すがた のバックアップ(No.4)


 
  • 所属 : 京都大学理学部理学科
 
  • 作問について : 数式や図形の対称性について興味があります。以下に過去作を一つ挙げます。
 
 
 
 
2つ以上の正四面体により, 隙間なく敷き詰めることができる四面体は存在しないことを示せ.
 
 

ヒントをいくつか出しておきます. 

 
 
 
 
 
 
  1. あるものが存在しないことを証明するときには, どのような手法 (証明法) が有効でしょうか.
  2. 「四面体の面に, 正四面体の面を敷き詰める」ことを考えてみてください. このとき, 四面体の形状の候補としてどのようなものが挙げられるでしょうか.
  3. 1辺の長さが1の正四面体のみで, 1辺の長さが2の正四面体を敷き詰めることはできるでしょうか. 本問はこの問いを一般化したものとなっています.
 
 
 
 
 
 
  • (大体) 読んだ数学の本 : 
  1. 「複素関数入門」(神保 道夫 著) ; 複素関数論の定番の本です。前提知識は1回生レベルの微分積分学くらいで, 非常に読みやすい本です。
  2. 「ルベーグ積分から確率論」(志賀 徳造 著)測度論における必要最低限の知識・測度論的確率論の基礎事項とその証明がコンパクトにまとめられています。
 

  本書の特色 (他の測度論・確率論入門書との相違) としては, 漸近解析に1章が丸々費やされていること, そしてn次元ランダムウォークの再帰性の条件とその証明が与えられていることが挙げられます。

 

  前提知識としては1回生レベルの微分積分学 (特にリーマン積分, 重積分) と線形代数学 (特に行列の対角化) , そして集合位相論 (特に集合の濃度) と複素関数論 (特に複素積分) が挙げられます。

 

  筆者はこの本を自主ゼミで使いました。以下に簡単な感想を書き残しておきます。

 

  測度論パートではルベーグ測度の構成, 三大収束定理, Fubiniの定理, L^p空間についてのちょっとした函数解析的話題, 漸近解析が扱われますが, 具体例が豊富で数学が苦手な筆者にとっても分かりやすかったです。ここで解説される知識は後半の確率論パートで使われるものばかりで, モチベーションがそれほど下がりません。ただし, フーリエ解析やRadon-Nikodymの微分に関しては解説されません。他の文献を参照する必要があります。

 

  確率論パートでは大数の強 (弱) 法則, 中心極限定理, マルコフ連鎖, n次元ランダムウォーク, グラフ, 投票モデル等が扱われますが, 測度論パートに比べて行間が広いです。特にマルコフ連鎖やn次元ランダムウォーク, グラフが扱われる6章では「The 解析」って感じの中々キッツい計算を強いられます。 ただ, そうやって苦労して証明を完成させる過程でだんだん収束定理や不等式の扱いにも慣れてくる部分があると思うので, 1回は手を動かしてやってみることをおすすめします (数学科の解析専攻の方からすれば朝飯前なのかもしれませんが...)。

 

  蛇足ですが, 文字や数式が大きく表示されていて読み進めやすいのもgoodです。

 

  本書は測度論で挫折したという方, 非数学専攻でルベーグ積分を手早く使えるようになりたいという方, 確率論に触れてみたいという方にとって得るところの多い本なのではないかと思います。

 

3. 「微分方程式の基礎」(笠原 晧司 著); 常微分方程式の入門書です。前提知識は1回生レベルの微分積分学と線形代数学 (スペクトル分解まで) の2つが挙げられます。行間が少なく, 自習にも適していると思います。

 
  • 読んでみたい数学の本
      中級レベルの確率論の本や初級レベルの偏微分方程式の本を読んでみたいですが, その前にもう少し解析についての造詣を深めたり, 腕力をつけたりしたい所です。