海音寺ジョー/夢の樹(500文字の心臓) の変更点

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*読む [#l4f1253a]
> 野仏の足下にボタッと、蝉が落ちた。ぼくは一瞬心がまっしろになった。ジ、ワワワとまた蝉の声が耳朶を震わせて、ああここは山の中で自分は登山をしていたのだった、と我に返った。もう夏も終わりなのだ。蝉の死骸は、そのまま土にかえる。ぼくはその蝉と、いやかつて蝉だったものと同化した想像をする。そのまま地中に溶け、細かくなり水と一緒に根に吸われて堅いセルロースの管を上昇していって、葉に至って空と邂逅する。
> 眼が生まれるまで、我々は世界をどうやって見ていたのだろう。皮膚が、皮膚の一部が光熱を感知していたとテレビ番組で言ってたが、ならば五感というのは何故生まれ、何をぼくらは覚知したがったのかと、またいやな好奇心が湧いてきた。
> 野仏は風雨に削られて、どんな顔でぼくを見ているのか見当がつかない。雨が降りそうなので、先を急ぐ。 

*ジャンル [#e56fced2]
[[生命]]、[[SF]]、[[夏]]、[[山]]、[[蝉]]、[[仏]]、[[僕]]
*カテゴリ [#e9175a24]
[[超短編/ヤ行]]
*この話が含まれたまとめ [#bd0b380a]
すぐ読める
*評価/感想 [#k1569bed]
*初出/概要 [#l8c3846c]
超短篇・500文字の心臓 / 第150回競作「[[夢の樹>超短編/ヤ行#we343ec1]]」/ 参加作
*執筆年 [#cd4ed6e7]
[[2016年]]

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