロアスター教の英雄ザムシードが「愛しきアールマティよ、牛や馬を育てるために、力を与えてくれ」と唱えながら大地に黄金の矢を放ち、ムチをふった。アールマティはそれにこたえ、大地を広げて人々に動物たちが住む土地を与えたという。
+
| | 余談・ザムシードとは?
|
- ザムシードまたはジャムシード。
ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する伝説の王。名前のザムは大地を意味する。
『アヴェスター』では「ユィマ・クシャエータ(Yima xshaeta)」『ヴェーダ』では「ヤマ(Yama)」として登場する。
- 『ペルシア文学におけるジャムの祝杯』(著:黒柳恒男)という論文では、ジャムシードはジャムとシードの合成語で、シードは「xshaeta」の転訛で、「王」を意味するとともに、「明るい」「光り輝く」の意味をも有する。近世ペルシア文学では後者の意味に解されているとのこと。
- また、ペルシア神話王朝の諸王の中でペルシア詩人が最も好んで用いた王であり、間違いなくソロモンやアレキサンダーに匹敵する存在だったとも説明している。実際、ソロモン王と同一視されていた程(時代に三千年以上開きがあるため誤りという結論になっているが)。
- 神より黄金の指輪と短剣を授けられ全世界を支配した「王の中の王」と呼ばれる。
『シャー・ナーメ』においてはピーシュダード朝第4代の王として700年統治し、人界のみならず悪鬼、妖精をも従え。武器、衣服を作り。司祭、戦士、農民。職人の社会階層を定め。その治世には死も病気も悪もなかったが、彼は尊大になってしまい、神の栄光に背き。その恩を忘れたため、王位を失い100年間人目をさけて放浪生活を送った後、ザッハークに捕まり鋸で切られてしまう。しかし、ジャムシード王はペルシア神話王朝の中で最も栄光高き帝王であったとされる。
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▋その他
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| | Fate内でのネタ
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- フランケンシュタインは『Fate/Apocrypha』企画版では宝具を使うと自滅するはずだったが、それでは使いにくいからと小説版ではリミッターをかけられるように変更された経緯がある。が、アーラシュは……。
宝具で死ぬからと言ってDie英雄とか言わない
FGO配信初期は「宝死茶」なるニックネームも一部ではあったが使われていた。
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| | スプンタ・アールマティとは
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- スプンタ・アールマティはゾロアスター教においてアフラ・マズダーに従う善神のうちの一柱で、名前はアヴェスター語で「聖なる献身・敬虔」、「心に従う者」を表す。女性を守護する女神とされ、敵対者としてタローマティ(背教)が存在する。敬虔を司る女性の守護神であり属性は大地を司る。服従や献身、愛情といった女性的な概念を象徴し、あらゆる人間の霊的な母であり、善き者の善き思いを達成するのを手助けすることから英雄が彼女に祈ることがある。ゾロアスター教の英雄ザムシードが「愛しきアールマティよ、牛や馬を育てるために、力を与えてくれ」と唱えながら大地に黄金の矢を放ち、ムチをふった。アールマティはそれにこたえ、大地を広げて人々に動物たちが住む土地を与えたという。
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| | ザムシードとは?
