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*読む [#fb6b5d06]
>俺が大釜の爺さを助ける!
>俺は広い世の中へ飛び出した。
>けど、大釜の爺さの封印を解くなんてどうしたらいいんだろう。
>俺ぁ爺さの釜底の煤から生まれたちっぽけなススダマだ。
>村ん衆みんなの芋汁をいっぺんに炊ける大釜の爺さに比べたら、屁みてぇなもんだ。
>けど爺さは偉ぇ坊さまに札を貼られちまった。
>爺さが大釜から毒を吐いたって。
>そりゃ仕方ねぇよ。
>大釜の爺さを化け物にしたのは村ん衆だ。
>戦や飢饉で喰うもんがなくなったとき、村ん衆は大釜に毒づいた。
>その毒がたまりにたまって大釜の爺さから溢れ出したんだ。
>けど爺さは悪くねぇ。絶対悪くねぇ。
>俺は何十年も何百年も風に吹かれてさすらった。
>「みなさんの給食はここで作られています」
>「すげえ!でっけー鍋!」
>「これは回転釜です。煮物や汁物を作るときに使います」
>「先生!なにか黒いものが付いてます」
>「あら。じゃ、いつものお礼にみんなで磨いてあげましょう」
>なんと子供らに見つかっちまった。
>釜のあちこちを逃げ回ったが、子供らはすぐに俺を見つける。
>俺ぁ拭き取られて、釜はピカピカに磨き上げられた。
>すると『ありがとよぉ』
>遠くで爺さの声がした。封が?これで?解けたのか。
>爺さがやってきた。『儂らもちょっと喰ろうていくか』
>「手を合わせてください。いただきます」
>「いただきます!」
>『あぁ、子供らの笑う顔を見ながら喰う飯はええなぁ』
>爺さと俺ぁ満ち足りて天へ昇った。
*ジャンル [#v68e8c74]
[[500文字超]]、[[妖怪]]、[[ありがとう]]、[[数字]]、[[子ども]]、[[老人]]、[[俺]]
*カテゴリ [#ice0adc8]
[[超短編/ア行]]
*この話が含まれたまとめ [#l4b2faff]
すぐ読める
*評価/感想 [#m970e37b]
*初出/概要 [#n29a1f18]
超短篇・500文字の心臓 / 第142回競作「[[うめえよ>超短編/ア行#x5499e32]]」 / 参加作
*執筆年 [#v32f20cb]
[[2015年]]
*その他 [#x370ffdc]
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