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**白夜 [#n62d0d2c]
***支援C [#f84f1186]
【アクア】
…………
【カムイ】
こんにちは、アクアさん。
ここは風が気持ちいいですね。
【アクア】
カムイ…どうしたの?
【カムイ】
ちょっと気晴らしに来ただけですよ。
アクアさんもそうなんですか?
【アクア】
ええ。ここの木漏れ日と木々の香りは、
白夜の王城を思い出して、懐かしいから…
【カムイ】
そうですか。なんだか羨ましいですね。
暗夜王国は日中も薄暗いし、
岩と砂の匂いしかしませんから。
【アクア】
…カムイ。
ごめんなさい…
【カムイ】
えっ…何がです?
【アクア】
本当なら、白夜の王城で過ごすのは
あなたのはずだったのに…
軽率なことを言ってしまって、
ごめんなさい…
【カムイ】
そ、そんなこと気にしませんよ。
それに、私が暗夜王国にいたのは
別にアクアさんのせいじゃありませんし…
【アクア】
いいえ。それでも私は…
ずっと謝りたいと思っていたの。
あなたが本来享受すべきだった
白夜王国での幸せは…
私が代わりに受けてしまったようなものだから。
【カムイ】
アクアさん…
【アクア】
あなたに与えられたはずの家族からの愛も、
王家の者としての権威も…
結果的に受け取ってしまったのは私。
…それに私も少しだけ、
暗夜王国にいたからわかるの。
あなたがどれほど辛い境遇の中で
暮らしてきたか…
それを想像するだけで、私は…
【カムイ】
なるほど…
アクアさんの言いたいことはわかります。
でも…私はあまり
そういう風には考えていないんです。
暗夜での生活も、
嫌なことばかりじゃありませんでしたよ。
【アクア】
ほんとに…?
【カムイ】
はい。たとえば…
…ああ、すみません。この後、
次の行軍についての会議があるんでした。
じゃあアクアさん、今度また話します。
【アクア】
え、ええ…
…………
***支援B [#m5b50819]
【カムイ】
アクアさん。
また、ここにいたんですね。
【アクア】
カムイ。
ええ。ここにいれば、またあなたと
話しができるかもしれないと思って。
あなたが暗夜王国にいた頃の話…
聞かせてくれるかしら?
【カムイ】
はい、もちろん。
【アクア】
カムイは…
どんなところに住んでいたの?
【カムイ】
私は北の城塞という、
人里離れた古城の中で暮らしていました。
ほとんど出歩くこともできませんでしたし、
会う人も制限されていましたね。
【アクア】
そう…
【カムイ】
でも私は…それでも寂しくありませんでした。
確かに不自由さを感じたことはありましたが、
身の回りの世話をしてくれる人たちとは、
家族みたいにずっと一緒でしたし、
マークス兄さんたちも、
良く遊びに来てくれました。
エリーゼさんなんかは、毎日城塞に来て
一緒に遊ぼうって、うるさくて…
【アクア】
ふふ…
賑やかで、楽しそうね。
【カムイ】
はい。
それにあのお城にはたくさんの文献があって、
何冊読んでも全然読み切れないくらいでした。
よくフェリシアさんやジョーカーさんと
読み比べをして、
得た知識を競い合ったものです。
そう…私はあの場所で、
様々なことを学びました…
【アクア】
…………
【カムイ】
あの城で暮らしたことしかありませんから、
そう思ってしまうのかもしれませんが…
あの場所が
今の私を作り上げたと言えると思います。
あそこが私の…故郷なんです。
【アクア】
そうだったのね…ごめんなさい。
カムイの気持ちも考えずに、
一方的なことを言ってしまって。
私の暗夜王国に対して抱いている印象とは、
少し違っているのね。
【カムイ】
そうかもしれませんね。
色々思い出していたら、
なんだかあの城が懐かしくなってきましたよ。
【アクア】
いつかきっと…また帰れるわよ。
【カムイ】
はい…
そのためにも私達は暗夜王を倒し、
この戦争を終わらせなくてはいけませんね。
【アクア】
ええ、そうね。
***支援A [#k2ac62be]
【アクア】
またここにいたのね、カムイ。
【カムイ】
こんにちは、アクアさん。
気晴らしに来てみたんですが、
ちょっと今日は天気が悪かったみたいです。
【アクア】
ええ。風も強いわ。
嵐が来るのかもしれない…
【カムイ】
そうですね…
まるで暗夜の空みたいです。
【アクア】
カムイ…また暗夜での暮らしのことを
思い出しているの?