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ザムシードまたはジャムシード。ペルシアの叙事詩『シャー・ナーメ』に登場する伝説の王。名前のザムは大地を意味する。
『アヴェスター』ではユィマ・クシャエータ/Yima xshaeta、『ヴェーダ』ではヤマ/Yamaとして登場する。『ペルシア文学におけるジャムの祝杯』(著:黒柳恒男)という論文では、ジャムシードはジャムとシードの合成語で、シードはxshaetaの転訛で、「王」を意味するとともに、「明るい」「光り輝く」の意味をも有する。近世ペルシア文学では後者の意味に解されているとのこと。また、ペルシア神話王朝の諸王の中でペルシア詩人が最も好んで用いた王であり、間違いなくソロモンやアレキサンダーに匹敵する存在だったとも説明している。実際、ソロモン王と同一視されていた程(時代に三千年以上開きがあるため誤りという結論になっているが)。
- 「善を成せ」と言うが属性は「善」ではなく「中庸」。
- ゾロアスター教は善悪二元論の宗教であるため、正しい行い全てが「善」であり、間違った行い全てが「悪」となる。
ゾロアスター教が絡む書物は「いいこと」を断定的に「善」と記述する。
イラン神話はゾロアスター教も関わっており、その記述のされ方も影響されているので、所謂イラン神話特有の言い回しといったところ。なので単純にアーラシュは「正しいことをしなさい」程度のニュアンスで言っているだけと思われる。
- サーサン朝期のゾロアスター教は「中庸の徳」という過不足なく均衡をとって行動できることが人徳として最も良い状態という考えもアステリオス哲学から取り入れているので、イラン神話の英雄なら「中庸」という属性も悪くない(アーラシュはピーシュダード朝期を舞台にした話なので断定は出来ないが)。
- イランの最高神であるアフラ・マズダーに「善を成す」という属性がある。
- 善悪二元論は、善がある反面、悪も無ければならないということでもある。
アンリマユが生まれたのは究極の悪も存在しなければならないという思想からであり、現実では架空の存在(神)にこの役割を与えているから良いのだが、Fate時空では実際に存在する人物にこの役割を押し付けてしまっているため悲惨なことになっている。
神より黄金の指輪と短剣を授けられ全世界を支配した「王の中の王」と呼ばれる。
『シャー・ナーメ』においてはピーシュダード朝 第4代の王として700年統治し、人界のみならず悪鬼、妖精をも従え,武器,衣服を作り,司祭,戦士,農民,職人の社会階層を定め,その治世には死も病気も悪もなか ったが,彼は尊大になってしまい,神の栄光に背き,その恩を忘れたため,王位を失い100年間人目をさけて放 浪生活を送った後,ザッハークに捕まり鋸で切られてしまう。しかし、ジャムシード王はペルシア神話王朝の 中で最も栄光高き帝王であったとされる。
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- 敵としての登場はイベント「激闘!クラス別サーヴァント戦」のアーチャー編のボスが初。
基本性能は味方として使うのと同じ。
そしてこの当時は宝具を使って死ぬのも同じで、敵のアーラシュが宝具を放った時点で1人でも控えが残っていれば勝ち確定となる。南無。
- しかし「ネロ祭再び ~2017 Autumn~」のエキシビションマッチにおいてHP500万、永続バフで無敵貫通、解除不能のガッツ3回(HP210万で復活)、弱体無効、行動妨害無効というまさかのステラ祭りモードで降臨。
しかも3回目のガッツ発動後に一条の光というスキルを発動させて即再度ガッツステラを放つという四段構えでこちらに耐久を強いる凄まじい仕様。
4回目のステラ後はガッツが切れるため、5回目を凌いで自爆を狙うか一気に210万を削るかで止めを差す必要があるという耐久編成を考える珍しいクエストとして注目を集めた。
- 流石にストーリー上でお相手する時にはチャージゲージ自体を持たないことで自爆を防いでいる。
- 一方で他人の幕間の物語では特別な仕様も無く自爆する等、バトル毎に挙動が異なる。
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- 公式スピンオフ漫画『教えてFGO!偉人と神話のぐらんどおーだー』で一番最初に解説された英霊。
恐らく「本作登場サーヴァントの中でも知名度が特に低い割に低レアのため頻繁にガチャから出る」「人当たりが良く自分の解説でもノリノリでやってくれる」等が理由と思われる。
- 公式スピンオフ漫画『教えてFGO!偉人と神話のぐらんどおーだー』で一番最初に解説された英霊。恐らく「本作登場サーヴァントの中でも知名度が特に低い割に低レアのため頻繁にガチャから出る」「人当たりが良く自分の解説でもノリノリでやってくれる」等が理由と思われる。(事実、ダ・ヴィンチちゃんから「チュートリアル」と呼ばれている)
- 強化クエスト実装時はまずクラスとレアリティのみが公開され、誰に来るのかと盛り上がるのが恒例だが、アーラシュの強化クエスト実装当時は他の銅レアアーチャーであるパリスが未実装だったため、あっさりと特定されていた。
- ストーリーでは第六特異点のメインサーヴァントの一人。主人公たちをサポートする好漢として数々の見せ場を持つ。
