ネーター整域での既約分解 の変更点
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* (定理) ネーター整域での既約分解 [#hcad20fe] ** 仮定 [#uc306db7] - &mathjax{P}; はネーター整域 (ネーター環かつ整域) - &mathjax{a ~(\in P)}; は単元でない元 - &mathjax{a ~(\in P)}; は零元でも単元でない元 ** 主張 [#f2274f05] &mathjax{a}; は既約元の積で表せる。 (これを既約分解と呼ぶことにする。) * 証明 [#m05ff4ad] &mathjax{X}; を、 &mathjax{P}; 内の「零元でも単元でもなく既約分解もできない元」の集合とする。&mathjax{X \neq \emptyset}; と仮定して矛盾を導き、背理法により &mathjax{X = \emptyset}; を導く。 まず &mathjax{x_0 \in X}; をとる。 &mathjax{x_0}; は既約分解できないから既約元でもない (既約元なら、それ自身ただ一つによる積として表示できているはず) 。すると既約元の定義から、ある非単元 &mathjax{x, y}; があって、 &mathjax{x_0 = xy}; と表される。 ここで、さらに &mathjax{x, y}; の両方が既約分解できると仮定すると &mathjax{x_0}; も既約分解できるはずなので、最初に &mathjax{x_0}; が既約元でないとした仮定に反する。したがって &mathjax{x, y}; のいずれか一方は既約分解できない。 可換性があるのでどちらでも同じことだから、ここでは &mathjax{x}; が既約分解できないとしよう。すると &mathjax{x}; は &mathjax{X}; の定義より &mathjax{X}; に属するはずなので、 &mathjax{x}; を &mathjax{x_1}; と呼ぶことにすると &mathjax{x_1 \in X}; である。 &mathjax{y}; は単元ではないから、 &mathjax{x_1}; は &mathjax{x_0}; の単元倍ではない (つまり &mathjax{(x_0) \neq (x_1)}; )。今、 &mathjax{x_1 \mid x_0}; であるから &mathjax{(x_0) \subsetneq (x_1)}; が分かる。 この &mathjax{x_1}; は &mathjax{X}; の元だから、今とまったく同様にして新しい &mathjax{X}; に属す元 &mathjax{x_2}; をもってくることができ、 &mathjax{(x_0) \subsetneq (x_1) \subsetneq (x_2)}; を満たす。これは無限回繰り返すことができるから、 &mathjax{(x_0) \subsetneq (x_1) \subsetneq (x_2) \subsetneq \cdots}; という無限の昇鎖列を得ることができる。しかし、これは &mathjax{P}; がネーター整域であることに矛盾する。 よって仮定が誤りであり、 &mathjax{X}; は空集合である。つまり、「零元でも単元でもなく既約分解できない元」は存在しない (零元でも単元でもない元は、何らかの既約分解が存在する) 。 注: 既約分解が一意というわけではない。もし一意ならもちろん [[UFD>一意分解整域]] である。