まつじ/金属バット10 の変更点

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*読む [#i8f21c4d]

>あの時ぼくは高く遠くに上がった打球が捕れなくて、ボールは高い繁みの中に姿を消した。向こうで聞こえる歓声を背にして、ぼくは慌てて後を追う。
>誰かがぼくの名前を大きな声で呼んでいる。後ろの方であがる歓声。球の見つからない繁みから覗く土。地面に無造作に捨ててある金属バット。変にひしゃげたその先端と、俯せに倒れている人。生い茂る緑の葉に鮮やかに散った赤い色。遠くでぼくを呼ぶ声が聞こえる。
>鈍い音が鳴って、今、僕は同じ場所に立っている。僕が殴った彼はもう二度と目を覚まさないだろう。僕は突然恐ろしくなって、その場に凶器を捨てて走り出した。
>逃げながら、明日の草野球の試合のことを考えた。四回の裏、ピッチャーの放った球は完全に真芯で捉えられ、打球の消えた繁み、俯せの死体、赤く濡れた草、遠くで聞こえる歓声、先のひしゃげた凶器。
>それはさっき僕が捨てた金属バットで、きっとそれをあの時のぼくが拾うのだろう。
>気が付くとぼくは空高く上がった打球を追いかけていた。

*ジャンル [#fffca546]
[[クライム]]、[[野球]]、[[生命]]、[[子ども]]、[[彼]]、[[僕]]
*カテゴリ [#a276577c]
[[超短編/カ行]]
*この話が含まれたまとめ [#ua1c08dc]
すぐ読める
*評価/感想 [#ge55af88]

*初出/概要 [#g9d89b17]
超短篇・500文字の心臓 / 第39回競作「[[金属バット>超短編/カ行#ad58c5a6]]」 / 参加作
*執筆年 [#kf64cfb4]
[[2004年]]
*その他 [#w9a4097e]
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