自由群 の変更点

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* 仮定 [#c9335d3b]

- &mathjax{X = \{x_1, x_2, \cdots\}}; は文字の集合
- &mathjax{X^{-1} = \{x_1^{-1}, x_2^{-1}, \cdots\}}; は文字の集合

* 定義 [#cd8b54cb]

次のようにして定義される剰余群 &mathjax{F(X)}; を、文字集合 &mathjax{X}; 上の自由群とする。

** 構成 [#ga12e7be]

&mathjax{\Omega = X \cup X^{-1}}; とする。 &mathjax{\Omega}; から重複を許して有限個とり出して並べた文字列 &mathjax{S = s_1 s_2 s_3 \cdots s_n}; を用意する。これを &mathjax{\Omega}; 上の''語''という。これらの語を全て集めた集合を &mathjax{W}; とする。また、語 &mathjax{A, B}; の積 &mathjax{AB}; を、 &mathjax{A}; の後ろにそのまま &mathjax{B}; を並べたものと定義する (例: &mathjax{A = xyz, B = abc}; のとき &mathjax{AB = xyzabc};) 。このとき、 &mathjax{W}; は空の語 &mathjax{\emptyset}; を単位元として[[モノイド]]を成す。

ここで、''簡約''という操作を定義する。
語の中で &mathjax{x_i}; と &mathjax{x_i^{-1}}; が連続しているとき、この二つをとり去って新しい語を生成することを''簡約''という。これ以上簡約できない形の語を''既約''な語という。語 &mathjax{S}; を繰り返し簡約して既約な語にしたものを &mathjax{I(S)}; と表すことにする。

このとき、 &mathjax{W}; 内の同値関係 &mathjax{\sim}; を、任意の語 &mathjax{A, B}; に対して、 &mathjax{A}; と &mathjax{B}; の簡約表示が一致することとする。すなわち、 &mathjax{A \sim B}; を &mathjax{I(A) = I(B)}; で定義する。

以降、&mathjax{A}; の剰余類を &mathjax{[A]}; で表す。
&mathjax{[A], [B] \in W/\sim}; に対し、積を &mathjax{[A][B] = [AB]}; と定義すると、剰余群 &mathjax{W/\sim}; は群をなす。これを &mathjax{F(X) = W/\sim}; とおいて、文字集合 &mathjax{X}; 上の自由群と呼ぶ。

** 証明 [#hfea238e]

+ 積は定義されている。
+ 積はあくまでも並べるだけなので、結合法則を満たす (前半と後半のどちらを先に結合しても変わらない) 。
+ 空の語 &mathjax{\emptyset}; は単位元となる。
+ 逆元は存在する。実際に確かめる。
まず、任意の &mathjax{W/\sim}; の元 &mathjax{[A]}; をとる (&mathjax{A}; は既約で &mathjax{A = a_1 a_2 \cdots a_{n-1} a_n}; とする) 。これに対し &mathjax{[A^{-1}]}; をとる (&mathjax{A^{-1}}; は既約で &mathjax{A^{-1} = [a_n^{-1} a_{n-1}^{-1} \cdots a_2^{-1} a_1^{-1}]}; とする) 。このとき、積 &mathjax{[A][A^{-1}] = [a_1 a_2 \cdots a_{n-1} a_n a_n^{-1} a_{n-1}^{-1} \cdots a_2^{-1} a_1^{-1}] = [\emptyset]}; となる。 &mathjax{[A^{-1}]}; は確かに &mathjax{[A]}; の逆元となっている。

注意 : &mathjax{W}; では群にはならない。逆元の存在に反する。あくまでも積とは「並べたもの」に過ぎないので、確かに既約すれば空の語 &mathjax{\emptyset}; になりはするものの、 &mathjax{W}; では明確に &mathjax{\emptyset}; と &mathjax{AA^{-1}}; は異なる語である。

* その他 [#zfe3dd0b]

[[自由群の普遍性]]なる概念がある。