道中、猿を拾った。
落ちていたのではなく、捕えたのでもない。しかし勝手に付いてきて、与えるのは私だけなのだから、拾ったといってもよいかなと思う。そのように旅人に話すと、面白いこともあるものですねとだけ言い、手元の袋から乾燥肉と、先日立ち寄った村で手に入れた芋を取り出し、鍋の上でくるくると小刀を操っては適当に切り落としていった。私は手持ちの米とニンニクを放り込み、さっと塩を入れ、今晩はいつもより豪勢な飯となった。
飯をやると、猿は「IYAYA・IYAYA」と鳴いて満足そう、すぐに平らげて二度目をせびる際にも「IYAYA」という。あとは我々の分だと拒むと、「IYAYA……」と存外素直に引き下がり、隅で寝転んでしまう。ふて寝である。
私たちは酒をちびりちびりと飲みながら、お互いの旅の話をした。
翌朝目覚めると、猿がいた。どうやら仲間が迎えに来たらしかった。猿は「IYAYA!」と一度こちらを振り向き手を振ったようにも見えたが、そのまま遠くへ行ってしまった。
私は「IYAYA」と呟き、では私たちも行きましょうかと声を掛け合いながら旅人と別れ、引き続き西へ向かっているのです。