「創設メンバーの頭文字を取って年齢順に並べただけなんです…まあ読みやすいっちゃぁ読みやすいですね…と言っても名称なんてあなた方にはあまり関係ないのでしたね」
無い。そういったものは無くても我々には個体識別は可能だ。だがこれはこれで色々興味深い。
「ただ不本意なのですよ実は。何しろウチは全員こちら派でして。ねえ会長。そう一応…こちらがうちの会長なんです。マスコットではなくて。カワイイでしょう?断然!えーとこの手の派閥とかわかります?もしかしてそちらにもありますか?」
有る。ここも同じなのか、実に興味深い。だがこの生物と来る途中で見た相対する生物がどう違うのかがよくわからない。受動感覚器官と思しきものが一対づつしか無い辺りが一緒で見分けがつかないし意識空間は情報不足で初期条件も仮係数の決定すらも出来ないので解析不能だ。「カワイイ」と言うのは嗜好関数に関連するものだと彼を取り巻く空間から予測はできた。そして同時に自分にはそうはなり得ない対象だと確信した。
「あ、こらダメでちゅよ」
突如向かって来た“会長”が触覚に干渉した。ただそれだけのことなのに…何だ?この自空間認識に生じた揺ら…揺らぎは?