【カムイ】
あ…いいえ。
でも少しだけ、考えていたんです。
アクアさんと私はとても似た境遇にあるのに、
暗夜に対する考え方はかなり違っています。
【アクア】
そうね…私の暗夜に対する印象は、
あまり良いものではない…
今でも、あなたの過去の話は
少し信じがたいもの。
暗夜にも、そんな温かな時間が
存在するなんて、思わなかった…
【カムイ】
白夜の仲間の皆さんからすれば、
その考え方が当然なんでしょうね。
【アクア】
でも、その溝をどうにかして
埋めていくことこそが、
明るい未来へとつながっている気がするわ。
…どちらが良い悪い、じゃなくて。
【カムイ】
アクアさん…
はい、私も、そう思います。
【アクア】
私達がこうして一緒に
白夜群として闘っていることは、
きっとその答えを見出すために点に与えられた
宿命なのね。
これからも似た境遇の者同士、
手を取り合っていきましょう。
この世界を…守るために。
【カムイ】
そうですね。
私にできることは何でもするつもりです。
これからもよろしくお願いします…アクアさん。
**暗夜 [#qe81bf43]
***支援C [#f74f1186]
【カムイ】
はぁ…はぁ…
うっ…くっ…!
【アクア】
誰…?
こんな夜更けに一体何を…
…!? カムイ?
一体どうしたの!?
【カムイ】
くっ…
だ、大丈夫です…アクアさん。
【アクア】
とてもそうは見えないわ。
足元もふらついているし…顔も真っ青よ。
それに…床に割れたグラスの破片…
【カムイ】
ほ、本当に大丈夫なんです…ちょっと
嫌な夢を見てうなされただけなんです。
水を飲もうとしてふらついただけなんです。
【アクア】
そうだったのね。
とりあえず…水を飲んで落ち着いて。
【カムイ】
ごくっ…ごくっ…
はぁ…
ありがとうございます、アクアさん…
【アクア】
で…どんな夢を見ていたの?
【カムイ】
いや、別に大したことじゃありません。
【アクア】
…もしかして…悩んでいるの?
暗夜王国の側についたことを?
【カムイ】
…!!
ふ、ふふふ…さすがはアクアさんですね。
隠し事はできないってわけですか。
【アクア】
ここ数日あなたの様子がおかしかったもの。
時々、俯きがちにため息もついていたし。
【カムイ】
もちろん後悔はしていません。
良く考えて決めたことだし、今でも
これが世界を救う唯一の方法だと思っています…
【アクア】
カムイ…
【カムイ】
でも…毎晩夢に見るんです…
殺された白夜の人たちが夢に出てきて…
私のことを恨んでると言って襲ってくるんです…
【アクア】
でも…カムイ。それも覚悟の上で、
この道を選んだんじゃなかったの?
【カムイ】
もちろんです…でも…私の心は、
そこまで簡単に割り切れてはいないようです。
【アクア】
…確かにそうね。
あなたにとって白夜は本当の家族だし、
私も本当に…彼らには感謝しているわ…
【カムイ】
でも…迷うことはあっても、歩み始めてしまった
事実は変わらないんですよね。
私達はこの先に平和があると信じて、
茨の道を進むしかないんですよね。
【アクア】
ええ…そうね。
【カムイ】
アクアさんの口からそれが聞けて良かったです。
私は…この道を進みます。
【アクア】
………………
***支援B [#m6b50819]
【カムイ】
さて…
夜の見回りもそろそろ終わりにしましょうか。
特に異常もないようですし…
…?
いや、あの柱の陰に…誰か…?
…っ!? 白夜兵…!?
【白夜兵】
見つけたぞ…
暗夜王国の王女…カムイ!
【カムイ】
え…!?
【白夜兵】
貴様にはここで死んでもらうっ!!
きえええーっ!!!
【カムイ】
うっ! くっ…!!
やられる…ものですかっ!!
たあああっ!!
