単元

Last-modified: Sat, 26 Jan 2019 18:54:48 JST (2355d)
Top > 単元

仮定

  • \( R \) は環

定義

\( a \in R \)単元であるとは、ある \( b \in R \) が存在して \( ab = ba = 1_R \) を満たすこと。

環については一般には乗法の逆元は存在しないが、それでもその中の逆元がある元ということ。

  • \( \mathbb{Z} \)単元\( \pm 1 \)

その他

  • かけて単元になる \( a, b \) があるなら、 \( a \)\( b \)単元になる。
  • 定義自体はなにごともなさそうだけど、実はけっこうすごい。たとえば単元による単項イデアル (傍元) は \( R \) になる。
    (\( x \)単元なら逆元 \( x^{-1} \) がある。任意の元 \( a \) に対して \( ax^{-1} \)\( R \) に属しているはずなので、逆に傍元を考えるとき、いつかは \( (ax^{-1}) x \) という項を考えることがある。このときの積が \( a \) になるので、結局、任意の元は傍元を考えるときに現れることになる。)
    結局、この性質により、単元は単位元と似たような性質をもつこともある。単位元は自分を自分自身に写す。単元はそのまま自分自身に写すわけではないが、必ず (\( ax^{-1} \) の形で) 任意の \( a \) に対応する元が存在するという意味では似たようなことになる。たとえば \( \mathbb{Z} \) においては \( -1 \)単元であって、任意の \( x \) に対して \( -x \) をとることにより \( (-1)\cdot(-x) = x \) を達成できる。単元でない元、たとえば \( 2 \) などでは、 \( 2 \) に任意の元をかけた結果は \( \mathbb{Z} \) にはならない (\( 2\mathbb{Z} \) になる) 。