まつじ/隣りの隣り27 の変更点

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*読む [#db196d13]

> 三人掛けのソファーの一番右でお茶を飲みながら一人でテレビを見ていると、そのうちに家の猫が、でっぷり、といった具合に横でくつろぎはじめる。ああ、また太ったかなこいつ、と見やるとその向こうに何かいた気がしたが、何もなかった。そりゃあ、そうだ。茶を啜った。
> 翌週の金曜も、同じ時代劇を見ていた。のそのそっ、と猫が隣りに座る。すると、心なしソファーの一番向こうも沈んだ気がする。誰もいない。予告が終わって、やはり猫の向こうでソファーが浮いた感じがしたのも、たぶん気のせいだと思った。
> 次回は大型の台風が直撃して放映中止。猫は来たが、何もなかった。
> 次の週になるとまた、ソファーの左端が少し沈んだ。
> 面白いので今度からテーブルに二人分のお茶を用意してみた。
> 四週目くらいに一度湯呑みがカタンと鳴ったきりで、結局彼はなかなか口をつけなかった。
> 最終回は実に面白かった。見ると、いつ飲んだのか、彼の湯呑みのお茶がなくなっていた。彼がどこかへ行く気配がした。
> 次からは新番組が始まったが、彼は来なかった。お気に召さないんだろう。また番組が変わればもしかして、と席一つぶん離してテーブルに並べておいた温いお茶をぐい、と飲み干した。

*ジャンル [#d5cbfb9b]
[[リアル]]、[[TV]]、[[猫]]、[[お茶]]、[[ソファ]]、[[数字]]、[[彼]]
*カテゴリ [#d31bcf18]
[[超短編/タ行]]
*この話が含まれたまとめ [#jf620ee8]
すぐ読める
*評価/感想 [#b55943a2]

*初出/概要 [#caabe3f2]
超短篇・500文字の心臓 / 第52回競作「[[隣りの隣り>超短編/タ行#x9fe9547]]」 / 正選王作
*執筆年 [#gfa8b6c5]
[[2005年]]
*その他 [#u847deaa]
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