すがた のバックアップ(No.6)
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- 所属
京都大学理学部理学科
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- 過去作
新歓 (2020) 用に作問・解説した問題を載せます:
問. 2つ以上の正四面体により, 隙間なく敷き詰めることができる四面体は存在しないことを示せ.
ヒント:
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- 背理法を使うのが自然だと思います.
- 「四面体の面に, 正四面体の面を敷き詰める」ことを考えてみてください. これにより四面体の候補をかなり絞り込めます.
- 1辺の長さが1の正四面体のみで, 1辺の長さが2の正四面体を敷き詰めることはできません (証明してみてください). この議論に帰着させることで解決します.
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- 面白かった講義・分野
「どの分野の講義を履修しても大体単位認定される」というのが弊学理学部の魅力だと思います.
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(数学)
- 「函数解析学」; 函数解析はその応用が非常に広いことで知られていて, 数学科の方ならほぼ全員が学ぶことになると思います. 例えば, 今はやりのDeep Learningの理論はこの分野の割とclassicalな事実 (Hahn-Banachの定理の系とか, 各種稠密性定理とか) で構築されているらしいです. 函数解析に自信のある人は, そういった応用にも目を向けると面白いかもしれませんね. あと, 担当教員の方の専門分野によって講義内容がガラッと変わってくるのもこの分野の面白い所かもしれません (私が受講した年は偏微分方程式寄りでしたが, 作用素環論寄りの年もあったようです).
- 「解析学特論I」(函数解析); 大まかには「群作用をHilbert空間上の表現により表すことで, 代数学・幾何学の問題を函数解析 (soft analysis) の問題に帰着させる」といった感じの講義でした. より具体的には, 「Gromovの多項式増大度定理」という代数学・幾何学関連の定理 (幾何学的な主張から代数学的な主張を帰結する定理) を, 上記の手法を駆使して証明する方法が紹介されました. こういう「分野横断的」な話は好きな人が多そうな気がします! 講義自体は簡潔かつ丁寧 (だと復習後に分かる感じ) でしたが, 私の場合は基礎 (作用素環論とか, ultrafilterとか) が危ういせいで週10hレベルで復習してましたね...
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(物理学)
- 「統計力学A」; 講義の丁寧さと, 期末試験の難しさがとても印象に残っています. 前者に関しては, 教員の方の「統計力学の面白さを学生に知ってほしい」という熱意をひしひしと感じました. 後者に関しては, (単なる計算や講義内容の再現では解決しない) 物理的な理解を試すような問題が1~2問位出題されます. それ以外の問題が計算や講義内容の再現で十分解けるだけに, それら2問程度に試験時間の大半をつぎ込むことになります.
- 「統計力学C」(履修中); 量子統計の講義ですが, どちらかというと物理的直観を養うための講義という感じがします. 教員の方は, いろいろなタイミングで「結果を忘れたときに, それを物理的直観に基づいて思い出す方法」「物理的直観に基づいて, (計算をせずに) 結果を正しく予想する方法」を伝えてくださり, これがとても面白いです.
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(化学)
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(生物学)
- 「細胞内情報発信学」; 生化学的な実験とその意義の紹介, 実験データから正しく事実を読み取る方法, 実験の計画方法が, 実際の実験データ・歴史的背景を交えて論理的に講義されます. ミクロな生物学に興味がある人におすすめします.
- 「分子生物物理学」;「この生体分子はこの物理学に従って働くはずだから, こうモデル化されて良いはずだ」という例が複数紹介されます. 特に, モデルの内容説明に留まらず, 各モデルの適用限界にまで踏み込んで講義されていたのが印象的でした. 生物科学系の専門科目ということになっていますが, むしろ物理科学系の人におすすめです (生物学の入門的な話も講義内でカバーされています).
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- (大体) 読んだ数学の本
- 「ルベーグ積分から確率論」(志賀 徳造 著) ;
前半で必要最低限の測度論を学び, 後半でその応用 (漸近解析・確率論の基礎・離散時間マルコフ過程) をやります. 前半は具体例が豊富で分かりやすいです (ただ, 解析専攻志望の人は別の (本格的な測度論を解説している) 本も必要かも...). 後半は行間が割と広めで, 前半で学んだ測度論を実際に使う良い練習教材になります. 全体的には自主ゼミ向きだと思います.
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- 読んでみたい本
Malliavin解析とかをじっくり勉強してみたいです.