まつじ/これでもか6

Last-modified: Mon, 21 Nov 2022 23:53:48 JST (521d)
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最近みんながうるさいので土の中に潜ることにした。あれしろこうしたほうがいいのって、ああうるさい、ほっといてくれ。さあ潜ろう。その先には静かで安らかな世界が待っているのだ。小さなスコップ片手に掘って掘って掘り進んで、やっと体が入るくらいのところで、でっかい石にぶつかった。面倒なので、無理矢理体を縮めてぼくは土をかぶった。意外に居心地がいい。やれやれ。と思いきや一息つく間もなく、モグラが頭にぶつかって「いてーな。じゃまくせえ。」と文句を言う。じゃまなのはお前だ。追っ払って一眠りしようと目をつむると、突然すごい音がして土の中が激しく揺れた。何かの工事か。がまん、がまん。すると頭を何かに引っ掻かれて、気付くと頭の上の土がない。見上げると、うちのバカ犬の後ろで、母親が冷たい目をしている。どうも、ぼくの安息できる場所はこの世にはないらしい。右手に持ったスコップを使ってあの世へ飛んだ。これで落ち着ける。と思うと「お前、最悪だな。」今度はでかい図体のおっさんがぼくを見下ろしている。俗に言う、閻魔さまだ。やれやれ。仕方がないので、まだ右手に残っていたスコップを使ってぼくはあの世からまたどこかへ飛んだ。

ジャンル Edit

一行作品コメディみんなオッサンお前

カテゴリ Edit

超短編/カ行

この話が含まれたまとめ Edit

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第43回競作「これでも」 / 参加作

執筆年 Edit

2004年?

その他 Edit

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