まつじ/象を捨てる11

Last-modified: Tue, 19 Jan 2021 23:23:03 JST (1195d)
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 父さんはいつだって言うことが唐突だ。

「おれはもう鼻は使わないし、水浴びもしない、草も食わずに肉を食うぞ、肉を」

 なんて言いだしたからぼくもふざけて言い返してやった。

「なんだいそりゃあ、どうせ使わないなら鼻なんかちょん切っちゃえばいいじゃない」

 すると父さんは

「うむ、そうだな、それもいいかもしれん、ぶらぶら邪魔くせえ。耳もでかくてパタパタうるさいし、大体にして体がでかすぎるんだ、もっとコンパクトになりたいねコンパクトに」

 だって。呆れるね。

 こんなだから母さんが出てってしまうのだ。

「父さん、それはもう象じゃないですよ」

「うむ、おれは象をやめる」

 付き合ってられないね、と思ってぼくは眠ってしまったのだが、それ以来父さんの姿を見ていない。

ジャンル Edit

コメディファンタジー

カテゴリ Edit

超短編/サ行

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評価/感想 Edit

初出/概要 Edit

超短篇・500文字心臓 / 第42回競作「象を捨てる」 / 参加作

執筆年 Edit

2004年?

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