制作会話/フーベルト

「……今頃、ヤンはちゃんと絵を描いているでしょうか。」
「なんだかそれが心配で、さっきから集中できないんです……。」
「……お腹を空かせて泣いてなければいいんですが。」
「遊びに夢中で、絵のことを忘れてるかも……。」
「すみません、ちょっとヤンの様子を見てきます！」

「ゴッホさんがヤンにお菓子をくれたそうです。」
「お礼に何か作りたいんですが、ゴッホさんはどういうものが好きなんでしょう？」
「いい機会ですし、他の皆さんにも今までの感謝を　お伝えするべきでしょうか？」
「だったら１つ２つでは足りませんね……。」
「館長さんの分もご用意しますよ。好きなものがあったら教えてくださいね。」

「館長さん、お疲れ様です。」
「完成した絵はこちらに置いておきますね。」
「では、僕はヤンのところに……。」
「……いえ、休憩なんて必要ありませんよ。」
「ヤンがどうしているか気になったら、休憩どころじゃありませんしね。」

フーベルト「……トニーさん、なにをしているんですか？」
ヴァン・ダイク「しーっ！　ルーベンス先生にバレるでしょ！」
フーベルト「……もしかして我々は　同じことをしているんでしょうか。」
フーベルト「僕はヤンを、あなたはルーベンスさんを　こっそり見守っている……違いますか？」
ヴァン・ダイク「わかってるなら話は早いね。目的は先生だけだから、そこのところよろしく。」
フーベルト「わかりました。それにしても二人はなにをしているんでしょう？」
ヴァン・ダイク「先生が遊んであげてるんだと思うよ。微笑ましい光景だよね。」

「水曜日はミレーさんとモネさんの手伝いをします。」
「と言っても、僕の担当は料理なんですけどね。」
「ヤンと三人で庭いじりをするそうで。収穫した野菜を食べられるようにするんです。」
「こっそり四人だけで食べるときもありますよ。働いたご褒美として。」
「次はなにを作ってあげようかな。ヤンの喜ぶところを早く見たいですね。」

「はぁ……恥ずかしいことをしてしまいました……。」
「広重さんの服の裾が汚れていたのを見て、つい、ヤンにするように拭ってしまったんです。」
「もう世話をすることが　身体に染みついているんでしょうね。」
「気にしないどころか、助かると言ってもらえてよかったです。」
「これからは広重さんのお世話も……。いや、それは森田さんのお仕事でしたね。」

「……！　館長さん、ここでなにをしているんですか？」
「僕は……ええと、その……。」
「……白状しますね。隠してあるひつじグッズの確認をしにきました。」
「人前ではもふもふできないので、いつも水曜の夜にもふりに来るんです。」
「こ、子供っぽいって思わないでくださいね。」

「ルーベンスさん、いい教育って何だと思いますか？」
「あら、難しいことを聞いてくるのね？」
「ヴァン・ダイクさんとみていると、ルーベンスさんは教育上手なんだと思えるんです。」
「ヤンはいい子なんですが、僕の方で気を付けなきゃいけないことも多くて。」
「だから、どうすればいいのか　お聞きしようかと……。」
「アナタが思うようにすればいいのよ。大事にしてあげれば、ヤンちゃんは応えてくれるわ。」
「……それなら、今のままでもいいんですね。ありがとうございます。少しほっとしました。」