空虹桜/2021初夏
Last-modified: Sun, 26 Dec 2021 23:50:28 JST (1149d)
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恐ろしいほどにいつまでもずっと今日が続く。昨日と明日は存在するけど、数字でしか示されないからか、実感を伴わない。
メリもハリもない怠惰。
気力は、ドライアイスのように溶けて消える。「出歩くな」と言う二酸化炭素と、ただ生きて吐き出す二酸化炭素は、科学的に社会的に経済的に大差はない。そんな差異、誰も考えようともしない。
空は青いし、雲は白いし、太陽は赤い。
静かに発症する狂気は、馴染みがありすぎて目新しさに欠ける。この程度のことにすら当たらない運の無さに絶望する。
コピー&ペーストできる程度のモブという実感は、柔らかに真綿で首を締め上げる。
顕示するにも肯定するにも、自己が無い。はじまってもいないのは、とっくの昔に終わっていたから。八方も九方も塞がれて、どこへ行くことも許されない。
否定語を口にすることすら甘ったるくて苦しい。苦味も酸味もしっかりしていて、辛さに口が痛い。どんなに喘いでも、同じ言葉が逆流する。新しいことが言えない。
そして、今日が続く。
※初稿につき、最終稿はこちら。
ジャンル 
リアル、日常、夏、地学、太陽、アイロニィ、今日、色彩、COVID-19
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