まつじ/仮面 の変更点

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*読む [#mff0ce4f]

> これが俗に娑婆と言われるものか、とやけに眩しい朝日の下の雑然とした風景を眺めながら悦に入る。コブ付きではあるが、大手を振って人の多い明るい町を闊歩する。
> 愉快。
> とは思うが、高揚感と解放感との間に若干の緊張と恐れがある、というのも自分で分かる。
> そう体を強張らせる事はないのだよ、と丁寧な口調で言いつ並んで歩く中年男性の顔をしたひとは、厳しい目を常にこちらに向けている。
> 冷静に振る舞わなければならない。
> 私は、道行く適当な人に声を掛けた。
> すみません、道をお尋ねしたいのですが、よろしいですか。
> 半歩後ろで、例のひとが目を光らせているが、まず落ち度は無かろう。幸い、選んだ相手も良かった。分かりませんと断られることなく、道筋を知る。
> なるほど、あの角を左に曲がり、それから七つ目の十字路を右に、あとは道なりに行けばいいらしい。
> 私たちはつつがなく目的の場所に着いた。
> その建物の地下の一室を開き奥へ奥へ進むとやがて、どのようにつながっているのか、見覚えのある扉の前に出る。
> ああ、戻って来たのだなあ、本面が貰えるまではもう少し先、一体どんな顔になることだろうと考えながらお面を外すと、私は元ののっぺらぼうになる。

*ジャンル [#t2eea35b]
[[街]]、[[妖怪]]、[[朝]]、[[扉]]、[[左]]、[[右]]、[[わたし]]
*カテゴリ [#td858560]
[[超短編/カ行]]
*この話が含まれたまとめ [#u3fe8565]
すぐ読める
*評価/感想 [#n2b8c1c6]
超短篇・500文字の心臓 / 第72回競作「[[仮面>超短編/カ行#n2a46b3e]]」 / 参加作
*執筆年 [#ffa61843]
[[2007年]]
*その他 [#rd20184a]

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