まつじ/ちみ の変更点

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*読む [#x5c4bfdd]

> とっておきですので。
> 彼は俯き、男を一室に案内する。
> 男は、いや気に入った大変結構と肩を揺すらせ上機嫌、有り難う御座いますと頭を垂れる彼とは反対にふんぞりかえりそりかえり、そのまま尻もちをついたが上手い具合に座布団がある。それにしても随分ふわりとしていなかったか、男は不思議に思うが、お体が痛むと良くありませんので、そう言い傍らに立つ彼の丁寧な態度を見るとすぐに機嫌を良くした。
> 部屋の造りは簡素で落ち着き、もの言わぬ仲居が音もなく運んでくる料理はどれも絶品、大変居心地が良い、家に帰らずにずっとここにいたいくらいだ、と地酒をくいとあおると先ほどまで何もなかったあちらの壁にひとつ染み。
> 向かいに座る彼が言う。
> とっておきですので。
> 笑う口許。染みが蠢く。
> ふたつの昏い眼を見て何か思い出したか壁の染みに驚いたか声を発しようとする男の喉を飲んだはずの酒が胃から血となって遡り塞ぎ障子の向こうに仲居の気配黒い染みは瞬く間もなく広がり笑う男とおののく男の二人それから部屋の全てをその腹に飲み込み押し潰し喉につまった男の言葉が花火のように一瞬遅れて聞こえた気がするが四角い闇のなかに掻き消える泡と消える。

*ジャンル [#c0d396c6]
[[ホラー]]、[[ご飯]]、[[お酒]]、[[体]]、[[血]]、[[笑う]]、[[数字]]、[[彼]]
*カテゴリ [#cac66cea]
[[超短編/タ行]]
*この話が含まれたまとめ [#q7a3f2fa]
すぐ読める
*評価/感想 [#v29e82c0]

*初出/概要 [#d7930c24]
超短篇・500文字の心臓 / MSGP2006 三回戦第4試合参加作
*執筆年 [#le5830ca]
[[2006年]]

*その他 [#ibc5ce8f]
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