環R上の加群

Last-modified: Sun, 27 Jan 2019 11:58:00 JST (1940d)
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仮定

  • \( R \) は環
  • \( M \)アーベル群
  • \( \cdot \) は演算 \( \cdot: R \times M \longrightarrow M \) (定数倍と呼ぶことにする)

定義

\( (M, \cdot) \) の組がR-加群であるとは、次の3つの条件を全て満たすことを言う:

  1. \( \cdot \)\( R \) について双線形
    すなわち、
    \[ r\cdot (m_1 + m_2) = r\cdot m_1 + r\cdot m_2 \]
    \[ (r_1 + r_2)\cdot m = r_1 \cdot m + r_2 \cdot m \]
  2. 任意の \( r_1, r_2 ~(\in R) \) と任意の \( m ~(\in M) \) について、
    \[ r_1\cdot(r_2\cdot m) = (r_1\cdot r_2)\cdot m \]
  3. \( 1 \cdot m = m \) が成り立つこと。

ちなみに任意の \( r ~(\in R) \)\( m ~(\in M) \) について \( 0_R \cdot m = r \cdot 0_M = 0 \) が成り立つことは環のときと同様に導ける。

  • \( R \) 自身は自分自身との積を定数倍とみなしてR-加群である。
  • \( R \) の直和 \( R^{\oplus n} \) は、和を各成分ごとの和、定数倍を全ての成分を同じ定数倍するものとすれば、R-加群になる。
    • ここでは \( n \) は有限であるから、直和は直積と同じものである。
  • より一般に、 \( R \) の直積 \( R^\Lambda \) も、和を各成分ごとの和、定数倍を全ての成分を同じ定数倍するものとすれば、R-加群になる。
    • \( \Lambda \) が無限集合の場合は直和とは異なる。
  • \( R \) が体 \( K \) であるとき、 K-加群は \( K \) 上のベクトル空間となる。
  • \( R \)\( \mathbb{Z} \) であるとき、\( \mathbb{Z} \)-加群はアーベル群に一致する - すなわち任意のアーベル群\( \mathbb{Z} \)-加群にすることができる。 (単に \( n \) を"掛ける"操作を \( n \) 回"足す"操作にすればよい。)