shakayami

Last-modified: Sat, 16 Dec 2023 12:12:37 JST (134d)
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自作問題

ビラ

  • 2019年NFビラ問1
    \( f(x)=e^x\sin{x} \)とする.このとき正の実数列\( \{a_n\} \)\( f(x) \)\( x=a \)での接線が原点を通るような\( a \)を小さい順に取っている.
    (1) \( \lim_{n\to\infty}\tan{a_n} \)を求めよ
    (2) (1)で求めた極限の値を\( \alpha \)としたとき、\( \lim_{n\to\infty}n(\tan{a_n}-\alpha) \)を求めよ.
  • 2020年新歓ビラ問1
    \( p,q \)を素数としたとき, \( {}_{pq}C_p\equiv q\pmod{p} \)であることを示せ.
  • 2020年NFビラ問4
    \( f(x),g(x) \)を0でない多項式とする.このとき,以下の条件を満たす多項式\( f_i(x),g_i(x)(i=0,1,2) \)が存在することを示せ.
    \[ \dfrac{f(x)}{g(x)}=\dfrac{f_0(x^3)}{g_0(x^3)}+x\dfrac{f_1(x^3)}{g_1(x^3)}+x^2\dfrac{f_2(x^3)}{g_2(x^3)} \]
  • 2021新歓ビラ問6
    以下の極限を求めよ(gcdは最大公約数)
    \[ \lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{n^3}\sum_{a=1}^{n}\sum_{b=1}^{n}\sum_{c=1}^{n}\mathrm{gcd}(a,b,c) \]

作サー模試

問題は載せられないので何年の何問目かだけ書きます

  • 2019年NF模試理系第1回の問5
  • 2019年NF模試文系第1回の問1
  • 2020年NF模試文系第1回の問1(との共作)
  • 2022年NF模試理系第1回の問6
  • 2023年NF模試理系第2回の問2

部誌に載ったもの

全ては紹介できないので一部だけ載せます。詳しくは部誌を買ってください

  • \( \lim_{n\to\infty}\cos^{n^2}{(2\pi e n!)} \)を求めよ.
  • M高校でK大学模試を受けたのは4人だとしたとき、そのうちの4人のうちの1人であるAさんの校内偏差値としてとりうる値を求めよ.
  • \( \sum_{n=0}^{\infty}\sum_{k=0}^{n} \dfrac{x^ky^{n-k}}{n!}\binom{n}{k} \)を求めよ.\( \binom{n}{k} \)は二項係数
  • \( \sum_{n=0}^{\infty}\sum_{k=0}^{n} \dfrac{x^ky^{n-k}}{n!}s(n,k) \)を求めよ. s(n,k)は第一種スターリング数
  • \( \sum_{n=0}^{\infty}\sum_{k=0}^{n} \dfrac{x^ky^{n-k}}{n!}S(n,k) \)を求めよ.S(n,k)は第二種スターリング数
  • 漸化式\( a_1=1,a_{n+1}=a_n+\sqrt{1+{a_n}^2} \)となる数列において,\( \lim_{n\to\infty}\dfrac{a_n}{cr^n}=1 \)になるような定数\( c,r \)を求めよ.
  • 三角形ABCは鋭角三角形 面積S 外接円の半径R 内接円の半径r このとき平面上の点Pであって、\( \{AP,BP,CP\} \)の中央値がR以下となるような領域を図示して面積を求めよ

大数に載ったもの

  • \( \alpha,\beta \)を正の実数の定数とする.\( \triangle ABC \)\( \angle A=60^{\circ},BC=\sqrt{3} \)を満たしている.このとき,\( AB=x,AC=y \)と定めたときの\( \alpha x+\beta y \)の最大値を\( \alpha,\beta \)で表せ.(2022年11月号 学力コンテスト 問2
  • \( y=\sin{x},y=0 \)で囲まれた領域を\( y=mx \)によって面積比が\( 1:n \)になるように分割する.ここで,\( y\lt mx \)の領域:\( y\gt mx \)の領域\( =n:1 \)となるようにする.
    このとき,\( y=mx \)\( y=\sin{x} \)の交点の\( x \)座標のうち,0でないものを\( \alpha_n\ \)とする.\( \lim_{n\to\infty} n(\alpha_n)^k \)が0以外の有限値に収束するときの\( k \)の値とその極限値を求めよ.ただし極限\( \lim_{x\to\infty}\dfrac{x-\sin{x}}{x^3}=\dfrac{1}{6} \)は証明せずに用いてもよい.(2023年2月号 読者の新作問題

その他

 

問1

\( A \)\( n \)次の実数係数の正定値な対称行列とする。このとき、

\[ \sup_{x\in\mathbb{R}^n\setminus\{0\}}\frac{\parallel Ax\parallel }{\parallel x\parallel},\inf_{x\in\mathbb{R}^n\setminus\{0\}}\frac{\parallel Ax\parallel }{\parallel x\parallel} \]

は共に\( A \)の固有値であることを示せ

 

問2

\( k \)を正の整数とし、関数\( f[0,1]\to\mathbb{R} \)\( C^k \)級である。
ここで、\( f(1)=f'(1)=\cdots=f^{(k-1)}(1)=0 \)が成立しているものとする。
このとき、以下の極限値を求めよ。

\[ \lim_{n\to\infty}n^{k+1}\int_{0}^{1}x^nf(x)dx \]
 

