よもぎ/金属バット の変更点

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*読む [#k79af3b8]

>キン。と音を立てて白球が夕暮れの空に吸い込まれていく。
>買い物袋を下げたまま、ふと金網越しにグラウンドを覗く。
>キン。バットの放つ小気味よい金属音が呼び起こす遠い日の。
>あの頃の私は生活に疲れた主婦などではなく。
>キン。白球を追うかけ声が記憶にこだまする。
>あの時もこうして金網越しに彼を見つめていた。初恋の。
>キン。ボールの重みが一瞬にして弾け飛び現実にぶつかる。
>結婚という生活はぬるく苦く澱んで重なり。目眩が。
>キン。キン。キン・・・。
>繰り返される打撃音。夫の背後に迫る自分がよぎる。夕闇がじわりと潜む。
>キン!ひときわ高く弧を描いてボールが飛んでいった。
>ハッと我に返る。
>今晩は枝豆をゆでておこう。

*ジャンル [#q07a8876]
[[日常]]、[[夕方]]、[[買い物]]、[[野球]]、[[オノマトペ]]、[[夫]]、[[わたし]]、[[枝豆]]
*カテゴリ [#ke2e536c]
[[超短編/カ行]]
*この話が含まれたまとめ [#m96a04ad]
すぐ読める
*評価/感想 [#s1df1f7b]

*初出/概要 [#q0755d32]
超短篇・500文字の心臓 / 第39回競作「[[金属バット>超短編/カ行#ad58c5a6]]」 / 正選王作
*執筆年 [#o85c9d16]
[[2004年]]
*その他 [#l21d63fc]
[[超短編朗読会「てんとう虫の呪文Podcast」Season4>https://podcasters.spotify.com/pod/show/spell-of-ladybird/episodes/Season4-Ep-1-e2g4jle]]
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