既約元

Last-modified: Thu, 18 Apr 2019 13:38:03 JST (1859d)
Top > 既約元

仮定

  • \( R \)整域
  • \( a ~(\in R) \)\( R \)の零元でも単元でもない元

定義

\( a \)既約元であるとは、任意の \( R \)の元 \( b, c \)に対し、もし \( a = bc \)となるならば、 \( b \)\( c \)の一方が単元になることをいう。逆の言い方をするならば、 \( a \)が非単元 \( b, c \)を使って \( a = bc \)とできないことをいう。

  • \( \mathbb{Z} \)既約元の集合は (\( \pm \)素数) である。
    • \( \mathbb{Z} \)単元\( 1 \)\( -1 \)しかないため、これは (中学校で習う) 素数の定義 (を正負に拡張したもの) だった。

その他

  • 素元とは似ているが異なる。ただし、 \( \mathbb{Z} \)に代表される一意分解整域 (UFD) ではこの二者は同値となるので、 \( \mathbb{Z} \)ではどちらも (\( \pm \)素数) となる。
    • 例えば環 \( \mathbb{Z}\left[\sqrt{-5}\right] \) において、元 \( 3 \)を考えると、これは既約元である。
    • ここで、例えば元 \( 6 \) を考える。 \( 6 \in (3) \) である。これを \( 6 = (1 + \sqrt{-5})(1 - \sqrt{-5}) \) という積に分解したとする。もし \( (3) \)素イデアルであるならば \( 1 + \sqrt{-5} \in (3) \) または \( 1 - \sqrt{-5} \in (3) \) でなければならない。ところがそうではない。よって \( 3 \)素元ではない。
    • したがって、 \( 3 \)既約元ではあるが素元ではない。