私は暗い中にいる。
体を縮めて、狭い空間に広がる闇に潜らせた。
頭上の穴から少し光が入ってくる。
穴は頭がやっと通るような小さなもので、私はここから出ることができない。
問題はない。
私はここが好きなのだ。
暗い中に身を置くのが好きなのだ。
とても落ち着く。
気が向いたら、頭をのぞかせて外を眺めることもできる。移動するのは面倒だが、その気になれば人と話すことも出来なくなはない。
悪くないじゃないか。
突然ガツンという大きな音がして、軽い衝撃が来た。
音だけが変に反響してやかましい。衝撃が連続して起こり、頭に響く。
何がしたいのか、誰かが外から叩いているらしい。
だけど無理だな。
ここはなかなか頑丈に出来ているんだ。
このうるさい音さえ気にしなければなんて事はないんだ。はは。
ほっといて眠ってしまおう。おやすみ。誰だか知らない人。
大音響の闇の中、私はさらに体を縮めてつるりと壁を指でなぞり目を閉じた。