まつじ/あなたと出会った場所 の変更点

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#contents
*読む [#jc77fdc6]

> 恋の話をしていた。
> 好きなひとがいるの、と言ってしまうと根ほり葉ほり聞かれそうなので止す。厄介なのだ。
> 持ち主のいなくなった家の荷をまとめている中に、父のものだろうか、母のものだろうか、ひとつの上製本があったのである。表紙は褪せ、わたしより少しおとなに思える。 そっと、鞄にしまった。
> 帰りの電車で、居間で、布団で、バスを待っている間、休憩中、文字が言葉になって流れ込んで、わたしを揺らす。そうするとまた、段段に、もっと震わされるようになる。
> あなたを「ひと」と言っていいのかは、悩ましい。出会いを尋ねられたとして、そこはかつての実家のようでもあるし、触れることのできない場所のようでもある。わたしがあなたを知ったのは、電車のボックス席で、居間で、布団で、バス停で、会社のデスクで、それから、それから、それから。
> 本を閉じて、人差し指で、その背をなでる。
> ここにいるようで、ここにいないあなたをなでるように、指先で触れる。
> 恋の話をしている。

*ジャンル [#gcb2f333]
[[恋愛]]、[[愛撫]]、[[指]]、[[父]]、[[母]]、[[あなた]]、[[わたし]]
*カテゴリ [#nac615d8]
[[超短編/ア行]]
*この話が含まれたまとめ [#td3741df]
すぐ読める
*評価/感想 [#lf9c2c7e]

*初出/概要 [#k0aaea1c]
超短篇・500文字の心臓 / 第125回競作「[[あなたと出会った場所>超短編/ア行#b3509ec2]]」 / 参加作
*執筆年 [#x6c6bfd4]
[[2013年]]
*その他 [#t2f70e5e]

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