- 中でも「ある局面で大遠距離を即座に移動しなければならない」状況で彼が見せた解決策はあまりにも強烈に主人公の心に刻み込まれ、後に亜種特異点Ⅰで似たような作戦を提案されたとき、恐怖のあまり幼児退行を起こしたほど。
- ちなみにこの大遠距離は20㎞とのことで、直線で表すと「東京駅丸の内駅前広場から、ちょうど船橋駅(逆方向なら武蔵境駅の近く)まで」の距離である。
- 公式イベントでの発表によると、最も多くカルデアの夢火を使用されたサーヴァントランキング(2019年2月時点)で3位にランクインしていた。
- 公式イベントでの発表によると、最も多くカルデアの夢火を使用されたサーヴァントランキング(2019年2月時点)で3位にランクインしていた。
トップ5の面々は諸葛孔明(エルメロイⅡ世)、マーリン、ジャンヌ・ダルク(オルタ)、スカサハ=スカディと、いずれも最高レアのサーヴァントばかりであった。
その中に☆1の彼が食い込んだことは、レアリティに拠らない強みを十全に示しているといえるだろう。過労死枠
過労死というより爆死
その中に☆1の彼が食い込んだことは、レアリティに拠らない強みを十全に示しているといえるだろう。過労死枠
過労死というより爆死
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| | Fate外でのネタ
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- 母国イラン製の122mmロケット砲(h抜き:ttps://en.wikipedia.org/wiki/Arash_(rocket))シリーズはアーラシュと命名された。最大射程は約40km。
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| | 余談
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- アーラシュの物語はマヌーチェフル王とアフラシアーブの戦争終結直前の話であり、極端に言えば矢を一射するだけの話なのでアーラシュ個人についてはそれ程深くは描写されていなかったりする(そもそもアーラシュの台詞がない場合の方が多い)。fateではそれを上手いこと膨らませており、10を100まで膨らませているレベルでありながら、イラン神話の色んな観点からアプローチすることで綺麗にキャラを完成させている。
- アーラシュの詩「Āraš-e kamāngīr」は、ボリュームがあるとのこと。
- 英雄は短命という印象があるが、イラン神話の英雄は500年や700年と何百年と生きるのが当たり前で仮にアーラシュが青年だとしたらイラン神話の英雄としては非常に短い生涯である。
- 「善を成せ」と言うが属性は「善」ではなく「中庸」。ゾロアスター教は善悪二元論の宗教であるため、正しい行い全てが「善」であり、間違った行い全てが「悪」となる。ゾロアスター教が絡む書物は「いいこと」を断定的に「善」と記述する。イラン神話はゾロアスター教も関わっており、その記述のされ方も影響されているので、所謂イラン神話特有の言い回しといったところ。なので単純にアーラシュは「正しいことをしなさい」程度のニュアンスで言っているだけと思われる。サーサン朝期のゾロアスター教は「中庸の徳」という過不足なく均衡をとって行動できることが人徳として最も良い状態という考えもアステリオス哲学から取り入れているので、イラン神話の英雄なら「中庸」という属性も悪くない(アーラシュはピーシュダード朝期を舞台にした話なので断定は出来ないが)。
- イランの最高神であるアフラ・マズダーに「善を成す」という属性がある。
- 善悪二元論は、善がある反面、悪も無ければならないということでもある。アンリマユが生まれたのは究極の悪も存在しなければならないという思想からであり、現実では架空の存在(神)にこの役割を与えているから良いのだが、fate時空では実際に存在する人物にこの役割を押し付けてしまっているため悲惨なことになっている。
- 『シャー・ナーメ』によるとイランとトゥランの戦争はマヌーチェフルの治世中は小競り合い程度で、ナウザル王の代から深刻化するとされる。『シャーナーメ』の話の流れで言えば、マヌーチェフル王の代のアフラーシアーブとの小競り合いをアーラシュの一射で終わらせ、しばらく休戦となり、ナウザルが王になり少ししてサームが死ぬ、サームが死んだのを見て、またアフラーシアーブがイランに侵略を仕掛けて激しい戦争になるといったところ(アフラーシアーブ王の統治は200年とも400年ともされる)。アーラシュの一射は長い間境界として働いたとシャーナーメでも説明されているが、どれくらい休戦状態にあったのかは曖昧(登場人物が長生きし過ぎててよく分からない)。
- 『JOURNAL ASIATIQUE』(歴史や文化を抜粋して記述されてる仏語資料)では、ロスタムが生まれ、サームがSeistanからSegsarsに戻ったあと、アフラシアーブがイランに侵略を開始する。ザールがDjihounの向こうへとトゥラン軍を何回も押し戻すが、サームとザールが不在中に無数の軍勢で攻められてしまう。イランが数年間籠城し、アーラシュが矢を撃って境界を定めて和平を結ぶことになる・・という旨になっており、アーラシュとナリーマン家が同じ話にちゃんと登場する。サーム、ザール、アーラシュといった大英雄が三人もいながら劣勢に陥るという疑問もサームとザールの不在のタイミングを狙われたからとなれば納得がいく。
