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#contents
*読む [#na64f12d]
>祖父・洋次郎８８歳。昭和２１年８月生まれ。祖父の日課。昼間はうとうとしている。日が暮れる頃になると自室に籠る。白い手袋をはめる。ラックから１枚の擦り切れたＬＰレコードを取り出す。レコードジャケットをしみじみと眺める。ジャケットから薄いビニール袋に包まれたレコード盤を取り出す。スプレーを薄くかけクリーナーで溝にそって一点の曇りもないように丹念に拭き取る。盤にホコリをつけないよう注意しながらプレイヤーの上に乗せる。そっと針を落とす。じじじじじ...微かなノイズの後、コーンを震わせ大音響が鳴り響く。
>&br;
>お おおお おおおおお なに なに これ スゲェ 凄ぇよ
>おぉ なに何 この音 どうなってんの これ おお カッチョえぇ
>おおぉ なんか 熱い 熱いぜ この リズムが また
>ちくしょっ 頭が 体が 勝手に なんか うひゃ キモチいい
>スゲェ 凄ぇよ こんな 音楽が あったの か うぉお おおおお
>&br;
>祖父は、生まれて初めてあのレコードを聴いた夜を毎晩のように繰り返す。
>家族の顔はもう覚えていない。
*ジャンル [#v63a7298]
[[音楽]]、[[幸福]]、[[夜]]、[[レコード]]、[[老い]]、[[オノマトペ]]、[[祖父]]
*カテゴリ [#s5bcaddf]
[[超短編/サ行]]
*この話が含まれたまとめ [#z2e87729]
すぐ読める
*評価／感想 [#a08913b5]
*初出／概要 [#nc549679]
超短篇・500文字の心臓 / 第34回競作「[[衝撃>超短編/サ行#r277e9ba]]」 / 参加作
*執筆年 [#g19a5596]
[[2004年]]
*その他 [#za94c86c]
#counter
