白ほど美しい色を私は知りません。もっとも無垢で、清く、尊い。
世界のすべてが雪原となる終末を空想しながら、漂白されたシャツを畳み、漂白されたシャツを畳み、漂白されたシャツを畳んで、世界のすべてが雪原となる週末の空想を繰り返します。
シャツを畳む私の指はきちんと白くて、心が安らぎます。
さて、あなたのいちばん好きな白はどんな色ですか。
私は私のいちばん好きな白色を、白いバッグに入れて持ち歩いていて、それを見るたびに心が安らぎます。外に出ると、不快な色が一斉に押し寄せてくるからです。
白い服を着た私の前で笑うあなたの口元から歯が覗きます。白い筈の歯が、醜く不快で黄色いから、私はあなたを白くしました。そうしたら、私は心が安らぎます。
通りの向こうに見える広告の、純白のウェディングドレスを纏ったモデルは、なんて無垢で、清く、美しい。
世界のすべてが私のいちばん好きな白色になる終末を空想します。
白いバッグの中に指を滑らせ、安らぎを撫でます。
白ほど美しい色を私は知りません。