- 『An abridged translation of the history of Tabaristán』(著:IbnIsfandiyar,Muhammad ibn al Hasan)という英語資料ではアフラシアーブの策略によりカーリン/Qàrin(『HISTOIRE DES ROIS DES PERSES』ではカーレン/Qàren)が持ち場を離れることになり、カーリンの代わりにアーラシュが軍事指揮を引き継ぐ。そしてカーリンがいないのを見計らいアフラシアーブはペルシャ軍を攻撃しだし、ペルシャ軍はイラクまで追いやられてしまう。マヌーチェフル王は慌ててカーリンを呼び戻し、指揮官に復帰させる。とアーラシュが軍事指揮を担当する場面もあるが、アーラシュに指揮官が変わってから劣勢になってしまっているので・・輝かしい場面ではない。ただアーラシュは和平の条件が出されてから初めて名前が出てくるというのがお決まりなので、トゥランに追い詰められる前に触れて貰えるのはかなり貴重。
- 『HISTOIRE DES ROIS DES PERSES』(著:Thalib, Abd al-Malik ibn)という仏語資料だとマヌーチェフル王の治世が終わったあとにアフラシアーブが攻めてくる展開になっており時期が異なる。大まかに言えば、ナウザルが殺され、アフラシアーブがイランを支配し、アーラシュの射た矢が届いた場所までの土地を放棄するという展開。
フェリドゥーンの子孫であるTarmasfの息子Zawが矢と弓を作らせ、アーラシュにそれを使い矢を射るように言う。アーラシュは高齢で人生の瀬戸際、この一射の為に体力を温存している。アフラシアーブの前でタバリスタンの山を登りアフラシアーブが印を刻んだ矢を射るとたちまちアーラシュの寿命は尽きた。矢はタバリスタンからバドギス/Badhghisまで飛び、矢が落ちそうになると天使が神の命令で矢に刺激を与えた。矢はバルム/Balkh州のホルム/Khoulmに到達し、Kouzinという場所に落ちた。
- 直訳だと『この一射のためにアーラシュを保存』、『矢をいると、すぐに期限が切れた』となっているので、アーラシュの寿命が満了して力尽きた意と解釈し翻訳。
- 2020年東京オリンピックのアーチェリー男子団体銀メダルを獲得した、FGOファンでもある台湾代表・鄧宇成選手が矢を放つ時に「ステラ」を掛け声にしていた。このことが台湾と日本のニュースに取り上げられ、アーラシュがステラを放つ宝具演出映像が一部のテレビニュースに放送された。
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▋特殊会話発生条件
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幕間の物語
- 開放条件:第六特異点 第17節 レプリカ(3/5)クリア、絆Lv5
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| | +クリックで展開
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推奨Lv | 50 | 場所 | カルデアゲート:幕間の物語 |
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| AP | 17 | 周回数 | 2 | クリア報酬 | 宝具強化 |
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絆P | 1.030 | EXP | 20,380 | QP | 10,800 |
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| 進行度□ | Battle 1/3 | ウェアウルフA Lv21 (剣:13,737) ウェアウルフB Lv21 (剣:13,737) ウェアウルフC Lv35 (剣:13,737) |
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Battle 2/3 | ウェアウルフA Lv25 (剣:20,814) ウェアジャガー Lv20 (剣:27,753) ウェアウルフB Lv25 (剣:20,814) |
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Battle 3/3 | キメラA Lv21 (狂:29,140) ホワイトキメラ Lv40 (狂:108,237) キメラB Lv21 (狂:29,140) |
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混沌の爪、世界樹の種、魔石(剣・狂)、輝石(剣)、叡智の大火(狂)、叡智の種火(剣)、QP+5,000、+3000、+2,000、+1,500 | 備考 |
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サポートNPCはアーラシュで固定。 | | 進行度 ■■ | Battle 1/3 | 粛清騎士A Lv15 (剣:9,859) 粛清騎士B Lv18 (弓:10,158) 粛清騎士C Lv15 (剣:9,859) |
