PID は UFD
Last-modified: Sun, 27 Jan 2019 02:48:28 JST (2355d)
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(定理) PID は UFD
仮定
- \( R \) は PID
主張
\( R \) は UFD でもある。
証明
\( R \) は PID なので、単元でも零元でもない元 \( a \) は既約分解できる。したがって、 PID の既約元が素元であることを示せば、これは \( a \) が素元分解できることになるので、 UFD である。
まず \( p \) を既約元とする。 \( ab \in (p) \) となる \( a, b \) に対して、 \( p \) と \( a \) が生成するイデアル \( \langle\{p, a\}\rangle \) を考えると、 PID の任意のイデアルは単項イデアルであることから、これも単項イデアルである。つまり何か元 \( c \) を使って \( \langle\{p, a\}\rangle = (c) \) と表せることになる。
\( p, a \) が \( c \) の傍元に属しているということは、ある \( d, e \) があって、 \( p = dc \) と \( a = ec \) と表せることを意味する。 \( p \) は既約元であるから、 \( c \) が単元であるか \( d \) が単元であるかのいずれかが成り立つ。 \( d \) に注目すると \( d \) が単元であるか \( d \) が \( p \) の単元倍であることがわかる。
- \( d \) が単元だとする。逆元 \( d^{-1} \) をもってくる。 \( p = dc \) より \( d^{-1}p = c \) となる。 \( a = ec \) だったから、 \( a = ec = e(d^{-1}p) \) とかける。つまり、 \( p \mid a \) が成立。これは \( a \in (p) \) に他ならない。
- \( d \) が \( p \) の単元倍であるとする。このとき単元 \( f \) を使って \( d = fp \) となっているから、 \( p = fpc \) より \( 1 = fc \) となる。すなわち \( c \) は単元。単元の生成するイデアルは \( R \) 全体となるから、 \( (c) = R \) ということになる。 \( \langle\{a,p\}\rangle = (c) \) だったから \( \langle\{a,p\}\rangle = R \) である。 \( 1 \in \langle\{a,p\}\rangle \) より、 \( ga + hp = 1 \) となる元 \( g, h \) が存在する。両辺に \( b \) をかけると \( gab + hbp = b \) となる。 \( ab \in (p) \) という最初の仮定を思い出すと、 \( ab = ip \) となる元 i が存在する。よって、 \( gip + hbp = b \) が得られるが、左辺は \( (gi + hb)p \) であるから、 \( p \mid b \) が成立する。これは \( b \in (p) \) に他ならない。
以上より、 \( ab \in (p) \) のとき \( a \in (p) \) または \( b \in (p) \) が成立するので、 \( (p) \) は素イデアルである。よって \( p \) は素元である。