まつじ/名前はまだない
Last-modified: Tue, 26 Oct 2021 23:35:42 JST (1247d)
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ぼくは、山下清志なのだそうだ。
両親が付けたのだから、まず間違いない。
はじめにことわっとくけども、漫画や小説ではないのだから、ちょっとした親の願い以外にとくに清志に意味はなく、山下にいたってはもはや何が何だか、ところであの文豪の小説に出てくるあのあいつは、なんだって二言目にあんなことを言い出したのか理解に苦しむ。
まあいいんだけど。
そんなに大事かソレいま言うことか。とは思った。
とはいえ、山下清志が便利なのも確かで、ああ山下さんちの、などなど世間的には非常に分かりよい。
かりそめのものだが、使い勝手は悪くない。
人間、の中の、山下清志。
のように、愛だ恋だその他もろもろがそれぞれ、別の呼ばれ方をしたら面白い。
たとえば山下ピエールとか、ハイエロファントグリーンとか、裸の大将とか。
いかん、話が逸れた。
結局何が言いたいのかって、山下清志はぼくであって、ぼくでないということです。
気にすることじゃないと分かっちゃいるけど、もうちょっと、うまいことぼくをあらわす名前があるはずと思う。
そういう意味でなら、例の奴の台詞にも共感できる。
死ぬまでに考えとくので、戒名のかわりにしてください。
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初出/概要 
超短篇・500文字の心臓 / 第88回競作「名前はまだない」 / 参加作
執筆年 
2009年?
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