ネーター環

Last-modified: Sun, 27 Jan 2019 11:33:44 JST (1941d)
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仮定

  • \( R \) は環

定義

以下の同値な条件のいずれかを満たすとき、 \( R \)ネーター環であるという。

1. 任意の \( R \)イデアル有限生成
2. \( R \)イデアルの任意の昇鎖列は有限回で停止する。
すなわち \( I_1 \subset I_2 \subset I_3 \subset \cdots \) となるようなイデアル \( I_i ~(\subset R) \) をとったとき、あるイデアル \( I_\infty \) とある整数 \( N \) が存在して、 \( n \geqq N \) ならば \( I_n = I_\infty \) を満たす。

証明

(1 \( \Longrightarrow \) 2)
適当なイデアルの昇鎖列 \( I_1 \subset I_2 \subset I_3 \subset \cdots \) を用意する。
ここで \( I_\infty = \bigcup_{i=0}^\infty I_i \) とすると、仮定よりこれは有限生成。よって、ある元 \( r_1, \cdots, r_n \in R \) が存在して、 \( \langle\{r_1, \cdots, r_n\}\rangle = I_\infty \) となっている。 \( I_\infty \) の定義から、どの \( r_i \)イデアルのどれか ( \( I_{j_i} \) とする) に含まれている。イデアル同士には包含関係があるので、 \( j_i \) より大きい全ての \( k \)\( r_i \in I_k \) が成り立つ。よって、この \( j_i \) の最大値を \( N \) とすると、 \( I_N \supset \langle\{r_1, \cdots, r_n\}\rangle = I_\infty \) となる。すると \( I_N \subset I_\infty \) かつ \( I_N \supset I_\infty \) が分かるので、 \( I_N = I_\infty \) となる。

(2 \( \Longrightarrow \) 1)
背理法で示す。有限生成でないイデアル \( I \) が存在するとする。すると、このとき \( r_1 \in I \) をとって \( I_1 = (r_1) \) とすると \( (r_1) = I_1 \subset I \)
次に \( r_2 \in I \setminus (r_1) \) をとってきて \( I_2 = \langle\{r_1, r_2\}\rangle \) とすると \( I_1 \subset I_2 \subset I \) となる。これを繰り返すと \( I_1 \subset I_2 \subset I_3 \subset \cdots \) となり、 \( I \)有限生成ではないから \( r_i \) が次々と無限にとれてしまう。これは昇鎖列が有限回で停止することに矛盾する。よって仮定が誤りで、イデアル \( I \)有限生成であった。

その他