まつじ/三階建て10 の変更点

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*読む [#sf465432]

> 人に言われるまで、気にしたことがなかった。
> 私の生家は、玄関に入るとすぐにまた扉があって、居間に続いている。となれば当然、出かけるなり帰ってくるなり居間を通らなければならない構造で、なんにせよ家人とはよくよく顔を合わす。ほかに四畳半の和室と台所、戸を隔てた狭い廊下の側には風呂場と便所、螺旋になりきれない階段がある。
> さて二階はというと、各々の寝室と物置、それから便所がある。一室だけにベランダがあり、天気のよい日は洗濯物が干されることとなる。
> 十何年と暮らすうち床や天井の色が薄らと汚れていったり、一番下の子が猫を拾ってきて、そいつが爪を研ぐようで、どちらの階もそちこちの壁角が毛羽立ったりもしている。
> 私に説明できるのはそれくらいだが、あらためて観察すると、三階建てのようにも、たしかに見える。
> 玄関に入れば、扉の向こうで、テレビの音声が流れている。
> 居間に入れば、おかえりなさいと誰も屈託がない。
> 二階を探れば、と考えたが何も見つからない。
> 階下から、お茶を淹れるよと声を掛けられ、呑むと答える。

*ジャンル [#mdbe30bd]
[[日常]]、[[TV]]、[[お茶]]、[[猫]]、[[数字]]、[[わたし]]
*カテゴリ [#x656f455]
[[超短編/サ行]]
*この話が含まれたまとめ [#y562a068]
すぐ読める
*評価/感想 [#x50a8f1d]

*初出/概要 [#u4762c3d]
超短篇・500文字の心臓 / 第181回競作「[[三階建て>超短編/サ行#na7f1a51]]」 / 参加作
*執筆年 [#nf6b6a66]
[[2021年]]
*その他 [#pe513b03]

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