『クーリーの牛争い』の中で最も知名度のある戦い。
フェルディアは「硬化」の能力を持ち、戦闘時には胼胝状の皮膚が身体を覆い、彼の皮膚はあらゆる刃が通ることが無く、クー・フーリンの持つ「ゲイ・ボルク」も防げるのではないかと期待され、クー・フーリンの連勝を終わらせる者として満場一致で選ばれた。この親友との対決は双方にとって望むところではなく、フェルディアはメイヴの召喚を無視していたが、「戦いを拒む臆病者の戦士として詩人に広めさせる」と、脅され嫌々戦いを承諾する。一方、クー・フーリンはフェルグス・マック・ロイと密会し次の対戦相手にフェルディアが選ばれたことを知り、旧友を殺さねばならない運命に悄然とした様子を見せた。
翌日、両雄は川の浅瀬を決闘場所に選ぶと、スカサハから授かった武術の全てを尽くして激突した。
二人は戦いの前に「どの武器で戦うか」を相談し、互いに決めた武器で決闘をした。初めは互いに短い槍で戦い、その後は長い槍、その後は剣、実力は拮抗しており、互角の戦いは3日間続く。4日目、ついにフェルディアの一撃がクー・フーリンに致命傷を負わし、戦いはフェルディアの優勢となる。御者レーグは事前の打ち合わせ通りクー・フーリンの闘争心を掻き立てるために彼に野次を飛ばす、その野次で怒ったクー・フーリンは「ねじれの発作」を起こし異形の姿となりフェルディアを襲う。次にレーグは川の上流からゲイ・ボルクを流してクー・フーリンに渡した。クー・フーリンはつま先でゲイ・ボルクを捕らえると、フェルディアの肛門、そして胸へと放った。最初の一撃は肛門から体内に侵入し彼の体内で24もの棘を開いてこれを引き裂き、二撃目は胸を貫通し彼のあばらを砕き心臓を貫く。「全ては済んだ。すまなかった。」そう叫ぶと、フェルディアは息絶え、戦いは幕を下ろした。後にクー・フーリンは「これ以前の対戦はみな遊びのようなものであった」と語る。
- フェルディアは影の国にいるときには既にコノートの戦士であった。歳が近くゲイボルクの伝授をかけて競い合ってたこともあり、もともとはクーフーリンとライバル関係だったのだが、いつのまにか意気投合し兄弟の誓いを交わす仲になる。ゲイボルクはクーフーリンが継承することとなるが、ゲイボルクを除くクー・フーリンと同じ技を全て会得しており、実力も拮抗していたとされる。皮肉にもゲイボルクを初めて使用した相手は、ゲイボルク継承をかけて争った親友であった。
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