問3

\( \mathbb{F}_7 \)を位数7の有限体とする。このとき、
\( \mathbb{F}_7 \)係数の3次の既約モニック多項式はいくつあるかを求めよ。

 

問4

\( \mathbb{F}_p \)を位数\( p \)の有限体とする。\( \mathbb{F}_p \)係数の\( n \)次正方行列を各成分の値を\( p \)面サイコロを振って出した値で決める。このときできた行列が正則である確率を\( a_n \)とおくと、\( \lim_{n\to\infty}a_n \)はある値\( \alpha \)に収束して、かつ\( \alpha \in (0,1) \)を満たすことを示せ。

 

問5

自然数\( n \)について、以下の等式を示せ。

\[ \sum_{k=0}^{n}\frac{({}_nC_{k})^2}{{}_{2n}C_{2k}}=\frac{4^n}{{}_{2n}C_n} \]

解答

問1

\( A \)の固有値を\( \lambda_1,\ldots,\lambda_n \)、対応する固有ベクトルを\( v_1,\ldots,v_n \)とする。ここで、\( A \)が正定値・対称行列より、\( 0<\lambda_1\leq \cdots\leq\lambda_n \)であり、\( \{v_1,\ldots,v_n\} \)\( \mathbb{R}^n \)の正規直交基底としてもよい。このとき、\( x=x_1v_1+\cdots+x_nv_n \)(ただし\( x_1,\ldots,x_n\in\mathbb{R} \))とすると

\[ \frac{\parallel Ax\parallel }{\parallel x\parallel}=\sqrt{\frac{{\lambda_1}^2{x_1}^2+\cdots+{\lambda_n}^2{x_n}^2}{{x_1}^2+\cdots+{x_n}^2}} \]

となっている。よって、

\[ \lambda_1=\sqrt{\frac{{\lambda_1}^2{x_1}^2+\cdots+{\lambda_1}^2{x_n}^2}{{x_1}^2+\cdots+{x_n}^2}}\leq \sqrt{\frac{{\lambda_1}^2{x_1}^2+\cdots+{\lambda_n}^2{x_n}^2}{{x_1}^2+\cdots+{x_n}^2}}\leq \sqrt{\frac{{\lambda_n}^2{x_1}^2+\cdots+{\lambda_n}^2{x_n}^2}{{x_1}^2+\cdots+{x_n}^2}}=\lambda_n \]

となっている。
よって、\( (x_1,\ldots,x_n)=(1,0,\ldots,0) \)\( (x_1,\ldots,x_n)=(0,\ldots,0,1) \)の場合を考えることでsupとinfが求まる。

問2

後で証明を書く予定です。

答えは確か\( (-1)^kf^{(k)}(1) \)になるはずです。

k回くらい部分積分をすればOKです。

問3

\[ x^{343}-x \]

は、\( x^7-x \)\( \mathbb{F}_7[x] \)上の三次既約モニック多項式を全部掛けたものと等しくなる。

よって、両辺の次数を比較することで答えがわかる。

解を\( n \)とおくと、\( 343=7+3n \)より、\( n=112 \)となる。

問4

\[ a_n=\prod_{i=1}^{n}\left(1-\frac{1}{p^i}\right) \]

より、

\[ \lim_{n\to\infty}a_n=\prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{1}{p^n}\right)=\exp\left(\sum_{n=1}^{\infty}\log\left(1-\frac{1}{p^n}\right)\right) \]

となる。expの中身の級数が収束することはダランベールの判定法より保証される。

問5

\[ {}_{2n}C_n\frac{({}_nC_k)^2}{{}_{2n}C_{2k}}=\frac{(2n)!}{n!\cdot n!}\cdot \frac{n!\cdot n!}{k!\cdot k!\cdot (n-k)!\cdot (n-k)!}\cdot\frac{(2k)!(2n-2k)!}{(2n)!} \]
\[ =\frac{(2k)!}{k!\cdot k!}\cdot \frac{(2n-2k)!}{(n-k)!\cdot (n-k)!} \]
\[ ={}_{2k}C_k\cdot{}_{2n-2k}C_{n-k} \]

これを\( 0\leq k\leq n \)で総和を取ったものが\( 4^n \)に等しいことを示せればよい。

ここで、\( \frac{1}{\sqrt{1-4x}} \)のテイラー展開は

\[ \frac{1}{\sqrt{1-4x}}=\sum_{n=0}^{\infty}{}_{2n}C_nx^n \]

となっている。ただし、\( |x|<1/4 \)である。これの二乗を畳み込みで計算すると、

\[ \frac{1}{1-4x}=\left(\frac{1}{\sqrt{1-4x}}\right)^2=\sum_{n=0}^{\infty}\left(\sum_{k=0}^{n}{}_{2k}C_k\cdot{}_{2n-2k}C_{n-k}\right)x^n \]

ここで、

\[ \frac{1}{1-4x}=\sum_{n=0}^{\infty}4^nx^n \]

であるため、

\[ \sum_{n=0}^{\infty}4^nx^n=\sum_{n=0}^{\infty}\left(\sum_{k=0}^{n}{}_{2k}C_k\cdot{}_{2n-2k}C_{n-k}\right)x^n \]

となり、係数を比較することで

\[ 4^n=\sum_{k=0}^{n}{}_{2k}C_k\cdot{}_{2n-2k}C_{n-k} \]

を得る。