一意分解整域
Last-modified: Thu, 18 Apr 2019 18:06:35 JST (1859d)
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仮定
- \( R \) は整域
定義
\( R \) が一意分解整域 (UFDとも) であるとは、零元でも単元でもない \( R \) の元 \( a \) が有限個の既約元の積に一意に分解できることをいう。これと零元でも単元でもない \( R \) の元 \( a \) が有限個の素元の積に分解できることは同値 (素元分解が一意であることは要求しないが、一意であることは示せる) 。
例
- \( \mathbb{Z} \)は UFD の例である。 \( 0, \pm 1 \)を除く元が全て素因数分解によって素元の積に分解できるためである。負数に関しては適当な項を \( -1 \)倍してやればよい。
- 体 (\( \mathbb{Q}, \mathbb{R}, \mathbb{C} \)など) は零元と単元しかないので UFD 。どの数もどのような積にでも分解でき、それらは全て「単元倍」となるので一意性を崩さない。
- 平方数でない整数 \( m \)によって次のように定義される環を二次の整数環という。
\( \mathbb{Z}(\sqrt{m}) := \left\{a + b\sqrt{m} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
この環は \( m \)によって UFD になったり UFD にならなかったりする。- これはもともと二次体 \( \mathbb{Q}(\sqrt{m}) \)から導かれる「整数的なもの」らしい?それはまあどうでもいい。
- \( \mathbb{Z}(\sqrt{2}) = \left\{a + b\sqrt{2} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
とするとこれは UFD 。 - \( \mathbb{Z}(\sqrt{-5}) = \left\{a + b\sqrt{-5} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
とするとこれは UFD ではない。実際、元 \( 6 \)を考えると、 \( 6 = 2 \cdot 3 = (1 + \sqrt{-5})(1 - \sqrt{-5}) \)となる。 \( 2, 3, (1+\sqrt{-5}), (1-\sqrt{-5}) \)はいずれも既約元であるが、単元は \( \pm 1 \)しかない。この二つは異なる既約分解である。