黒い蟻塚の中に小型人類の要塞が築かれていた。小型といっても、それは現人類の基準のはなしであって、小型人類と呼ばれている側にとっては知ったことではなく、彼らこそが適正なサイズであるかもしれなかった。
彼らの目には空の彼方から飛来する様々な光線が見えた。それは色を持たず質量すら持たない、かそけき線であり一定の波長があった。そこに一定の法則があることを彼らの中の異常進化した知性を有する天才がつかんだ。
その光線は手紙のようにメッセージを伝えていたのだ。
蟻塚の中の要塞で会議がひらかれ、メッセージの内容について検証、解析が進められた。それから数日もたたぬうちに塚の中は空洞になっており、偶然真下から地盤を抜いて飛び出た土竜がその空洞に充満する寒気に驚いて、すぐさま引き返し地中深くへと逃げ潜っていった。