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Battle 2/3 | スフィンクス Lv17 (術:89,630) |
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Battle 3/3 | 魔神柱 Lv 70(剣:179,260) |
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Battle 3/3 | 魔神柱Lv 70(剣:179,260) |
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智慧のスカラベ、大騎士勲章、魔石(剣・弓)、叡智の猛火(術)、QP3,000 | 備考 |
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サポートNPCはアーラシュLv50(9/9/9†5)で固定。 クリアで宝具が[B++]から[A]にランクアップ。 |
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強化クエスト
- 開放条件:最終再臨
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| | +クリックで展開
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推奨Lv | 60 | 場所 | カルデアゲート:強化クエスト |
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| AP | 18 | 周回数 | 5 | クリア報酬 | 聖晶石×2 スキル解放 |
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絆P | 615 | EXP | 15,690 | QP | 6,400 |
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Battle 1/3 | 兵士A Lv35 (槍:16,684) 兵士B Lv35 (剣:16,524) 兵士C Lv35 (剣:16,524) |
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Battle 2/3 | 兵士A Lv40 (槍:30,556) 兵士B Lv40 (剣:30,264) 兵士C Lv40 (剣:30,264) |
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Battle 3/3 | 兵士A Lv42 (槍:38,407) 兵士B Lv71 (剣:62,772) 兵士C Lv42 (槍:38,407) |
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Battle 1/3 | 兵士A Lv37 (槍:17,532) 兵士B Lv33 (剣:17,549) 兵士C Lv37 (剣:17,364) |
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Battle 2/3 | 兵士A Lv42 (槍:24,620) ワイバーンドレッド Lv26 (騎:44,940) 兵士B Lv38 (剣:22,134) |
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Battle 3/3 | ワイバーンドレッドA Lv28 (騎:46,393) ワイバーンエビル Lv41 (騎:63,756) ワイバーンドレッドB Lv28 (騎:46,393) |
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Battle 1/1 | ドラゴン Lv23 (騎:202,926) |
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Battle 1/3 | ワイバーン Lv35 (騎:20,658) 兵士A Lv38 (剣:22,568) 兵士B Lv41 (剣:22,414) |
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Battle 2/3 | ワイバーンA Lv40 (騎:32,160) 兵士 Lv41 (剣:37,053) ワイバーンB Lv40 (騎:32,160) |
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Battle 3/3 | グレートドラゴン Lv35 (騎:141,351) |
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虚影の塵、ランサーモニュメント、セイバーピース、叡智の灯火(剣)、叡智の灯火(槍) | 備考 |
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スキル解放:弓矢作成[A] |
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