【白夜兵】
ぐっ! ぐあああーーーっ!!
【カムイ】
はぁっ…はぁっ…!
【アクア】
カムイ!!
ど、どうしたの…カムイ!?
…っ!? まさか…
敵がここまで忍び込んでいたの!?
【カムイ】
は、はい…どうやらそうみたいですね。
【白夜兵】
ぐぬっ…
お…俺は絶対に許さない…
家族を皆殺しにした…暗夜王国を…!
カムイ…お前のことを…!
【カムイ】
…!!
【白夜兵】
貴様らには…天罰が下されるだろう…
暗夜の者は必ず…滅びる運命にある…
その日が来るまで…
精々…束の間の平穏を楽しむがいい…
ぐはは…はは…
ぐふっ…!
…………
【カムイ】
…………
【アクア】
カムイ…大丈夫?
【カムイ】
はい。怪我などはしていません。
【アクア】
そうじゃない。
あなたの心が…よ。
【カムイ】
…心。
【アクア】
今言われたことを、
いつまでも気にしていてはダメ。
ここで立ち止まっては…
この人の命までが無駄になるわよ。
【カムイ】
そっ、そう言われても…!
今家族の復讐のために私を殺そうとした彼には、
彼なりの正義があったんです…!
その正義を奪ったことに違いはないでしょう!?
【アクア】
それなら…悔やめばいいわ。
【カムイ】
えっ…!?
【アクア】
後悔して、悩んで、落ち込んで…
涙を流しながらも前に進めばいいのよ。
本当はもうこれ以上あなたには
悩んでほしくなかった…でも…
この真実から目を背けてはダメなの。
【カムイ】
どういう意味です…?
【アクア】
カムイ…
あなたが今悩むのは、あなたに…
そして私たちに力がないからよ。
【カムイ】
…!!
【アクア】
そして今ここで白夜兵の彼が命を落としたのも、
あなたと私たちに力がないから。
本当はもうわかっているんでしょう…?
【カムイ】
……………………
【アクア】
私たちはその事実を突きつけられながらも、
進むしかないの。
きっとこれからもこういうことは何度もあるわ。
それでも進むしかないのは…大きな力を手に
入れるためなんだから…仕方がないでしょう?
【カムイ】
…アクアさん。そうですね、すみません。
弱音を吐いてしまって…
【アクア】
ううん、私なら平気。
あなたが道に迷いそうな時は、
いつでもこうして背中を押してあげるから。
【カムイ】
はい…アクアさん。ありがとうございます。
***支援A [#k3ac62be]
【アクア】
はぁ…はぁ…!
カムイ!!
【カムイ】
アクアさん、どうしたんです?
そんなに息を切らして。
【アクア】
どうやらまた白夜兵が侵入したらしいの…
またあなたを襲いに来たのかもしれない…!
【カムイ】
えっ…!?
【白夜兵】
カムイ…
暗夜王族のカムイだな!
【カムイ】
っ!?
【アクア】
くっ…!
すでにここまで来ていたのね!
【白夜兵】
我が仲間を殺した恨み…ここで晴らす!!
死ねえええーっ!!!
【カムイ】
あっ…
【アクア】
カムイ!?
どうしたの!? 武器を構えるのよ!?
何をぼさっとしているの!?
【カムイ】
で…でも!
【アクア】
カムイ!?
くっ…仕方ないわ。
ここは私が…!!
はああっ!!
【白夜兵】
な、なにっ!?
ぐ!! ぐあああーーーっ!!!
【カムイ】
…!!
【アクア】
はぁ…はぁ…
【カムイ】
ア、アクアさん…
【アクア】
カムイ…大丈夫?
【カムイ】
アクアさん…すみません。
でも…急に身体が動かなくなってしまって…
【アクア】
ううん…いいのよ。
悩めばいいって言ったのは私だもの。
【カムイ】
で、でもこんな情けない姿…!!
私はこんなにも弱い人間だったのですか…!!
これじゃあみんなにも申し訳ない…
【アクア】
いいえ、カムイも人間だもの。
そういう時だってあるわ。
だからね…あなたが自らの手を血で汚すことに
疲れてしまった時は…私が手を汚す。
【カムイ】
えっ…?
