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*読む [#h5448a44]
> 深夜のバルセロナ空港。エコノミー便はたいてい到着が遅くなる。日本人客がぞろぞろ移動するのに付いて行ってしまう。他国への乗り継ぎゲート。あわてて入国ゲートに引き返す。更に夜が更ける。
> ロビーでは金太が、目をぎらつかせ待っていてくれた。
>「日本人ツアー客を追ってギリシアに行くとこやった」
>「君、油断しまくりやのう」
>また言われてしまった。十代で大学選びに妥協した時。就活で飲食業に早々決めてしまった時。転職した時。彼のメキシコ修業時代に会いに行って、バスに旅券を忘れた時。
>「君、油断しまくりやのう」
>「まったくその通りや」
>二人で大笑して、一旦ケリがつくのだった。
>&br;
> 漫画家のアシスタント、給料月八万まで削られて怒って辞めて、十年ぶりに金太に会いに来た。
>「ホテル予約した」
>「いや、泊めてくれる?」
>「俺のねぐら二畳の相部屋やから無理」
>「どうしよ?」
>「今から探したる」
>「すまん」
>「とりあえず、腹ごしらえや」
> 電車で移動し、中華料理屋に連れてってもらう。客席でテレビを見てた店主が、のそっと厨房に戻る。座ってると、甘い玉葱の匂いがした。彩りの良い五目焼きそばを出してくれた。カシューナッツも入ってて、本格的だなと思った。
*ジャンル [#nbb58292]
[[異国]]、[[バルセロナ]]、[[中華料理]]、[[会話劇]]、[[乗り物]]、[[油断]]、[[数字]]、[[俺]]
*カテゴリ [#f40ea769]
[[超短編/タ行]]
*この話が含まれたまとめ [#jabaa566]
すぐ読める
*評価/感想 [#wb05e6fa]
*初出/概要 [#y8430e7a]
超短篇・500文字の心臓 / 第187回競作「[[誰かがタマネギを炒めている>超短編/タ行#qaafd42f]]」 / 参加作
*執筆年 [#k902efa7]
[[2022年]]
*その他 [#qd9ef571]
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