よもぎ/壊れたメトロノーム の変更点

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*読む [#a5b1c8d6]

>放課後の誰もいない音楽室が好きだった。
>ピアノのふたを開けると、ホコリっぽい西日にカーテンが揺れた。ひとつ覚えのサテンドール。楽譜を見ながら弾いていると、ン・パン・ン・パンと手拍子の音がした。手を止めて振り向いた。見慣れない男子が微笑んで立っていた。「お上手ですね。どうぞ続けて」 優し気な瞳にそう言われて悪い気はしなかった。気のないふりをしながら、またピアノに向かう。彼は曲に合わせてオフ・ビートで手を叩いてくれた。弾むリズムにサテンドールが軽やかにスウィングする。ブルーノートが気持ちよくメロディを踊らせた。テーマを繰り返す手を止めることができず、いつまでもいつまでも私はピアノを弾き続け、弾き続け・・・。
>気がつくと私は鍵盤に顔を伏せて気を失っていた。彼はいなかった。ピアノの端にそれがぽつんと置いてあるきりだった。手にとってゼンマイを巻く。針がゆっくり右から左に揺れて一度だけチンと鳴った。そしてもう二度と動かなかった。

*ジャンル [#z91d0c1a]
[[音楽]]、[[学校]]、[[夕方]]、[[弾く]]、[[彼]]、[[わたし]]
*カテゴリ [#g3df2a6e]
[[超短編/カ行]]
*この話が含まれたまとめ [#z9e2735d]
すぐ読める
*評価/感想 [#q7c88109]

*初出/概要 [#w4fc57ae]
超短篇・500文字の心臓 / MSGP2006 二回戦第4試合 参加作
*執筆年 [#z88c6886]
[[2006年]]
*その他 [#u566e1c3]
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