【アクア】
倒した敵の血で汚れるのはあなただけじゃない。
私だって同じ覚悟でいることを忘れないで。
【カムイ】
アクアさん…
【アクア】
もしカムイが罪を犯して
地獄に落とされるなら、それは私も同罪だから。
…私も罪を背負い、一緒に地獄に落ちる覚悟よ。
【カムイ】
…アクアさん。
わかりました。もう私は…迷いません。
いや…まだ迷うことはきっとあるんだろうけど、
そのたびにあなたが背中を押してくれるなら、
この茨の道を最後まで歩くと約束します。
【アクア】
ええ、私もあなたを支えると…約束するわ。
【カムイ】
よし…アクアさん。行きましょう。
地獄に落ちるなら…二人一緒です。
【アクア】
ええ。
**透魔 [#nfcc3ad8]
***支援C [#d176573b]
【カムイ】
ここは…森に囲まれた泉ですか。
アクアさんと出会った場所に似てるかも
しれません。
【アクア】
あら…カムイ。
どうしたの?
【カムイ】
あっ…アクアさん。
あなたの事を探してたんです。
でも…もしかして、
歌のお邪魔をしましたか?
【アクア】
いいえ、平気よ。
何か用かしら。
【カムイ】
はい。
ちょっとあなたと話してみたいことがあって。
【アクア】
話してみたいこと…?
【カムイ】
私は白夜の王女だったのに、
暗夜で育てられました。
あなたは暗夜の王女だったのに、
白夜で育ちました…
二大国家と言われている白夜と暗夜の
両国にこれほど関わった人間は、
私たちをおいて
他にいないだろうと思いまして。
【アクア】
確かにそうね。
【カムイ】
そんな二人だからこそ国や世界について…
考えられることがあると思うんです。
それをちょっと話し合ってみたくなりました。
【アクア】
なるほど…
確かに良いかもしれないわね。
何か斬新が意見が浮かぶかもしれない。
【カムイ】
ありがとうございます、アクアさん。
じゃあまず、
白夜王国について考えてみましょう。
…白夜王国は
まさに光の国と言ってもいいでしょう。
明るく温暖な気候で自然も豊かです。
肥沃な土地に囲まれて、
農作物も十分に育ちます。
【アクア】
暮らす人々の心も穏やかよね。
皆優しく、礼節を重んじるわ。
【カムイ】
はい。そして昔から幾度となく
暗夜王国の侵攻に脅かされてきた…
【アクア】
暗夜王国には非があるわ。
白夜王国は被害者と言ってもいい。
【カムイ】
確かにそうなんですが…
もう少し考えてみませんか?
別の切り口というか…
【アクア】
えっ…別の切り口…?
…そうね。一概にそう言い切れない点。
それをあえて口にするのであれば…
自分達が平和ならそれでいいという考えが、
白夜の人たちにはあったんじゃないかしら?
でもそれは結局我が身の安寧に
固執しているだけで、
それ以外の人を見捨てたと言えなくもない。
【カムイ】
確かに…見方によってはそうかもしれませんが…
そんな考え方、初めて聞きました。
うん…バッサリとそう言われると、
なかなか辛いところがありますね。
【アクア】
そういう風に捉えてみるのも
ありかと思っただけよ。
考え方の一つとして取っておきましょう。
【カムイ】
はい、そうですね。
決めつけずに話を続けてみましょう。
***支援B [#y620092c]
【アクア】
カムイ。今日もここに来たのね。
【カムイ】
はい、
この間の話の続きをしようと思いまして。
【アクア】
そう。次は確か…
暗夜王国について、だったわね。
【カムイ】
はい。
暗夜王国は…私の過ごした国です。
草木の生えにくい土地に薄暗い森…
氷に覆われた大地など、
貧しい土地が多いと…
文献で読みました。
【アクア】
ええ…そしてそれを象徴するかのように、
暮らす人々の心も…白夜とは対照的だわ。
冷淡で懐疑的で…どこかよそよそしくて…
そして少し攻撃的。
【カムイ】
もちろん、
中には優しい人だっています。
私たちの仲間は暗夜王国の人も多いですが、
みんな頼りがいがあって…信頼できますから。
【アクア】
それと同じように、暗夜王国の
見方を変えてみるとしたら…そうね。
…荒れ果てた土地の暗夜王国は何度となく、
他国を蹂躙してきた。でもそれは…
光の届かない世界だからこそ考えてしまう、
光への妬み、疎み…そういった鬱屈した想い…
白夜王国が眩しすぎて、溜まりに
溜まっていった気持ちなんじゃないかしら。
【カムイ】
表裏一体…白夜があるからこそ、暗夜は
あんな国になってしまったということですね。
【アクア】
ええ。自分たちの身を守ろうとした結果が
他国への侵攻だったと考えれば、
たとえ暗夜王国が悪だとしても、それでも
お互いに歩み寄り、分かり合うことこそが、
世界の平和へと繋がる
道筋なんじゃないかしら。
【カムイ】
そうですね…でも、それを邪魔する存在がいる。
今はそれを倒すことが先決というわけですね。
【アクア】
そうね。
…引き続き考えてみましょう。
***支援A [#f0f0bd44]
【アクア】
カムイ、今日も話をしに来たのね。
【カムイ】
はい、これが最後になると思いますけど
同時にとても重要な内容だとも思っています。
それは…
【アクア】
カムイ!
