素元
Last-modified: Thu, 18 Apr 2019 13:39:27 JST (2273d)
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仮定
- \( R \) は整域
- \( p ~(\in R) \) は \( R \) の元
定義
\( p \) が素元であるとは、 \( (p) \) が0でない素イデアルであることをいう。
例
- \( \mathbb{Z} \) の素元の集合は (\( \pm \)素数) である。
その他
- Wikipedia では同値な別の定義が記されていた。
\( p \) が素元であるとは、任意 \( R \) の元 \( a, b \) に対し、 \( p \mid ab \) ならば必ず、 \( p \mid a \) または \( p \mid b \) が成立することをいう。
ある元 \( x \) が \( p \mid x \) であることは \( x \in \left\{np \mathrel{}\middle|\mathrel{} n \in R\right\} = (p) \) となることであるから、これを使って書き換えると素イデアルによる定義になる。 - 既約元とは似ているが異なる。ただし、 \( \mathbb{Z} \) に代表される一意分解整域 (UFD) ではこの二者は同値となるので、 \( \mathbb{Z} \) ではどちらも (\( \pm \)素数) 素数となる。
- 例えば環 \( \mathbb{Z}\left[\sqrt{-5}\right] \) において、元 \( 3 \)を考えると、これは既約元である。
- ここで、例えば元 \( 6 \) を考える。 \( 6 \in (3) \) である。これを \( 6 = (1 + \sqrt{-5})(1 - \sqrt{-5}) \) という積に分解したとする。もし \( (3) \) が素イデアルであるならば \( 1 + \sqrt{-5} \in (3) \) または \( 1 - \sqrt{-5} \in (3) \) でなければならない。ところがそうではない。よって \( 3 \) は素元ではない。
- したがって、 \( 3 \) は既約元ではあるが素元ではない。