胡乱舎猫支店/エとセとラ のバックアップの現在との差分(No.1)
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夏が始まると子供達は専用の装備で山に川に、果ては海にまで採集に出かける。特別な網はわざわざ誂えたり先祖代々のものであったりするが、必ず誰の物であるかの識別が可能になっていなければならない。行くのは子供達だけ、大人が同行することは決して無い。
夏の終わりには大人と一緒に標本を作る。順番通りに綺麗に並べた物を提出しないといけないのだが全てが揃った物はなかなか作れない。欠番になるのは獲るのが難しかったり危険な場所にいたりそれ自体が危険だったり、よしんば捕まえられたとしてもいつの間にか逃げたりするものだ。作るのは必ず大人と、子供達だけでやることは決して無い。
何年か前に一人、標本を完成させた子がいて誇らしげに提出したそうだ。その春、移住してきたばかりだったらしい。
明日はその子の何回目かの命日になる。
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初出/概要
超短篇・500文字の心臓 / 第165回競作「エとセとラ」 / 参加作
執筆年
2018年?
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