各国の競泳

Last-modified: Thu, 05 Nov 2020 13:37:09 JST (1271d)
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周りが海に囲まれ、内陸部でも流れの早い川が多い日本では、水泳は馴染み深いものだった。古くから泳法が発達しており、水中での格闘技術や馬上水練、立ち泳ぎでの弓や鉄砲の取り扱いは、武士の嗜みともされていた。明治維新以降、欧米のスポーツが普及するにつれて、「スイミング」もまた日本人の興味をひくところとなり、1914年に初めて全国水泳大会が開催され、1924年には末弘厳太郎の尽力により大日本水上競技聯盟(現・日本水泳連盟)が発足した。 ちなみに日本における最初の競泳大会は、1856年に東京・越中島で講武所の上覧水泳が開かれた際に行われたとされている。

1930年代から1940年代にかけては世界No.1の実力を誇り、競泳は日本のお家芸と呼ばれた。オリンピックでは、1932年ロサンゼルスオリンピックで、男子全6種目中5種目で金メダルを獲得。100m背泳ぎでは、金銀銅メダルを独占した。次の1936年ベルリンオリンピックでもライバルのアメリカ合衆国を圧倒した。1940年から第二次世界大戦や太平洋戦争の勃発によりオリンピックが中断。1948年ロンドンオリンピックに日本は出場出来ず、世界から敗戦国日本の実力を疑われていたが、1949年の全米選手権に日本選手団が参加し、世界記録を連発。戦前からの力が衰えていない事を示した。

もともと体格的に劣るという面で不利なタイム競技である競泳において世界の競泳レベルがアップしていく中、日本は国際競争力を少しずつ落として行き、1964年東京オリンピック以降は完全に低迷期に入った。1988年ソウルオリンピックでは、鈴木大地が100m背泳ぎで金メダルを獲得して日本競泳陣に16年ぶりの金メダルをもたらし、日本人の短距離種目での金メダル獲得が当時の日本のスポーツ界に大きな影響を与え、1992年バルセロナオリンピックでは、岩崎恭子が200m平泳ぎで金メダルを獲得して14歳6日の競泳最年少記録で金メダリスト(オリンピックメダリスト日本人最年少記録)になるなど、競泳界から国民的英雄を輩出して単発的にメダルを獲得する事はあったが、競泳界全体のレベルは上がらず、1968年メキシコシティオリンピック、1976年モントリオールオリンピック、1984年ロサンゼルスオリンピック、1996年アトランタオリンピックでは、メダルもゼロに終わった。

競泳大国が国を挙げて強化に取り組む中、日本も近年ようやく組織的な強化に着手し、2004年アテネオリンピックでは、北島康介が平泳ぎで2冠を達成し、メドレーリレーでは銅メダルに導くなどの活躍で久しぶりにメダル8個(金メダル3個)を獲得した。北島は、続く2008年北京オリンピックでも2冠を果たし、日本人史上初となるオリンピック2大会連続2種目制覇を達成した(平泳ぎでの2大会連続2種目制覇は世界初である)。2012年ロンドンオリンピックでは、戦後最多・歴代2位タイとなる11個のメダルを獲得した(金メダルは0個)。中でもメドレーリレーにおいては、男子が銀メダル、女子が銅メダルを獲得し、日本競泳史上初となる男子のこの種目での銀メダル獲得・3大会連続でのメダル獲得、そして男女両方でのメダル獲得の快挙を果たした。

ちなみに、夏季オリンピックの水泳種目で日本人が最も多くの金メダルを獲得している種目は平泳ぎであり、次いで自由形である。