一意分解整域 のバックアップ(No.4)


仮定

  • \( R \) は環

定義

\( R \)一意分解整域 (UFDとも) であるとは、零元でも単元でもない \( R \) の元 \( a \) が有限個の素元の積に分解できることをいう。

  • \( \mathbb{Z} \) は UFD の例である。 \( 0, \pm 1 \) を除く元が全て素因数分解によって素元の積に分解できるためである。負数に関しては適当な項を \( -1 \) 倍してやればよい。
    • すぐ述べる通り、このとき「有限個の素元の積」への分解は、積の順序と単元倍を除いて一意である。
  • 体 (\( \mathbb{Q}, \mathbb{R}, \mathbb{C} \) など) は零元と単元しかないので、自明な意味で UFD 。
  • 平方数でない整数 \( m \) によって次のように定義される環を二次の整数環という。
    \( \mathbb{Z}(\sqrt{m}) := \left\{a + b\sqrt{m} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
    この環は \( m \) によって UFD になったり UFD にならなかったりする。
    • これはもともと二次体 \( \mathbb{Q}(\sqrt{m}) \) から導かれる「整数的なもの」らしい?それはまあどうでもいい。
    • \( \mathbb{Z}(\sqrt{2}) = \left\{a + b\sqrt{2} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
      とするとこれは UFD 。
    • \( \mathbb{Z}(\sqrt{-5}) = \left\{a + b\sqrt{-5} \mathrel{}\middle|\mathrel{} a,b \in \mathbb{Z}\right\} \)
      とするとこれは UFD ではない。実際、元 \( 6 \) を考えると、 \( 6 = 2 \cdot 3 = (1 + \sqrt{-5})(1 - \sqrt{-5}) \) となる。 \( 2, 3, (1+\sqrt{-5}), (1-\sqrt{-5}) \) はいずれも素元であるが、単元\( \pm 1 \) しかないので一方の各項がもう一方の各項の単元倍、にはなっていない。よって、この二つは異なる素元分解である。

その他