ちょっと待って!
ここで話すのは危険だわ。私に付いてきて。
この泉からあちら側へ行けるから。
【カムイ】
…!!
そうでしたね。わかりました…!
【アクア】
目を閉じていてね…すぐに行けるわ。
…………
…着いたわ。
【カムイ】
透魔王国…既に滅びた、
私たちの住む世界とは異なる場所…
【アクア】
この国のことを話すつもりだったんでしょう?
【カムイ】
はい。あちらでこの国のことを話すのは
ダメなんでしたね。
【アクア】
でも…問題になっているのは国というよりも、
透魔王ハイドラ…あの悪魔ただ一人よ?
【カムイ】
そうですね。透魔王ハイドラ…
その存在について、私なりに調べてみたんです。
ハイドラとは…神。
古の時代から生き続けた存在なんですよね。
【アクア】
ええ。神か悪魔か…どう捉えるかは
人それぞれかもしれないけれど、
強大な力を持っているという点においては、
どちらでも良いのかもしれないわ。
私の知る文献には、
神々の伝説はこう書かれてあった…
古の時代…神は人々に力を授け、
人々は神への信仰を捧げ続けた…
未来永劫続くかと思われたその良好な関係性を
壊したのは、人間の方だった。
人間は自らの力を高めると同時に信仰心を捨て、
人間だけで平和な世界を作り上げていった。
信仰をなくしたあさましき人間を見て、
神は怒りに身を震わせ暴走したという…
【カムイ】
その神がハイドラなんですか?
【アクア】
もちろん確証はないけど…
仮にそうだとしたら、
神が人間を滅ぼそうとすることも、
決して無作為な暴走じゃないということよ。
…だからと言って許すことはできないけれど。
【カムイ】
本当だとしたら…少し哀れですね。
【アクア】
そうね…闘いを呼び起こすのは、
何かしらの理由があるということなのね。
攻められたからやり返す…
恨みがあるから復讐する…
そんな気持ちだけで闘ってはいけないという
教訓なのかもしれないわ。
私たちだって決して私怨で
闘っているわけじゃないもの。
【カムイ】
そうですね。世界をどのように変えていけば、
みんなのわだかまりが消えて、
みんなが幸せになれるのか…
それを考えることが一番重要なんだと思います。
【アクア】
そうね…そろそろ一度、戻りましょう。
ここに長居はしないほうがいいから。
【カムイ】
わかりました。
【アクア】
さあ、戻ってきたわ。
【カムイ】
はい。
【アクア】
カムイ…ありがとう。
もしかしたら、私たちはすごく大切なことに
気づけたのかもしれない。
【カムイ】
いえ、
アクアさんと一緒に話せたからですよ。
同じ境遇だからこそ至れた
結論なのかもしれませんね。
【アクア】
そうね。
今この水面に映っている二人の姿は別々だけど…
鏡に映したような存在の二人だから…
こんな風にわかり合えたのかもしれないわね。
【カムイ】
鏡に映した二人ですか…はい、そうですね。
私は…この絆をこれからも大事にしたいです。
【アクア】
もちろん私もよ。
これからもよろしくね、リネ。